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三大栄養素と食物繊維の重要性 / ダイエットコーチに学ぶスポーツ栄養学 (2/2)

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掲載日:2015.06.05

脂 肪(Fat)はなぜ大切なのか?




食事である程度の脂肪を摂るのは、テストステロンを始めとしたホルモンバランスの維持に重要です。脂肪を減らし過ぎたときに出る影響で分かりやすい物として性欲減退があります。減量中でも完全にカットしてしまうようなことは避けましょう。
摂取量の目安は? LBM=除脂肪体重
減量 → 0.9〜1.3g/kg LBM  増量 → 総カロリーの20〜30%
減量の場合
減量時には全体のカロリー摂取量を低くしますが、脂肪は1gあたりのカロリー量が一番大きいので、脂肪を減らすとカンタンにカロリー摂取量を大きく下げられます。ただ、上記のホルモンバランスの関係で、たんぱく質と同じように不足しないように注意が必要です。除脂肪体重1kgあたり0.9gを下回らないようにしましょう。リーンゲインズで日によって脂肪の摂取量が変わる場合は、平均値としてこの数字以上を保つように考えてください。

0.9g〜1.3gという幅を持たせているのは、個人差に対応するためです。体脂肪率の高い人は、脂肪の摂取量の割合を高めにするとうまく行くことが多いです。これは一般的に体脂肪が低くなるほどインスリン感受性が良くなることと関係しています。というコトで、体脂肪率が高めの人は1.3g/kg LBMよりの設定、すでに体脂肪率が低い人は0.9g/LBMよりの設定を試してみるのをオススメします。

増量の場合
増量時にはカロリー摂取量を高くしますが、脂肪は満腹感に悩まされることなく全体のカロリー量を上げるのに便利です。脂肪の摂取量を上げると選べる食べ物の選択肢が広がるのも嬉しいポイントです。これまで増量時の脂肪の摂取量の具体的な数字を公開していませんでした。もう少しクライアントさんの結果を踏まえて考えたいと思っていましたが、このピラミッドシリーズを書くにあたって参考にしたエリック・ヘルムスのビデオで、彼が20〜30%という数字を挙げているのがヒントになりました。

普段は三大栄養素の設定を決めるのにパーセント基準で考えることはないんですが、これまでのクライアントさんとの結果と照らしても納得できる数字です。ここでの摂取量の幅は、個人の好みです。インスリン感受性の影響もあって個人差も出てくるので、いろいろ試してみてください。


炭水化物(Carbohydrate)はなぜ大切なのか?




ヒトは炭水化物がなくても、たんぱく質と脂肪でとりあえずは身体の機能を保つ事ができます。しかし、炭水化物が影響するホルモンもありますし、グリコーゲンとしてトレーニングをやり抜くエネルギー源になり、何より毎日の食事がずっと楽しくなります。

というコトで、たんぱく質と脂肪を優先する関係上、炭水化物はある程度制限することになりますが、完全にカットしてしまうのはオススメしません。 減量時に筋肉を維持するには、たんぱく質の確保と共にトレーニングがとても大切です。場合によっては、たんぱく質より影響が大きいかも知れません。

炭水化物をカットし過ぎるとエネルギー不足で力が出ず、疲れが抜けず、十分なトレーニングができなくなる人が多いです。
摂取量の目安は?
減量 → カロリー残り分  増量 → カロリー残り分

食物繊維(Fiber)なぜ大切なのか?





摂取量の目安は?
上の図の数字の範囲内におさめて、いきなり摂取量を大きく変えないようにしていれば大丈夫ですが、自分がどれだけ食物繊維を摂っているかってハッキリ分かりにくいと思います。一般的な日本人の食生活だと下限の摂取量にも達していないようなので、野菜やフルーツを増やす方向で考えれば大きくは外さないかなと思います。

食物繊維は炭水化物に分類されます。細かい話をすると不必要に長くなってしまうので省略しますが、いわゆるでんぷん質の炭水化物とは違う種類です。食物繊維にも少しカロリーがありますが、腹持ちがよく、全体のカロリー摂取量に大きく影響することなく満腹感を長持ちさせることができます。食べ物の消化がゆっくりになり、血糖値が安定しやすくなったり、コレステロールを下げる他、便秘解消に、大腸がんのリスクを下げる効果まで期待できます。

