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高重量を挙げるための体を作るベンチプレスのトレーニング方法(1/2)

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掲載日:2016.01.15


前回の記事では、ベンチプレスにおけるSTEP1=ベンチプレスをはじめたばかりの初心者のための卜レーニング方法をご紹介しました。

今回は、STEP1の目標を達成した後に移行する、STEP2のトレーニング方法を紹介したいと思います。

 

STEP2のトレーニング方法


■トレーニングの目的:より高重量を挙げるための体を作る
STEP1の目的が達成できたらSTEP2に移ります。このSTEP2のトレーニングの目的はより高重量を挙げるための体を作ることです。STEP1の時期では、言ってみればどんなトレーニングを行っても勝手に強くなってきます。

初めてベンチプレスをしたときに40kgしか挙がらなかったとしても、ベンチプレスに慣れることで、3ヶ月後には30kgアップの70kgが挙がるということもあるでしょう。

このような短期間での大幅な記録の向上は、単純に力の出し方がうまくなったことによるもので、トレーニングで体が作られることによる効果は微々たるものです。

力の出し方を覚え、自身の持っている力を引き出せるようになった後は、地道にベンチプレスを挙げるための体を作っていかなければ記録は伸びてきません。

一般的に「パワーリフターやベンチプレッサーは低回数の神経系強化のトレーニングを中心に行っている」と思われがちですが、そうではありません。

いくら神経系強化のトレーニングを行っても、引き出せる力が自身の体に元々なければ、ほとんど意味がないのです。

筋量・筋力をアップさせるトレーニングを地道に行い、より高重量が挙がる可能性を持った体を作ることが、何もより大切になってきます。

これは極端な例かもしれませんが、児玉選手は試合形式のトレーニング以外で、低回数のセットを組むことはほとんどなく、必ず8回以上狙いという高回数でセットを組みます。また児玉選手がオーナーを務めるK'sジムでも、低回数でセットを組む選手はほとんどいません。

基本的には8回〜10回狙い、少なくても6回狙いでセットを組み、中には15回狙いでセットを組む選手もいます。


■フォーム:しっかりと肩甲骨を寄せる

【左/写真1】肩甲骨を寄せた状態(背中側)
【右/写真2】肩甲骨を寄せた状態(横側)


STEP1では肩甲骨の寄せも、腰のアーチも作らない、ベタ寝ベンチのフォームでトレーニングを行いましたが、STEP2では肩甲骨を寄せたフォームでトレーニングを行います。【写真1・2】

これはSTEP1で力の出し方を覚え、扱う重量が上がってきたことによる肩の怪我の可能性を減らすためです。また、肩甲骨を寄せることで、より胸の筋肉を効率良く使えるようになるため、扱う重量も増します。(通常は5kg前後)

ベタ寝ベンチのフォームだと背中全体で重りを支えますが、肩甲骨を寄せたフォームでは両肩で重さを支えることになり、最初はフォームを安定させることが難しいかもしれません。しかし、よリ高重量で、より安全にトレーニングを行うためには、肩甲骨の寄せは必要不可欠になってきます。

なお、フォームが変わってもSTEP1同様、挙上時に絶対に尻を浮かさないようにします。

■重量と回数:7RM〜9RMの重量で8回〜10回狙いのセットを組む
STEP2では7RM〜9RMの重量で8回〜10回狙いのセットを組みます。(基本は8回狙い)
「体を作る=筋量を増やすためにはSTEP1の10回〜12回狙いの方が良いのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、この回数の設定はSTEP1と違い補助種目を行うことによります。

補助種目をしっかりと行う場合、筋力アップも期待できる8回狙いでセットを組み、補助種目を軽くしか行わない場合、主に筋量アップが期待できる10回狙いでセットを組むといったように、補助種目の実施状況によってセットの組み方を変えてみるのも良いかもしれません。

■セット数:2〜3セット、メインとなるセットは絶対に重量を下げずに行う
セット数は基本的には2〜3セット、STEP1と同様にメインとなるセットは必ず同重量で行います。STEP1に比べセット数が少ないのは、STEP1で力の出し切り方を覚え、少ないセットで力を出し切れるため。補助種目を行うためです。

■インターバル:インターバルはSTEP1同様、前のセットの疲れが抜けるまで
インターバルはSTEP1同様、前のセットの疲れが抜けるまで取り、STEP1のときよりも1セット毎の疲労度が上がっているため、インターバルも少し長め取ります。

目安としては5分〜7分程度で、1セット目が10回で2セット目が7回といったように、1セット目と2セット目で3回以上の差が出ないように設定します。

■補助種目:あまり多くの種目を行わない
STEP1からSTEP2に移ると、地力の底上げとして補助種目を行いますが、ここで気をつけなければいけないのが、あまり多くの種目を行わないということです。

種目が多くなるとなんとなくセットをこなすだけ、筋肉の張りを意識するだけといったことに陥りやすくなります。

補助種目を「ベンチプレスを伸ばすための補助種目」として行う場合は、ストリクトなフォームで行いつつ、しっかりと重量と回数にこだわってトレーニングを行う必要があります。

補助種目を選択する際に、基本的にはベンチプレスに必要となってくる「胸・上腕三頭の補助種目」、「胸の補助種目」、「上腕三頭の補助種目」の3つのうち、それぞれ1種目ずつ選択するようにします。
 

胸・上腕三頭
ダンベルプレス、ディップスなど


マシンフライ、ダンベルフライなど

上腕三頭
プレスダウン、トライセプスエクステンションなど

【写真3】ダンベルプレスは可動域を最大に使い、ボトムで1秒止めて一気に押し挙げる。


胸・上腕三頭の補助種目については、ベンチプレスと同様に、「○kgで何回が挙がれば次回から重量を増やす」といったセットクリア条件を明確に決めておき、トレーニングを行います。

基本的にはどの補助種目でも重量は10RM〜12RMの範囲で設定し、セット数は2〜3セット、インターバルは3分以上は取るようにします。

なお、児玉選手が好んで行っていたのが、胸・上腕三頭の種目=ダンベルプレス、胸の種目=マシンフライ、上腕三頭の種目=プレスダウンとなります。

特に、ダンベルプレスはベンチプレスでのスティッキングポイントになりやすい部分の強化につながるということで、重点的に行っていました。

方法としては肘を曲げてダンベルを下げる際に、肩甲骨を寄せながら胸を張り、肘をこれ以上下げられないぐらいまで下げ、胸のストレッチを効かす。その一番きつい部分で1秒止め、そこから爆発的に押し挙げます。

マシンフライやプレスダウンを選択している理由は、怪我の可能性の低い種目であるということ、また高重量を扱いやすいということからです。
 
  • ベンチプレス 基礎から実践 ベンチプレスが誰よりも強くなる(VOL.1)
    平成23年9月1日初版1刷発行
    著者:東坂康司
    監修人:児玉大紀
    発行人:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ ベンチプレス 基礎から実践 ベンチプレスが誰よりも強くなる(VOL.1) ]

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