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筋発達は遺伝や素質に関係するのか?「効きやすさ」と「素質」の関連性を考える!

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掲載日:2016.06.16


遺伝や素質という呪い


トレーニングをする人達はどんな目的があってトレーニングを行っているんだろうか?健康になりたいから?それとも女の子にもてたいから?ちょっとだけ筋肉を付けたいんだっていう人もいるかもしれないけど、この記事の読者ならきっと極限まで、筋量を増やしたいっていう人が多いんじゃないだろうか?

誰だって努力しているんだから結果が欲しい、だけどコンスタントに結果を残しているって実感している人はいったいどれくらいいるんだろうか?

バーベルを初めて握ったばかりの頃は、毎回のワークアウトで筋力や筋量がどんどん増加して、この調子でいけばチャンピオンになる日も近いってイメージできていた人も、キャリアが増すにしたがって進歩の度合いが落ちてきたり、中にはもう何年も進歩なんてしていないよっていう人までいるだろう。

周りを見渡すとどうだろう?同じくらい努力しているように見えるジムのメンバーが、自分よりも筋肉が発達しているようだとか、キャリアが自分より短いにも関わらず、ずっと大きな筋肉を持っている奴がいるとか、そんな事ばかりが気になっている人も多いはず。

そんな時に決まって出てくる言葉は「自分には彼らのような素質が無いんじゃないだろうか」つまり「遺伝的に僕は・・・」という心の声だ。

確かに、遺伝や素質は各人の可能性を決める要因である事は否定できないだろう。例えばよく用いられる身体のタイプに「内胚葉・中胚葉・外胚葉」という3つの分類がある。

内胚葉型の人は一般的に肥満傾向にあり、中胚葉型は筋肉質傾向で肩幅が広く四角い体型、外胚葉型は痩せ型の傾向で骨格が華奢であるとされている。これらの傾向は生まれつきであり、基本的には環境や運動で大きく変化する事はないとされている。

その他筋肉の発達における遺伝や素質的な影響の因子としてあげられる代表的なものに骨格、筋肉の長さや幅、速筋・遅筋の割合や脂肪細胞の割合、神経系の発達レベルやホルモンのレベル、気質(個人が示す情動や感情反応の特徴)等数え上げたらきりがないほどだ。

だけどちょっと待って!もしも遺伝的に・・・という言葉を、あなたが筋肉が発達しない理由として採用するならば、意識のレベルと無意識のレベルであなたは100パーセントの努力を行わなくなるだろう。

人間とは、努力に対する報酬や結果が予期できなければ、努力する事がとっても難しい生き物なのである。そして遺伝的に・・・といった場合には、必ず誰か対象になる何かがあるはずだ。あなたは、誰かと比較して遺伝的に・・・という事を考えているわけだ。

しかし、あなたが本当に目指すものは、自分自身の潜在能力を100%引き出す事じゃないのだろうか?ボディビル競技は他者との比較によって行われるが、あなたはどんなに努力しようとも他の誰かではなく、あなた自身にしか、なる事はできない。

他の誰かの才能を妬むことなく、あなたが自分自身の究極の身体を目指した時に、進歩の妨げになっている、こころのブレーキは解除され、最大限に潜在能力は開花するだろう。

「実際僕の関わってきた多くのクライアントの中には内胚葉型のクライアントが明確な目標を持つ事で筋肉質の引き締まった身体になったり、外胚葉型の人が高強度のトレーニングと食事の改善によって5年間で30kgの増量に成功した例もある。確かに基本的な骨格は変えることはできないけれど、努力によって変化は確実に起こったのだ。」

ここでマイク・メンツァーの言葉を紹介しよう。
「アーノルドは預言者ではない、彼がトレーニングをはじめた頃は将来どんな身体になるかなんてわかっていなかった。私もトレーニングをはじめた頃は十分な情熱以外何も持たないペンシルバニアの細い少年だったんだ」

そう、あなたが最大限に潜在能力を発揮させた姿は誰も予想はできない。誰もがマイクやアーノルドのような肉体を手に入れる事はできないだろう。しかしあなたが100パーセント潜在能力を引き出す事ができたなら、あなた自身が、いや誰も予想できないほどの素晴らしく発達した肉体を手に入れる事が可能であるという事も事実なのだ。


クライアントAさんの例


Aさんは20代前半のボディビルダー、地方のボディビルコンテストに3年連続して予選落ちした。上記の事実を見て彼を素質がある選手だとは誰も思わないだろう。彼自身も自分の素質について思い悩んでいた。

しかし僕と一緒に本格的にヘビーデューティートレーニング(以下HDTと表記)に取り組み、翌年地方コンテストで入賞。その2年後にはブロック大会(更にレベルの高いコンテスト)で準優勝という好成績を収めることになった。

この時点で彼に素質が無いなんて言う人がいるだろうか?そしてもちろん彼自身も素質が無いなんて考える事も無くなった。連続予選落ちしたAさんもブロック大会で準優勝したAさんも同じ人間なのに状況が変れば人の見方も、自分の考えも変化する。