良いことづくめの食物繊維ですが、あんまりムチャをすると摂り過ぎてしまうこともあります。その場合の副作用は、ガスっぽくなる、下痢、便秘、むくみなどがあります。「オナラだと思ったら・・・」なんてことの無いように気を付けましょう。


番外編 アルコール(Alcohol)


アルコールを摂取すると思い切りがよくなる。普段おとなしい人の賑やかな一面が見れる。痛みが分からなくなる。多少の食べ過ぎも忘れさせてくれる。三大栄養素のようにアルコールにもカロリーがありますが、ヒトの身体に必要な栄養素ではありません。

摂取量の目安は?
場所や状況によって変わります。私がイギリスで観察してきた限りでは、パブのカウンターに一人で座っている女の子が絶世の美女に見えてきて、なおかつ自分の足でカウンターまで歩いて行き、それなりに言葉を操って話しかけることができる範囲でバランスを取るのが大事だと思われます。あとは現場でどのくらい度胸が出るかで、追加摂取が必要かを考えると良いでしょう。

多くの人にとってお酒は生活の一部です。完全に断つことができればもちろん効果的ですが、あまり現実的ではないでしょう。アルコールは1gあたり7kcalで、お酒として飲むときにはたいてい炭水化物が合わせて含まれています。ワインならブドウ、ビールならホップに大麦や小麦、お酒を割る炭酸水やジュースには砂糖が入っています。

飲む量をちゃんとコントロールできれば、飲んだ分に合わせて食事量を調整することで対処できます。自分の飲んでいるお酒のカロリーを調べて(こんなメーカーサイトが便利です)、1日のカロリー摂取量から引き算、それに合わせて三大栄養素の摂取量を調整しましょう。こうすることで、三大栄養素は目標の摂取量から多少ズレますが、ピラミッドの中で一番重要なピースであるカロリー収支は保つ事ができます。 !

例えば・・・ビールを3杯飲んで、カロリーを調べたら600kcalだったとします。炭水化物75g(300kcal)と脂肪33g(297kcal)をその日の摂取量から削ればカロリー収支は目標値を維持できます。

ただ注意しておかないといけないポイントがふたつ。アルコールにはカロリーがありますが、上に書いたような他の三大栄養素にある効果はないので、しょっちゅうガブ飲みをするのはナシです。

その日のカロリー摂取量とのバランスにもよりますが、たんぱく質は筋肉の維持・成長に大切なので、できるだけ炭水化物と脂肪で調整するように考えましょう。「とにかくお酒が好きでダイエットに失敗してきた。今度こそ!」と思っている方がいれば、コチラのページ(athletebody.jp)でもう少し詳しく減量中の飲み方の作戦を書いています。

リーンゲインズ実践中の方へ【トレ日と休息日の使い分けの話は?】
トレーニングをする日にはカロリー摂取量を上げて、トレーニングしない日は下げるという方法はこれまでにもありました。そうすることで食事で摂った栄養素がうまく使われ、体形改善に効果的に働くという考え方です。

マーティン・バークハンは、さらにもう一歩突っ込んでトレーニング日には炭水化物を増やして脂肪を控え、休息日には炭水化物を減らして脂肪を増やすリーンゲインズのシステムを作りました。私はこれは非常に効果的だと思いますが、重要度ピラミッドの中では四番目の「食事回数・タイミング」のカテゴリーに入ります。食事タイミングの記事の中で話をしたいと思いますが、ウチの読者さんの多くは例外として、ほとんどの一般人にとっては生活を必要以上に複雑にしてしまうだけだったりもします。

もし、たまたまネット検索でこのサイトを見つけたり、友だちに教えられて初めて来て、なにがなんだかと思っている人が居れば、とりあえずは考えなくても大丈夫です。ピラミッドの土台から押さえて行くように考えてください。

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  • アンディ・モーガン
    イギリス出身のダイエットコーチ兼パーソナルトレーナー。日本在住で滞在歴は7年。フィットネス業界にはいい加減な情報やデタラメが多く、特に日本では本当に使える情報源が少ない現状を少しでも変えたいと、ウェブサイトを立ち上げて日本語・英語両方で情報を発信している。ボディビルダー、格闘家、一般トレーニーなどのダイエット指導を行う一方、その指導経験をガイドにまとめてウェブサイトで公開中。

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