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イミダペプチドの効果

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掲載日:2019.07.11
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βアラニンのところで紹介しましたが、イミダゾール基含むアミノ酸が結合したジペプチドを「イミダペプチド」と呼びます。

βアラニンとヒスチジンが結合したものを「カルノシン」、βアラニンとメチルヒスチジンが結合したものを「アンセリン」、βアラニンにトリメチルヒスチジンが結合したものを「バレニン」と呼びます。

βアラニンのところで「ヒスチジンは体内に十分存在するため、βアラニンの摂取が重要」と書きましたが、ヒスチジンにはヒスタミンの材料となって満腹感をもたらす他、インスリン抵抗性を改善し、炎症を防いでメタボ解消に役立ったという研究結果があります。(※184)

33歳から51歳の肥満女性100名にヒスチジンを一日4g、12週間摂取させたところ、BMIやウェスト周径、体脂肪量が低下し、インスリン抵抗性が改善し、炎症の指標が低下し、アディポネクチンや生体内抗酸化酵素が増加したという内容です。副作用は見られませんでした。

試験管内の実験では、ヒスチジンはIL-6やTNF(炎症性サイトカイン)やNF-κBのmRNA発現を抑制しており、おそらく脂肪細胞におけるNF-κBシグナルが関係しているとされています。マグロやカツオなどには100gあたり、2g前後のヒスチジンが含まれますので、これらを多く食べるのもいいでしょう。

なお鶏胸肉やマグロ、カツオには大量のカルノシンとアンセリンが含まれます。またバレニンはクジラに多く含まれます。

カルノシンやアンセリンにはリラックス効果があり、エクササイズ後のアドレナリンやノルアドレナリンレベルを下げる作用が報告されています。(※185)

トレーニングが遅めの時間だと、気が昂ぶって眠れないということが良くあります。このようなときはトレーニング後の食事で鳥胸肉(カルノシンが多い)を食べるようにすると良いかもしれません。

また運動中の乳酸を緩衝したり活性酸素の発生を抑えることによって持久力をアップさせたり(※186)、糖化を抑制したり(※187)、寿命を延長したり(※188,※189)といった作用の他、特にアンセリンには尿酸値をコントロールする作用もあります。(※190)、

カルノシンとアンセリンは食事から摂取可能ですが、クジラに含まれるバレニンは食事から摂取するのは難しいかもしれません。

サプリメントとしても摂取可能ですが、バレニンやクジラのレシピ、クジラの食文化などについて日本捕鯨協会が出しているファイルがありますので、ご覧になってみてください。

ちなみに筆者は渋谷にある「元祖くじら屋」にときどき出没します。
なおイミダゾールペプチドのドリンクを日本ハムが出していますが、特に選手に飲ませてはいないようです。

※184: Histidine supplementation improves insulin resistance through suppressed inflammation in obese women with the metabolic syndrome: a randomised controlled trial. Diabetologia. 2013 May; 56( 5): 985-94. doi: 10. 1007/ s 00125-013-2839-7. Epub 2013 Jan 30.

※185: Hormonal responses to resistance exercise after ingestion of carnosine and anserine. J Strength Cond Res. 2011 Feb; 25( 2): 398-405. doi: 10. 1519/ JSC. 0 b 013 e 3181 bac 43 c.

※186: Antioxidant activity of carnosine, homocarnosine, and anserine present in muscle and brain. Proc Natl Acad Sci U S A. 1988 May; 85( 9): 3175-9.

※187: On the Anticataractogenic Effects of L-Carnosine: Is It Best Described as an Antioxidant, Metal-Chelating Agent or Glycation Inhibitor? Oxid Med Cell Longev. 2016; 2016: 3240261. Epub 2016 Oct 16.

※188: A possible new role for the anti-ageing peptide carnosine. Cell Mol Life Sci. 2000 May; 57( 5): 747-53.

※189: Carnosine as a potential anti-senescence drug. Biochemistry (Mosc). 2000 Jul; 65( 7): 866-8.

※190: Tuna extract reduces serum uric acid in gout-free subjects with insignificantly high serum uric acid: A randomized controlled trial. Biomed Rep. 2016 Aug; 5( 2): 254-258. Epub 2016 Jun 9.
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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