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アルコールと筋肉とダイエット

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掲載日:2022.09.27
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フィジークオンラインをご覧の皆様、三橋忠です。(加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院院長、ファイン・ラボフィットパーソナルトレーナー・横浜医療専門学校非常勤講師)

今回のテーマは「アルコールと筋肉とダイエット」です。
トレーニーの方でも、嗜好品として酒=アルコールを飲んでいる方もいると思いますが、そのアルコールがどのように筋肉やダイエット&健康に影響するかを紹介します。

①アルコールと肝臓

「酒を飲み過ぎると肝臓悪くするぞ!」とよく言われますが、まず肝臓の役割が下記の4つです。

①栄養素の代謝→栄養を使える状態にする
②胆汁の生成→脂肪の消化吸収助ける
③解毒作用→身体の有害物質を分解、排出
④グリコーゲンの形成→栄養素を蓄える

このように肝臓は身体のエネルギーの生成と、有害物質を排出する工場のような存在です。

②アルコール→アセトアルデヒドの問題

体内にアルコールが入ると、肝臓で酵素が働いて「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。
飲み過ぎで頭痛や吐き気を起こすのはこのアセトアルデヒドの強い毒性が原因です。
他のアセトアルデヒドのデメリットは以下です。

①活性酸素を介して肝細胞にダメージ与える
②脂肪の分解抑制
③肝臓に中性脂肪の蓄積を促す
④睡眠の質を下げる(興奮作用があるので睡眠の質を下げる)
⑤肌を老化させる(体内で炎症を起こし、老廃物処理が滞り肌を老化させる)

ちなみにだんだんお酒が飲めるようになるのは、アルコールを分解するアルコール脱水素酵素や、更に飲酒量が多くなるとミクロソームと言う助っ人酵素の働きが強くなるからです。
しかしアルコールの分解を助けるだけでアセトアルデヒドの分解は助けません。
そして多量飲酒者に発生する高濃度のアセトアルデヒドは食道や喉への発がん性があり、骨髄障害からの貧血、白血球減少を起こすので注意が必要です。

③アルコールと筋肉

上記のアセトアルデヒドのデメリットも含めて、アルコールが筋肉を与える影響が以下になります。

① お酒を過度に飲むと睾丸がダメージを受け、テストステロン分泌が減少します。それにより筋肉の生合成の効率が下がり、筋トレの成果が出にくい体になってしまう可能性があります。

②浅い睡眠がテストステロン分泌を下げます。

③ お酒をたくさん飲んだときには「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。
テストステロンが筋肉を作るのに対し、コルチゾールは筋肉を分解し、脂肪の沈着を促す働きがあります。

④アルコールが入って来るとアルコールの分解が最優先になるので、トレーニング後の疲労物質の分解は後回しになり、疲労がなかなか抜けなくなります。

①〜④を踏まえるとダイエット中のアルコール摂取がいかにダイエットの進行を妨げてるかが分かりますね。

④アルコール依存度のチェック

アルコール摂取が習慣化してる方で、下記の頻度で依存症かどうかのチェックができます。

①機会飲酒→月に1.2回
②習慣飲酒→週に3.4回
③アルコール依存症→毎日飲酒

「毎日飲酒してるだけで依存症なのか」っと思いますが、「飲まないと寝れない」「飲まないと落ち着かない」などと、アルコールを摂取しないと、精神状態がコントロールできない状況は依存症の入り口ですので、注意が必要です。

⑤依存症になる兆候

①朝、昼からお酒を飲みたくなってしまう
②「お酒を飲むな」と言われると喪失感を感じる
→アルコールは快楽物質のドーパミンが出るので辞められない。
③飲酒した事に罪悪感を感じている→自分をコントロールできていない

まとめ

今回はアルコールと筋肉とダイエットの関係を紹介しました。
嗜好品としてコミュニケーションを円滑にするアルコールですが、筋肉やダイエットを考えると飲み過ぎに注意して適量に抑えましょう。
次回はアルコールの種類、肝臓を労わる栄養素とアルコールの辞め方を紹介します。

続き:アルコールと筋肉とダイエット②