本当に筋トレを限界までやっていますか?
「最後の1回を必死になって持ち上げる」
これは筋力トレーニングを行う上で最も重要なことです。
筋肉の成長をうながすトレーニング(筋肉トレ、筋力トレ)では、筋肉により強い刺激が与えられることにより、筋破壊が起こり、筋肉が修復され、筋肉の成長(肥大)となり、筋力アップとなります。このことは、別の言い方をすると筋破壊の程度が低ければ(十分な刺激が得られなければ)、筋肉の成長に結びつきにくく、筋力も高くはならないということです。
限界回数まで行う筋力トレーニングの場合、筋肉に多少の痛みや若干の苦しさを伴うトレーニングになるため、「少しくらい痛くても、また苦しくても実施しよう」という心の持ち方や実感が必要だと思われます。しかし、痛めてまでも、また痛めるほど行なうということではありませんので、誤解のないようにしてください。
トレーニング実施現場において、「限界まで実施しています」とはいうものの、「残念ながらトレーニング効果は実感できない」という選手の声を聞くことがしばしばあります。しかし筋力の向上とは、トレーニングだけに関係しているわけではなく、休養や食事(栄養摂取)などにもかなりの影響を受けるのです。
もちろんトレーニングはその大切なきっかけ(筋力向上の要因)をつくる作業なので、筋力向上への貢献においてはかなりの深さを占めています。
その点、多くの場合、この「限界までやっています」と表現している「限界」とは、実は、本当の意味において「限界」ではない場合であることがあるのです。そもそも限界というものには「心理的な限界=(精神的な限界)」と「生理的な限界=(肉体の限界)」の二種類があると考えられます。
特に、初心者(初級者も含む)は、筋力トレーニング特有の痛みを経験しておらず、上級者からすれば簡単に耐えられるようなことにも、精神的にあきらめてしまい、それを「限界」としてイメージしている場合があります。
このような例に対しては「心理的な限界が浅い」という表現をしていますが、ある程度このようなトレーニングの繰り返しを行うことで精神的にも肉体的にも徐々に強い刺激に慣れ、本来目指すところの限界まで、の実施が可能になってきます。つまり「心理的な限界が深くなる」ということになるわけです。
また、スポーツ初心者や、あまり激しいスポーツを行っていない人の心理的な限界は、生理的限界を100とした場合の約60%程度だといわれています。この心理的な限界を深める方法として「何のために筋力トレーニングを行なうのか」「今より上位を目指すぞ」などといったモチベーションを高める方法を導入していくという前向きな方法もあります。
その他、トレーニング中に「えいっ!」と気合を入れたり、あるいはより高い集中をすることで発揮する筋力を一時的に向上させ効果を増大させていくという方法もありますが、いずれにしても、私たち人間の心理や精神といった内面的なものは、肉体というかたちにとても現れやすいということなのだといえるでしょう。
1.初心者ほど心理的限界が浅いので、モチベーションを高める工夫が必要。
2.一人で行なうより、複数人で励ましあいながら、あるいは掛け声をかけながら実施してみる。
3.実施者の考え方や精神的な部分などが、体のかたちに現れやすい。
コラム 睡眠時間はどのくらいとればいいの?
「寝る子は育つ」昔から言われてきた言葉です。実はこの言葉には科学的根拠があるのです。睡眠を始めてから約1時間後(深い眠り:ノンレム睡眠)に成長ホルモンの分泌が始まります。成長ホルモンによってタンパク質の合成が高まり、トレーニングで壊された筋肉を補修し成長させます。
ただし、成長ホルモンは寝ている間中出ているのではなく寝始めの時間帯だけなので、筋肉のことだけを考えるのなら2〜3時間寝て、トレーニングをしてまた寝るという繰り返しが効果的であるといえます。
しかし睡眠は筋肉を作るためだけの時間ではありません。脳や神経、内臓を休ませるという役割もあるので高校生なら7〜9時間は必要です。まとめると、睡眠は量より質なのです。明るい場所で寝る、音楽を聴きながら寝る、満腹の状態で寝るなどは質の悪い睡眠になりかねませんのでご注意を!
[ スポーツトレーナーが指導しているこれが正しい筋力トレーニングだ! ]