今やAさんはボディビルの才能に恵まれたAさんになったのだ。もしもAさんがHDTに取り組むことなく4年連続、5年連続予選落ちしていたらどうだっただろうか?もしかすると彼は自分の中に秘められた潜在能力を開花する事無く、ボディビルを辞めていたかもしれない。

では、なぜ彼は変われたのだろうか?HDTを一緒に取り組む事で、筋量が増えるという手ごたえを感じ、翌年にはその成果が実り地方コンテストで入賞。その結果、この方法なら「でかくなる」ということが確信となり、更にそれが大きなモチベーションを生み、その後更にレベルの高いコンテストで準優勝という結果をもたらしたのだ。

MRオリンピアを連覇したドリアン・イエーツ(HDTの実践者としても知られる)はどうだろうか?彼はボディビルの開始時にウェイトに一切触ることなく3週間ウェイトトレーニングについてリサーチし知識を頭に詰め込んだのだ。

そして自ら取り組むアプローチを「いくつかある方法の一つ」ではなく「確信的なアプローチに変え」短期間で世界の頂点に到達することを可能としたのだ。

Aさんとドリアン・イエーツに共通する点は何だろうか?これだと思う方法を見出し、結果を得ることで確信に変え、素質や遺伝という言い訳は消し去った。そしてさらに大きな目標に全力でチャレンジできたのだ。

元ミスターオリンピア、ドリアン・イエーツ



効きやすいという事と素質との関連性を考える


次に素質を少し別の角度から考えてみよう。「腕が効きやすい」とか「脚があまり反応しない」とか言う人達がいるけど、そんなトレーニー達がほとんど口を揃えていう言葉も「僕は遺伝的に腕が発達しない」とか「遺伝的に私の脚は反応し難い」という言葉だ。

しかし僕は原因がそれだけだとは考えないし、もっと大きな要因があると考える。その一つは脳に組み込まれている運動プログラムに原因があるとは考えられないだろうか?

本来運動動作はその人にとって効率の良いプログラムが長い年月をかけて学習され取り入れられていると考えられる。効率良く筋力を発揮するためには、できるだけ力をたくさんの部位に分散し、より多くの筋を動員したほうが有利なわけだ。

しかしボディビルの場合それは大きな問題となる。例えば上腕二頭筋を鍛えようとバーベルカールを行う場合、効率を優先させるような動作がプログラムされていると、ターゲットの筋以外の肩や胸、上背部や脚の筋まで分散して運動を行う事になるわけだから、肝心の上腕二頭筋をオールアウトさせる事はとても難しくなるだろう。

じゃあどうすれば、ターゲットの筋をオールアウトさせることができるだろうか?答えは簡単。人間の脳はとても性能が良くって、あえて非効率的だと思われるプログラムも何度も繰り返し学習することでプログラムを書き換えることができるのだ。

次に少しイメージしてもらいたい。利き手と反対側の手(右利きの人なら左手)で字を書く事を思い浮かべて欲しい。両方の手は、脳から同じ距離に位置するのに同じように文字や絵を書く事はできない。それは何故か?

生まれてからずっと繰り返し繰り返し動作を利き手中心で行うことで、繊細な動作が可能になったわけだ。反対側の手だって同じように反復練習を行えばかなり細かな動作が可能になるよう短期間に学習できる(骨折して利き腕をギプス固定した時なんか、反対側の手でも箸が使えたり、字が書けるようになるように)。

これらをトレーニングに置き換えて考えれば、効き難い部位の動作「素振り」を、頻度を上げて(週に1度の頻度では少なすぎる。)目的にかなった動作(ここでは特定の筋に意識を集中し稼働率をあげる事)を繰り返す事で、かなりの改善が期待できるだろう。そうみんなが言っている素質や才能のある「効きやすい○○」「○○の反応が良い」という状態になるわけだ。

だけど一つだけ注意点がある。マズイ素振りは上達するどころか、やればやるほど下手になってしまう。筋肉の発達に効果的な運動動作のプログラムを獲得するためには一回一回の目的にかなった「素振り」が重要だ。

筋発達のために、効率的なフォーム獲得を目指した「素振り」練習の提案
1.ウォーミングアップの時間を利用して、エアロバイクやウォーキング、ランニング等の変わりに「素振り」を行う。(ここで言う素振りとは特に発達し難い種目での動作の反復練習)
2.フォームの獲得が目的だから、筋疲労をおこさない程度で行うこと。
3.頻度は週に2回〜3回以上が理想的と思われる。

(上記の方法をジムで多数のクライアントに採用した。そしてほとんどのクライアントに筋の反応の改善が現れた。)
ここでは遺伝や素質について、マイク・メンツァーの考えをもとに私論を含めて紹介したが、この記事を起点として、読者みんなが遺伝や素質について考える機会になればと願っている。



  • 肉体と精神究極のトレーニングバイブル ヘビーデューティーマインド
    2013年8月30日初版発行
    著者:小川淳
    監修:日本ハイインテンシティトレーニング協会(JHITA)
    発行人:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社
    編集:株式会社M.B.B.


[ 肉体と精神究極のトレーニングバイブル ヘビーデューティーマインド ]

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