フィジーク・オンライン
Weekly Monthly Shopping
  • トップ
  • フィットネス
  • 【特別編】 高重量ベンチプレスの効果を最大化する肩関節の痛みのマネジメント~MSIコンセプトの視点から~

【特別編】 高重量ベンチプレスの効果を最大化する肩関節の痛みのマネジメント~MSIコンセプトの視点から~

この記事をシェアする

43
掲載日:2018.11.09
記事画像1

なぜ痛くなったか原因を知れば痛みは怖くない

今回は特別編ということでみなさんもきっと経験があるベンチプレスと肩関節の痛みについてお話したいと思います。

これを読んでいる方は、ベンチプレスで肩を痛めたことがある方が多いと思います。
本題に入る前にみなさんにふたつ質問があります。

「あなたがベンチプレスで肩関節を痛めた理由を説明できますか?」

『はい!』と答えた方はどれくらいいるでしょうか?

ではふたつ目は

「どのようにして痛みを克服しましたか?」

ある人は『とにかく安静にした』、ある人は『youtubeで正しいフォームを真似してみた』、ある人は『病院に行って痛み止めをもらった』などなど…

色々あるかもしれません。
実は筋トレをしている人のほとんどは

→なぜ痛くなったかはわからないけど、とりあえず痛みは克服した

という経験をしています。
このような こうしたら治ったという経験はとても大切です。そこから自分に合ったフォームや重量、セットの組み方など様々な発見があります。ただ再発予防という観点からは『治った経験』よりも『なぜ痛くなったか?』を知ることの方が重要だと僕は思っています。

痛みは結果であって原因ではない、原因を追究してあなたが理解することこそが最高のベンチプレスへの第一歩かもしれません。

みなさんが正しいフォームのポイントとして良く聞く『肩甲骨を寄せる』と『脇の開き』があります。

この2つの定説についてMSIコンセプトを学び運動学を専門とする僕の視点でなぜこの2つが大事なのか?どうするのが怪我の再発や予防に適切なのか?を解説していこうと思います。特別編の第1部では『肩甲骨を寄せる』を解説します。

ベンチプレスのいわゆる正しいフォーム『肩甲骨を寄せる』を運動学の視点から

『肩甲骨を寄せる』というのは運動学的な用語で『内転』と言います。
記事画像2
図をご覧になってもらえるとわかりやすいと思います。この肩甲骨の内転は平坦なところをただ横方向に動いているのではなく胸郭上を動いているのでそれに沿ったハンモックに揺られているような動きをします。

この肩甲骨を内転することで

・背中とベンチに支持面を作る
・ブリッジを作ることで下肢の踏ん張りを利用する
・大胸筋をストレッチする
などなど…様々な目的があります。

肩甲骨の内転がどのように肩関節のボトムのポジション(肩甲骨と上腕骨の位置)に影響するのかを説明したいと思います。
記事画像3
この図をご覧ください。
2つの模型(左Aさん、右Bさん)では主に右側の肩甲骨(黄色)と上腕骨(青色)を描いています。
Aさんは肩甲骨の内転が適切であるパターン、Bさんは肩甲骨の内転が不十分なパターンです。横の赤線は肘の位置を同じと規定しています。

見て頂いて2つの違いは明らかですよね。
肩甲骨の内転が不十分なパターンで起こる代償動作は、そう『肩関節の水平伸展』です。

骨を観察すると見えるものがある

記事画像4
肩甲骨と上腕骨で構成される肩関節は可動性に富んだ非常に不安定な関節です。
その多様な可動性を得る為に上腕骨頭に比べて肩甲骨の関節窩(受け皿)は小さく作られています。そのために関節唇や靭帯により補強されています。

この不安定な関節を安定するためには肩甲骨面上に上腕骨をしっかり配置することがポイントとなります。
記事画像5
肩甲骨の内転が不十分である場合には、水平伸展という代償動作が起こり、水平伸展した肩関節にベンチプレスの重量が加わり前面に伸張ストレスが加わることで前面の組織が損傷し疼痛が認められることがあります。
記事画像6
肩甲骨の内転(寄せ)がしっかり出来ていると、肩甲骨の関節窩(受け皿)に荷重されることで安定して爆発的な挙上が可能となります。

ベンチプレスでの肩関節の痛みの原因となる動きはこの肩甲骨の内転が不足するによる水平伸展の増大だけではもちろんありません。

まとめ

①肩甲骨を寄せる(内転する)ことは運動学的に見て怪我の予防にも有効
②肩甲骨の内転は高重量のベンチプレスにおいて肩甲骨と上腕骨の安定性を増大し非常に重要なポイント
③痛みの原因は肩甲骨の内転不足がすべてではなく、3次元的に動きを捉えその人の不足した動きを促し、痛みの原因となる過剰な動きを制御することが大切


次回はもうひとつのポイント『脇の開き』について解説していきたいと思います。
もしこの記事が少しでも参考になった方は、Twitter(physioyusuke@筋トレ怪我ゼロプロジェクト)でショートコラムも書いていますのでフォローして頂けると嬉しいです。まだまだ沢山の方に知って頂きたいことがあります、筋トレでの怪我ゼロを目指し一緒に頑張りましょう!
  • 興津 佑亮(おきつ ゆうすけ)
    【所属】
    西淀病院、NexusMotion大阪、MovementSystemLab
    【経歴】
     2007年~現在まで西淀病院 リハビリテーション科にて勤務。急性期から回復期、在宅で整形外科、中枢神経系疾患と様々な臨床現場での経験あり。入職当初より環境に恵まれPNFの学習も続けており。現在はMSIアプローチとPNF等を利用して患者の治療へ応用して実践している。全国でMSIアプローチ講習会を講師、アシスタントとしても活動している。
    【認定資格等】
    ・理学療法士
    ・IPNFA 認定 PNF Basic course 1+2 修了
    ・IPNFA 認定 PNF Advanced course 3 修了
    ・Diagnosis And Treatment Of Movement System Syndromes Introduction to Concepts and Applications.(導入編コースを現地で修了)
    ・Diagnosis And Treatment Of Movement System Syndromes Upper Quarter Advanced Applications.(応用編上肢コースを現地で修了)


  • 【SNS】
    Facebook:Yusuke Okitsu
    instagram:physioyusuke
    Twitter:physioyusuke@筋トレ怪我ゼロプロジェクト
    Facebookでの申請は一言メッセージを頂けると幸いです。