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フィジーク・ビキニが日本のフィットネス文化を刺激する!JBBF玉利会長に緊急インタビュー(1/2)

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掲載日:2016.03.03


近年、24時間営業のジムや個室のプライベートジム、ヨガやピラティス、ボルダリングなどのレッスンを習いごと感覚で受けることができるフィットネスクラブなど、国内のスポーツジムの多様化と共に、健康志向も高まりを見せている。

数年前までは、「メンズフィジーク」と「フィットネスビキニ」という競技名は限られた者にしか周知されていなかった。しかし、昨今において当初の懸念とは裏腹に年々競技人口が増え、一部のトレーニーにとって憧れとなるカリスマ選手が誕生し、一躍注目される競技へと成長し続けている。

果たして、今後JBBFが目指すメンズフィジークとフィットネスビキニの方向性はどのようなものなのか。また、選手だけでなく、選手を育成する指導者を増やすにはどのような対策が必要なのか。JBBF会長の玉利齊氏に緊急インタビューした。




— JBBF初となるメンズフィジーク、フィットネスビキニのコンテストが2014年に大阪で開催されました。あれから今年で3年目を迎えますが、振り返ると現在はどのように変化したと思いますか。
実際に数値的には分析していませんが、圧倒的に参加者が増えてきました。このことは、ボディビル競技というものが、今までは筋肉の頂点だけを目指す競技であると考えられていましたが、ボディビルのような極限までの発達がなくても、その人の年齢、健康度、体力、趣味、嗜好、そういったものによって、自分好みの身体レベルの競技が新しく誕生したということでしょう。

例えば、今までは鈴木雅くん、田代誠くんと張り合うのはとても無理だけど、メンズフィジークという競技であれば「自分も挑戦できるな」という人たちの参加が増えてきました。

綺麗で立派な身体をした人たちがこんなに大勢いたのかと思うほど、今までボディビルの世界に縁がなかった人々がメンズフィジークに出てきました。この方たちというのは、以前からウェイトトレーニングに取り組んでいる人たちなんです。

そして、その人たちの職業は、トップレベルの選手は、たいていスポーツトレーナーです。フィットネスクラブに所属する方か、あるいはフィットネスクラブ系と並行するパーソナルトレーナーである人が結構いるわけですよ。

こういう人たちがあれだけ綺麗で立派な身体をしているにも関わらず、これまでボディビル競技の世界には縁がなく、自分一人で独自の道を歩んでいた。

だけど身体をつくるということは、自分でトレーニングをすることによって変化してくるものです。そして、それを自己評価でき、さらに人から評価されることによって、喜びが倍増するわけですよね。

そういう場がメンズフィジークやフィットネスビキニという競技で開かれたわけです。「これだったら、やってみよう。」「これだったら俺でもいけるのでは?」というのが実態ではないでしょうか。


— JBBFが目指すメンズフィジークとフィットネスビキニの今後の方向性を教えてください。
決して最高度であるボディビル競技の二軍・三軍という意味ではなく、その競技自体が意味のある独特の価値観を持つと思っています。だから私はそういうものとして伸ばしていきたいと考えています。

そもそも、身体をつくるということにおいては、どの競技もボディビルの種目はみんな共通です。ボディビルやクラシックボディビル、メンズフィジーク、ウィメンズフィジークやボディフィットネス、フィットネスビキニも全て共通です。

しかし、頂点になるためには多くの時間と努力、継続性が必要です。それから、頂点というのは、誰もがやればみんなミスター日本、ミス日本のようになれるのかというと、そうはいかないのが現実です。

だからこそ、それぞれの健康度、体力、体質、特性を活かしたレベルで、一人でやるのではなく、人と競える場がメンズフィジークやフィットネスビキニです。

また、身体というのは変化してくると自分で評価することができます。「あれ?わずかな間にこれだけ変化した」というのが喜びに繋がり、その喜びを人と共有したくなる。そして、社会もそれを称賛する。その場というのが、メンズフィジークやフィットネスビキニの特性だと思います。

そして、この層は大勢の人がいます。色んなスポーツ界からもたくさん出てくるようなものにしていくといいと思います。例えば、ウェイトの軽い柔道選手を裸にしてみると、バルクの量で見るとトップビルダーよりは劣りますが、ボディビルダーが顔負けするくらい筋肉が発達しています。それから世界チャンピオンに輝いた体操選手たちも綺麗な身体をしています。

これらは、少なくともスポーツと直結しています。昔は大きくて太っているほうが、さも体力があって健康的だと思われていましたが、今は逆です。

今「細マッチョ」という言葉がありますが、細マッチョというのは、贅肉を落として日常において活動性のある身体を作るということですよね。例えば、マラソン選手に太った人はいません。ただ、あれではボディビル競技においては筋量が少なすぎる。

オリンピック種目は約40種目くらいありますが、スポーツマンはみな健康で体力があるかというと、そうではありません。それは、それぞれのスポーツ特性があるからです。例えば、相撲選手にマラソンをやらせるには無理があります。逆に、マラソン選手に相撲やらせるにも無理があります。

