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【特別編 第2部】 高重量ベンチプレスの効果を最大化する肩関節の痛みのマネジメント~MSIコンセプトの視点から~

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掲載日:2018.11.16
記事画像1

原因とは組織の損傷(痛み)を引き起こす運動である

前回は特別編の第1部として『肩甲骨を寄せる』ことがどのように肩関節の損傷(痛み)に影響があるのかをシンプルなモデルを使って説明しました。
肩甲骨を寄せる(内転する)ことが出来ないことで肩関節の水平伸展が増大して肩関節の前面の組織に何らかのストレスやそれに伴う損傷を引き起こすということでした。

このような痛みの原因となる動きの問題をMSIでは原因(Cause)と呼びます。そしてこの原因となる動きを修正することで痛みが消失/緩和すれば症候群という形で分類していきます。

少し専門的な言葉で難しいかもしれませんが、痛みの原因となる動きをタグ付けして分けておくイメージです。そうすることで同じ肩の痛みでも原因となる動きは異なりますのでそれを分別しておきます。
記事画像2
肩甲骨が外転していて、内転する(肩甲骨を寄せる)と痛みが消失/緩和する場合には肩甲骨の外転症候群(注:MSIの正しい分類名は外転を伴う肩甲骨内旋症候群といいます)という形です。そしてこの外転してしまう理由が何かを検査測定で明らかにしていきますそれを関与因子といいます。

少しMSIについても触れましたが、このような流れでひとつひとつの原因と関与因子を評価することでその方の痛みを紐解いていきます。これが私達理学療法士の専門性ともいえるかもしれません。

さて本題に戻ります。

ベンチプレスの『脇の開き』を運動学の視点から解説

記事画像3
ベンチプレスの『脇の開き』は運動学的な用語で肩関節の『外転』といいます。

そしてこの肩関節の『外転』運動ですが、ただ上腕骨が動いているわけではなく、その土台である肩甲骨も『上方回旋』することで肩関節の大きな可動性に貢献しています。
この肩関節と肩甲骨の協調した運動のことを『肩甲上腕リズム』といいます。

肩甲上腕リズムって?

記事画像4
『肩甲上腕リズム』については諸説ありますが、外転運動の際には
肩関節が2°動くと、肩甲骨が1°動くというだいたい2:1の割合で動くと言われています。
なので、180°外転(腕がバンザイの位置)しているということは60°の肩甲骨の上方回旋を伴っていると考えてください。(ただし綺麗に常に2:1の割合で動くわけではなく、例えば30°外転運動が起こったところから肩甲骨が動き出す方もいれば、外転運動の開始から肩甲骨が上方回旋する方もいますので綺麗な2:1ではないことだけは覚えておいてください。)

ということで、難しい話は置いておいてこの肩甲上腕リズムは正常な運動ではあるのですが、ベンチプレスという競技の特性上少しやっかいな点がひとつあります。

それは特別編の第1部で説明した『肩甲骨の寄せ』がしにくくなるという点に繋がってきます。
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あまり専門的な用語では説明するとややこしくなるので『脇を開く』と肩甲骨が外側(肩甲骨の上方回旋や内旋が主)についてくると思っていてください。

ベンチプレスの時に脇を少し開いてバーを握ります。脇を開いているにも関わらず我々は肩甲骨を寄せよう(内転や下方回旋)としているわけです。
記事画像6
図を見るとわかりやすいかもしれません。

実はベンチプレスで必要な動きは相反する難しい動きだということが理解できます。
脇を開けば開く(肩関節の外転をすればする)ほど、『肩甲骨の寄せ』が難しいということになります。もしかするとみなさんも経験があるかもしれません。

よって肩甲骨の寄せが上手く出来ない方やそれが原因で肩関節の痛みがある方は、あまり脇を開き過ぎずに少しグリップの幅を狭くしてベンチプレスに取り組むほうがいいかもしれません。

最後に…

この肩関節の外転で肩甲骨を外側へ引っ張る要因として2つのことが挙げられます。
記事画像7
①上腕骨と肩甲骨の間で背面に付着する筋群(特に大円筋)が硬すぎる
②肩甲骨の内転筋群(特に僧帽筋の下部)の筋力が弱いまたは長いことによって上手く使えていない

ことが考えられます。
これらの筋群のアンバランスがある方は、
肩甲骨をしっかり寄せる+脇の開きを少し狭くする
以外にウォームアップ、クールダウンとして①と②のケアをしっかり行うことをお勧めします。

まとめ

①『脇の開き』で起こる上腕骨と肩甲骨の動きの協調を肩甲上腕リズムという
②『脇の開き』を大きくすればするほど『肩甲骨の寄せ』が難しくなる
③肩甲骨が外側へ引っ張られやすい要因に、大円筋(肩甲骨を外側へ引く)と僧帽筋下部(肩甲骨を内側へ引く)のバランスが重要


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  • 興津 佑亮(おきつ ゆうすけ)
    【所属】
    西淀病院、NexusMotion大阪、MovementSystemLab
    【経歴】
     2007年~現在まで西淀病院 リハビリテーション科にて勤務。急性期から回復期、在宅で整形外科、中枢神経系疾患と様々な臨床現場での経験あり。入職当初より環境に恵まれPNFの学習も続けており。現在はMSIアプローチとPNF等を利用して患者の治療へ応用して実践している。全国でMSIアプローチ講習会を講師、アシスタントとしても活動している。
    【認定資格等】
    ・理学療法士
    ・IPNFA 認定 PNF Basic course 1+2 修了
    ・IPNFA 認定 PNF Advanced course 3 修了
    ・Diagnosis And Treatment Of Movement System Syndromes Introduction to Concepts and Applications.(導入編コースを現地で修了)
    ・Diagnosis And Treatment Of Movement System Syndromes Upper Quarter Advanced Applications.(応用編上肢コースを現地で修了)


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