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糖化と老化予防のトレーニング①

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掲載日:2022.11.29
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フィジークオンラインをご覧の皆様、三橋忠です。(加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院院長、ファイン・ラボフィットパーソナルトレーナー・横浜医療専門学校非常勤講師)

今回のテーマは「糖化と老化予防のトレーニング①」です。
いつまでも若々しく健康でいたいのが全てのトレーニーの願いだと思いますが、その鍵になるのが筋肉と身体の糖化を知る事です。特に糖化について説明をしていきます。

①AGEs 「終末糖化産物」とは

糖化とは、食事などで過剰に摂取した糖と生体のタンパク質が体温で加温されて結合することです。糖化するとタンパク質は本来のその機能を失います。これによって細胞や臓器の炎症を引き起こします。
この変性したタンパク質をAGEsと呼び、このAGEsは新陳代謝が低下するので、老化促進物質となります。
AGEsとはAdvanced Glycation End Productsのことで、日本語では『終末糖化産物』のことです。
GlycationとはGlycate(糖化する)という動詞の名詞形です。糖化は、発見した人の名前を取って「メイラード反応」とも呼ばれます。

ホットケーキを作るときに、こんがりと焼けて褐色になっていくのも糖化の一例です。ホットケーキに含まれる「砂糖」が卵や牛乳などの「タンパク質」と結びついて変性しているのです。カラメルソースやクッキーでも同じ現象が起きています。食物の場合の糖化は、こんがりといい香りがする反応ですが、同じことが人間の体内で起きると糖化=老化現象を引き起こしてしまいます。

②糖化が身体に与える影響

糖化によって肌のハリを保つコラーゲン繊維が破壊されると、肌は弾力を失ってしまいます。また、糖化によって生み出された老廃物が皮膚の細胞に沈着すると、シミやくすみとなって肌の透明感が失われます。
髪のタンパク質が糖化すると、髪のハリやツヤがなくなってしまいます。ホットケーキやクッキーの表面で分かるとおり、糖化によって生まれるAGEは褐色で硬いのが特徴ですが、AGEが肌や髪に影響を与えると、年齢よりさらに老けた印象となってしまいます。

糖化が血管や内臓に影響を与えると、もっと深刻です。血管の組織が糖化によって脆くなると血管壁に炎症が起こりやすくなってしまい、動脈硬化となるリスクが高まります。当然動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの原因になります。

また、腎臓は体内を巡って老廃物を含んだ血液をろ過して尿を作ります。ろ過する膜はたんぱく質でできていますから、これが糖化してフィルター本来の働きを失ってしまうと腎機能が低下してしまいます。すると血液中のたんぱく質が尿に漏れ出すことで、尿たんぱくの症状が出てしまいます。さらに骨では骨粗鬆症、目ではドライアイや白内障、網膜症なども、糖化が引き起こしていると言われています。
糖化は、アルツハイマー病との関連も指摘されています。健常な高齢者の脳と比べて、アルツハイマー病患者の脳には約3倍のAGEが蓄積されていたという報告もあります。

③糖化を促進する食品

糖化が身体に与える影響が分かった所で、体内で作られるAGE量は

血糖値の高さ×その持続時間= AGE量

と言われています。それを踏まえて、トレーニーは過剰な栄養摂取を気をつけなければいけません。特にバルクアップ期間中は栄養が超過しがちですので、糖化を考えるとジレンマがあると思います。
ここでは糖化を促進する食品群を4つを紹介します。

①加工肉(ソーセージ・ハム等)
ソーセージ、ハム等の加工肉は長期間保存を可能にするため、製造過程において水分等を除去するケースが多いです。
その結果、糖質とたんぱく質が結合しやすくなり、AGEが高くなると考えられています。また、砂糖を使用しているものはさらにAGEが増加します。

②油を使用して高温調理した食品
高温調理により、AGE量が急激に高くなります。その結果、糖化が促進されると考えられています。特に古い油は糖化も酸化もしやすいので要注意です。

③加工菓子系食品
加工菓子系食品は包装された焼き菓子や甘いシリアルなど、大量の砂糖・塩分・トランス脂肪を含んでいる割りには、ビタミン・食物繊維は不足しています。
保存が利く糖分と脂肪のコンビは糖化間違いないです(苦笑)
加工菓子ではないですが、甘くて脂肪も多く、加熱調理するパンケーキなどは注意が必要です。

④糖分の多い清涼飲料水
清涼飲料水に使用されている人工甘味料(果糖ブドウ糖液)は、ブドウ糖のおよそ10倍もAGEが蓄積されやすいと考えられています。特に吸収が早い単糖類は血糖値を急激に上げますので、血糖値の高さ×その持続時間= AGE量の糖化を考えると注意が必要です。

まとめ

今回は糖化の総論、糖化を促進する食品を紹介しました。トレーニーはバルクアップ期間中に過食する傾向にあるので、老化と糖化の関係を踏まえて、筋肉以外のコンディションも確認しながら栄養素のバランスを考えて摂取してみてください。次回は糖化を抑制する食品、サプリメント、運動を紹介します。

続きのコラム:糖化と老化予防のトレーニング②