だからスポーツ選手というのはその特性において優れているが、最近スポーツ選手も科学的トレーニングと言われていて、まずは合理的にファンダメンタルな体力と必要な筋力的な要素をしっかりさせていこうと考える傾向があります。

そのため、今や野球選手や卓球選手もウェイトトレーニングを行うようになってきています。そういう意味では、ボディビルというのは独特な競技であるけれども、そのフィットネスが一番大事な要素で、いろんな競技の筋力作りの要となっています。

そういう、単なる一競技としてだけ育てるのではなくて、ウェイトトレーニングというものがこれを機に、ますます他のスポーツ競技と連携しながらやっていくことが望ましいと考えています。




— 2016年からNPCでクラシック・フィジークが新設されますが、今後日本でも新設する予定はありますか。
既にボディビルにおいては、身長と体重の両方に制限が設けられているクラシックボディビルというものがあります。現在フィジークは身長別で競いますが、体重別に分けるということは明らかに無理があると思います。

例えば、身長170cmの選手が100kgもあったら勝てるわけがない。そうでなくてもフィジークは、個々の筋肉がバランスの良いつき方をしていることを審査基準としているので、筋肉が発達しすぎては評価の対象にはなりません。

それよりもクラシックというのは、今後ボディビルで評価されるべきだと思います。どうしてもボディビルというのは、「大きくなりたい」という思いが強くあります。大きいことは大いに結構です。

ボディビルの競技として持っている要素について、私はいつもこのように言っています。

まずは、たくましい大きさとバランスを創れ。しかし上半身の筋肉が発達していたって下半身の筋量が少なければどうしようもありません。胸の筋肉が発達していったって、背中が薄っぺらかったらどうしようもない。だから、バランスが重要なのです。

それから、人を引き付ける美しさがないといけません。美しさと言うのは数値的に表せるものではありません。例えば、日本画と西洋の美術ではどちらが美しいですか?これらは見る人の主観によって異なるので、一概に判断できないと思います。

ボディビル競技は、そのような難しさがあるのです。だけど美しさがなければいけないのです。

ミロのビーナスやアポロの古代彫刻などが今日まで残っている理由は、美術として、芸術として人に「いいな〜」と思わせたり、美しいと思わせ引きつけるものがあるからじゃないでしょうか。

では、美というものはなんでしょうか。私は人を感動させるものなのではないかと考えています。数値では測れないが、人を「う〜ん」と、うならせたら文句なしですよ。

いくら筋肉が大きくても品がなかったり、バランスの悪い単に動物的な野獣のようなたくましさがあっても、スポーツは人間の文化なんですから。だからこそ、美しさがなければいけません。

筋肉の大きさにも関係しますが、筋肉の力強さと、バランスと表現力(ポージング)、その結果としての美しさ。これらは欠かすことができない。

2015年世界ボディビル選手権大会で鈴木くんが3位になりました。上位6名が決勝に進むことができますが、彼は最下位でギリギリ決勝に残ることができました。

彼はなぜ3位になれたのか?それはフリーポーズがずば抜けて上手いからです。そもそも決勝に残らなければ、フリーポーズの審査はない。

フリーポーズはただ単に筋肉だけ誇ってもダメです。そこに、人間としての調和された、あるいは精神と肉体の調和された美しさを感じさせるくらいの表現力を持たなければ。

それからフリーポーズは、変化があり、流れがある。そういう芸術的かつ舞踊的な要素を研究すべきだと私は言っているんですよ。音楽は自分で選曲できるにも関わらず、選んだ音楽と調和していない選手が多くいます。

彼が決勝でフリーポーズを行った途端、ざわついていた会場がシーンとなったんですよ。フリーポーズ終了後、彼に大きな拍手が贈られました。芸術点はありませんが芸術性が必要です。

だから少なくとも、メンズフィジークの選手を見て、「あのような身体になりたい」と一般大衆に思わせるものをもつべきですよ。それには、顔つきがイケメンとかハンサムだけでなくて、知的な教養がどこかに滲みでるような雰囲気がなければいけません。

そこにボディビルは裾野を広げるミッションがあるわけですよ。ですからクラシックは特にそうあるべきですよ。


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  • 玉利 齊(たまり ひとし)
    公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟 会長
    厚生労働者更生科学審議会 委員(平成13年〜18年)
    健康日本21推進協議会 幹事
    財団法人 健康・体力づくり事業財団 元評議員
    社団法人 日本フィットネス産業協会 元理事
    財団法人 日本オリンピック委員会 評議員
    財団法人 笹川スポーツ財団 理事
    財団法人 日本ユニセフ協会 評議員
    国際ボディビル・フィットネス連盟 執行役員
    アジアボディビル・フィットネス連盟 顧問
    財団法人 日本プロスポーツ協会 会長補佐役 理事

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