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足首(足関節)の捻挫を早期に回復させる方法とは?

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掲載日:2015.06.05


今回は様々な競技でみられる「足首(足関節)の捻挫」のセルフケアについてお話しします。

私のところには、急性期(捻って間もない)や慢性期(数か月〜数年前に捻挫)の様々な足首捻挫の方々が訪れます。当然その中には足首周辺の骨折を伴った捻挫もあります。「骨折を伴った捻挫」という表現は少々違和感があるかもしれませんが、実際「骨折(ヒビも含む)」と診断されれば、そこから「捻挫」の存在は消えてしまいます。

しかし、骨にヒビが入るほど足首を捻ったわけですから当然重度の捻挫を起こしているのは容易に想像がつきます。実際、どこの骨折でもそうですが骨が癒合(ひっつく)した後に痛みや動きの制限が残るのは骨折部ではなく関節部やその他の筋・腱の部分です。もちろん長い期間固定していたために起こるものも多いですが、「捻挫」を放置した結果であるものも多く見受けられるのも残念なところです。

軽傷と思われるほどの捻挫でも、和式便所に座るような動作に難を残しているものも数多く見受けられます。足首の骨が折れて大きくズレてしまったものに関しては手術や長きに渡る固定が必要なケースもありますが、今回は軽度の捻挫から重度な捻挫、そして骨のヒビに至るまで受傷後早期に行うことのできるセルフケアについてご紹介したいと思います。受傷直後、医療機関での処置を受けながら出来ることをお話しできればと思います。


捻挫と骨折(ヒビ)




先述したように、捻挫と骨折は全く異なったものではなく、一緒に起こっています。デジタル思考で「捻挫」と「骨折」は別物ではなく、捻って(捻挫)その限界を越えて骨が折れるわけですから、骨にヒビが入った場合は「捻挫+骨折(ヒビ)」と考えなくてはいけません。

レントゲン上で骨にヒビが入っているのが見つかったとたん捻挫という文字は消えてしまいます。これでは骨は治ったが捻挫は放置されている状態ですから、「骨は治ったが足首が動きにくい、痛い」状態が残ってしまうことになります。

むしろ骨のヒビの場合は捻挫と捉え、捻挫に対するケアを忘れてはいけません。そして捻挫に至っては、靭帯損傷だけがクローズアップされますが、捻挫での後遺障害を診ていますと靭帯以外の部分に痛みや違和感、硬さが残っていることを多く経験します。

下の写真の矢印の部分にしゃがみ込み動作を邪魔する痛みが残ることが多いのですが、実はこの部分は靭帯ではなく、指を足の甲側に曲げる筋腱があり、数か月〜数年経ってもこの部分に軽い腫れを残しているのも多く見かけます。


固定について




今回は捻挫および骨折(ヒビに限る)について考えます。重症度は色々ありますが基本的には強固な固定は避けるべきです。特に強固かつ不適切な形でのギプス固定や、テーピングのやり過ぎは固定している時の楽さに反して後の機能障害を残すことが少なくありません。固定は必要最小限の強度・期間を心がけなくてはなりません。そのあたりに明るい医療機関を探しておいてください。


捻挫を起こしてしまったら


捻挫を起こしてしまったら、まずはどのような状態なのかを把握しなくてはなりません。直ぐに医療機関にかかる事のできる環境であれば受診して状態を把握することが出来ますが、そうでない環境の場合もあります。

病院がお休みの日曜日などに地方での合宿中に起きたケガの場合などは翌日以降の受診を余儀なくされる場合もあるでしょう。その場合、受診までの時間可能な限りやれることをやらなければなりません。しかも受傷後の3日間はケガを治すために最も大切な期間です。

まず行って欲しいのは氷冷(アイシング)です(こちらの記事を参照 怪我をしたとき 「冷やす?」 or 「 温める?」部位別コンディショニング&ケア① −生理的局所冷却アイシング−)。氷の無い環境下ではその他の物を使っても構いませんが、氷が用意できる環境ならば必ず氷を使って下さい。氷は元々私たちと同じ「水」から出来ていますので、熱の輸送に無理がありません。

ビニール袋に水洗いした氷を入れて患部に直接当てる方法でもよいのですが、足首捻挫の際には以下の方法がおススメですので是非お試しください。


アイシング




(1)大きめのバケツ(漬物桶のようなもの)に水と大量の氷を入れます。水の量はくるぶしより10〜15cm程度高めまで浸かるようにしておきます。
(2)足の先(指)に靴下を履かせます。
(3)大きなポリ袋(45L程度) に足をスッポリ入れ、足の裏をしっかりとバケツの底につけて冷やします。時間は30分程度
(4)最後の5分間は立って荷重をかけた状態で行います

