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岡田隆 TVと栄養、そして東京オリンピックへ #7

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掲載日:2017.04.14

TVのしごと

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実は今TVのお仕事をやらしてもらっているんですよ。レギュラーワークではないですけど、たまにお声を掛けていただいてやっているだけなんですけどね。

でもTVってやっぱり影響がかなりあるんですよ。まあ、賛否両論あるんですが、やっぱり本にしても、対話にしても、僕の考えていることが100%相手に伝わる手段って無いじゃないですか?まあ、対話が一番伝わると思うんですけど、、、

ですので、メディアに載っかると上手く伝わらないなって部分もあるなとは思ってはいますし、その辺は分かって出演しているんです。正しい情報もですが、多くの人に誤解も生じさせてしまうことも分かっているんです。でも、僕は誤解を恐れて引きこもっていたら何も伝わらないので、何も伝わらないよりは伝えていったほうが良いというスタンスなんです。

つまり何が言いたいかというと、トレーナーはその役に立つ知識をどんどん多くの人に発信していけるようになってもらいたいんですよね。こういうことやったら、こんないい結果が出るよとか、トレーニングはこう、食事はこうとか、、、みんなで発信して、出来るだけ多くの一般の人に知ってもらいたなって。ぜったい社会のためになるじゃないですか。

トレーニングと栄養

「トレーニング」と「栄養」って当たり前ですけど、実はかなり重要なことで、人生において重要なことの最上位に入るぐらいなのに、ぜんぜんみんなその重要性を分かっていないんですよね。
食べたもので、この体が作られていて、トレーニング(筋肉)で動いているんですよ。

実はプロスポーツの世界にも、トレーナーで栄養を学んだ人が入るようになるといいと思っていまして。っというのも、栄養のみを学んでこられた方は、とても知識があって、幅広く一般の方向けに栄養指導をするのはとても良いのですが、プロスポーツの世界や上位レベルの学生、オリンピック等を目指している選手たちにとっての必要な栄養とは結構異なることもあるんですよね。

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筋肉量だって一般の人の倍近くある選手もいますし、運動量や消費カロリーもかなり異なります。そもそも頂点を目指しているのは一握りの特殊な人達なので、普通に学んできたままの食事とはマッチしないんですよね。

それに、実際に競技選手としてトップレベルで競技をしていたことは無いと思いますので、その人達の気持ちも分からない、、、極端な例をいえば、ある大会を目指していて、そこで一番になれたら、その瞬間に最高のパフォーマンスを発揮できたら、その次の日から多少体の調子が悪くなっても、全然問題ないんですよね。

健康体になりたいんじゃなくて、強くなりたいんですよ。

みんなそのぐらいの気迫と意気込みで、人生を掛けて大会に臨んでいるんですよね。オリンピックでの勝利は、人生そのものを変える実績になるわけですよ。めちゃくちゃに骨折するかもしれないって言っても、勝つ可能性があるなら試合に出ちゃう選手も多くいると思いますよ。その気持ちはなかなか普通の人に分かるものでもない。

一般の人と同じバランスで、ザ・健康食みたいな食事を指導されたり、1gでもライバルより多く必要な筋肉をつけるためにトレーニングを行っても、「バランス良い食事」の一言でタンパク質の摂取量が少なくなったりと、、、

選手にタンパク質は1食で30gで十分とか、タンパク質の取り過ぎは肝臓に悪いとか、、、
そんなんで、優秀な選手の体の質を落とさないでほしいですよね。どんなに良いトレーニングをしたって、食事一つで効果も半減ですし、弱くもなりますからね。しかも国際スポーツ栄養学会でも高タンパク質食を長期間とっても肝臓の数値は悪くならないって言ってますからね。

トレーナーからしてみれば、意識の高い選手のほうがよほど、選手に必要な栄養が分かっていますよね。勉強もしていますし。トレーナーはもちろんトップクラスのアスリートだった方も多いですし、選手と同じような筋肉量、ハードなトレーニングも積んで、栄養の勉強だけではなく、実体験としても自身の体をもって栄養というものを理解しています。

ですので、トップクラスのアスリートの栄養を指導する場合は、そういう選手の気持ちも汲んで指導していかないといけないって本当に思っているんですよね。栄養についての専門家ということは分かるんですが、トップクラスのアスリートの食事を通常のアスリートや一般の人への食事と同列で考えないで欲しいってことなんです。本当にひどい事例も見てきたもので、、、

いやっもちろん、分かっている栄養士さん、分かってくれる懐の深い栄養士さんもいますよ。
一緒に、業界全体を盛り上げたいですね。
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今後

今は、やりたいことは全てやらせてもらっていて、すごく幸せなんですけど、やっぱり東京オリンピックまでは、柔道を勝たせるっていうことで一生懸命やっていきますし、大学の中ではバーベルクラブの子たち夢を叶える、、、

みんな同じですね。柔道の子たちはオリンピックで金メダルだし、バーベルクラブの子たちは学生ボディビルの大会で優勝させるっていうのが、僕の夢でもあり、それを一生懸命にやるのがこの4年間ですね。

そして、4年、東京オリンピックが終わったら、僕も少し落ち着くと思うので、時間が出来ると思うんですよね。そうしたら、研究したいんですよね。体作り系の研究をしたいんですよ。いままで一杯経験した中で、やりたいこととか、疑問に思うことがたくさんあって、その研究をしたいんですよね。でもオリンピックが終わるまでは本当に時間が無いっす(笑

研究のネタをたくさん貯めて、この東京オリンピックが終わって現場を離れたら、研究に軸足を移し、そして広める。だから、僕自身のボディビルもたぶんそこら辺までじゃないかなと思ってますね。

それまでに競技者としての実績もたぶんピークを向かえるように頑張りたいですし、そうなれば、話す実績もあり、研究実績も加わるという形になり、より説得力のある実践者になれるのではと思っています。
最後はやっぱりイーグルポーズ

最後はやっぱりイーグルポーズ




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岡田隆 TVと栄養、そして東京オリンピックへ #7
■岡田 隆(オカダ タカシ)
日本体育大学 体育学部 准教授
第50回日本社会人ボディビル選手権大会 男子無差別級 優勝
第22回東京オープンボディビル選手権大会 男子70Kg以下級 優勝
日本オリンピック委員会 強化スタッフ
文部科学省 スポーツ功労者顕彰
JATI-AATI
NSCA CSCS
柔道四段

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