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ダイエットとトレーニング<ランニング好きなある女性の例>

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掲載日:2016.10.20

ケーススタディ・ランニング好きなある女性の例

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スーザン・リチャーズは数年前に、私のトレーニングキャンプに来ました。彼女は42才で、20kgほどオーバーウェイトでしたが、かなり熱心に有酸素運動を行っていました。
週に平均して32kmほどのランニングを5年間続けていたのです。私のキャンプに来た時、彼女はひどく落ち込んでいました。週に32km走っても体重を落とすことができないというのです。もちろん、彼女の食事はそれほど良いものではありませんでしたが、彼女は“ランニングがカロリーを燃やしてくれるはずではないのかしら?”と考えていました。

私は、今まで述べてきた現象について彼女に説明しました。つまり、どのようにして体が有酸素運動に適応するかということです。体は効率よく運動を行うようになり、なるべく少ないカロリーで済まそうとします。なぜなら体は、より長く、より先へと走ろうとするからです。
記事画像2
私は彼女に、オリンピックの女性スプリンター(短距離走の選手)とマラソン選手のどちらがより脂肪が少ないと思うか尋ねました。私たちは、スプリンターの方が引き締まり、脂肪がないように見えるという事で意見が一致しました。それに対して、マラソン選手は、確かに細いですが、ソフトに見えます。彼らの脚や腕は、走るときにブルブル揺れます。しかし、スプリントは無酸素運動で、ストップ&ゴー、ボディビルディングのトレーニングとよく似ていて、素晴らしく引き締まって、ハードに見えます。

ここまでは良かったのですが、スーザンの最も恐れていることは、走るのをやめることで、再び体重が増えるのではないかという事でした。再び彼女は考えます。“もし走るのをやめたら、体重がすごく増えてしまうんじゃないかしら?だって、それだけカロリーを使わなくなるわけでしょ”彼女の考えは評価できますが、私は反対しなければなりませんでした。彼女の代謝は“有酸素運動の適応反応”のために遅くなることがあるとアドバイスしたのです。さらに、彼女のダイエット記録を調べているうちに私たちが達した結論は、彼女がしばしば走る為に必要なエネルギーと称して食べ過ぎていたということです!

押し問答を繰り返した結果、彼女は週に4日、ウェイトを使ってトレーニングし、有酸素運動は行わないことになりました。また、彼女のダイエットも、健康な栄養の原理を使ったものに調整されました。

そして7ヵ月後、スーザンは7kg落とすことに成功し、洋服ダンスの中を一新しなければならなくなりました。持っていた服が全部ゆるくなったからです。
私たちは彼女の体脂肪を一度も計りませんでした。彼女がとてもプライドの高い人だったからです。ですから、彼女がどのくらいの脂肪を落としたか正確にはわかりませんが、重要なのは、有酸素運動をすることなしに彼女が多くの脂肪を落としたということです。

週に32km以上というハードな有酸素運動を行っても決して落ちなかった脂肪を落とせたのです。
ポイント
・有酸素運動、無酸素運動どちらもカロリーを使うが、長い目で見た場合体脂肪を燃焼する効果は無酸素運動の方が高い。
・有酸素運動は確かに脂肪を燃焼しますが、長期間行うことで身体が効率的になり、同じ時間でのカロリー消費量が少なくなる。
・ウェイトトレーニング(無酸素運動)で筋肉をつける事で基礎代謝量が上がり、寝ているときに使われるカロリーの量が増える。
・寝ているときに使われるカロリーは、体脂肪からである。
  • 理論と実践で100%成功するダイエット ダイエットは科学だ!
    2008年10月10日第2刷発行
    著者:クリス・アセー卜
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社