この方法では、水圧による圧迫も利用できますので、捻挫して安定性を失った足首を安定させてくれます。水圧はまんべんなくかかりますので、テーピングなどの不均衡な圧迫よりも有効に働いてくれます。

テーピングの不均衡な圧迫は腱や体内にある色々な膜を不均衡にしてしまう可能性がありますので、あまりぐるぐる巻きのテーピングはおすすめできません。足が地面に着けない間は、松葉杖などを使っているわけですからあえて固める必要はないのです。固めることで筋・腱・その他の膜の可動性を失わせることは得策ではありません。

また初期より慎重に足を着くように徐々にかつ早期に荷重させれば関節の機能は早期に回復してくれます。強い固定や長期の固定と非荷重(荷重をかけない)は驚くほど筋・腱・その他の膜を含めた関節機能を壊していきます。松葉杖を補助的に使い出来る範囲で足を地面に着いていくと、それ自体が足首の関節を正しい位置に戻してくれますので完全安静ではなく、可能な範囲で荷重をかけていきます。



その後のケア①【関節の修復】
バケツでの氷冷や氷のうによる継続した冷却に加えて、もしパートナーがいれば写真①のように脛すねにある2本の骨を両サイドから締め付けてもらい、その状態のまま屈伸をゆっくりと繰り返します。これによって、不正になった足首周囲の骨格が整い、周辺組織の修復を可能な限りパーフェクトなものへと近づけていきます。

パートナーがいない場合は、写真②のようにゴムチューブやバンドを巻いた状態で屈伸をゆっくりと繰り返してください。3週間後からは、チューブやパートナーなしで屈伸を行ってください。その際重要なのは、つま先を真直ぐに向けて行い、勢いなどは一切使わず、屈みも伸びもゆっくりと呼気にて行うことです。

その後のケア②【歩行】
足首の関節にしっかりとした圧力をかけて、関節面の潤滑を良くし、かつ周辺筋肉の連動をスムーズなものにしておくことも重要です。その為には、ある程度持続する運動が必要となります。

最もおすすめなのが歩行です。走るのではなく歩いて関節を整えます。関節と筋肉の機能を考慮したウォーミングアップ でご紹介したように、関節面に圧力がかかった方がすぐれた潤滑能力を発揮します。障害された関節面の潤滑を回復させなくては、周辺の筋肉や腱に大きな負担をかけることになりますので、筋腱の回復に加えて関節面の潤滑を忘れてはいけません。

鉄の塊100kgをツルツルに潤滑する氷上でひっぱり運ぶのは容易ですが、摩擦が強く潤滑しないゴムの上をひっぱり運ぶにはかなりの労力を要します。

関節面に置き換えれば、その労力はダイレクトに筋腱にかかることになりますから、日常や競技時に大きな負担を強いられることになるのです。そのような理由から、早期に関節には「荷重をかけて動かす」という作業が必要になるのです。

具体的な方法としては下記の通りです。
①持続時間は約40分間
②肘を70〜80度曲げて、手は軽く握り親指を立てる
③一線を挟むように足を進める
④20〜30m先を見て歩行する
⑤慣れてきたら、スピード&歩幅を徐々にアップする
⑥スニーカー等、道路の傾斜や凹凸を干渉できるような靴を選ぶ
捻挫の後遺症については?
ここまでご紹介した方法をそのまま実行してください。

①氷での冷却(1回約30分間)
②屈伸運動
③歩行(約40分間)

これだけでもかなりの後遺障害を克服できるはずです。あきらめずに頑張ってください!

  • 中山 辰也(なかやま・たつや)
    中山予防医学研究所

  • MODEL: 好川 菜々(Nana Yoshikawa)
    生年月日 1978年6月25日
    出身地 大阪府
    血液型 AB型
    身長 164cm
    所属 雅ボクシングジム

    タイトル
    2005年 第3回全日本女子アマチュアボクシング選手権大会フライ級 準優勝
    2006年 第4回全日本女子アマチュアボクシング選手権大会フライ級 優勝
    2008年 第6回全日本女子アマチュアボクシング選手権大会ライトバンダム級 優勝(2階級制覇)
    2012年 第10回全日本女子アマチュアボクシング選手権大会フェザー級 優勝(3階級制覇)
    2012年 第7回AIBA世界女子ボクシング選手権フェザー級 ベスト16

    戦績
    アマチュア:77戦55勝、プロ:1戦1勝

フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 004 ]

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