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岡田隆 柔道代表チーム合流と当たり前のトレーニングとの葛藤 #3

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掲載日:2017.03.31

柔道オリンピック代表の「普通」トレーニング

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柔道の代表チームを見るようになったのは、前職時代に柔道の井上康生監督に声をかけて頂いたんですね。はじめは全く面識も無かったのですが、同じ職場の先生に井上さんのところでずっと指導していた金丸コーチという方がいて、その金丸コーチが引き合わせてくれた感じです。
当時、井上監督が考える希望のトレーナー像があって、いろいろと探していたそうなんですが、なかなか居なくて、金丸コーチが僕を推薦してくれたんです。

実は井上監督がイメージする選手像と現在の選手の力の溝を埋めるために僕が行ったトレーニングはいたって普通なんですよね。実はめちゃくちゃ普通。僕達トレーニングしている人からしたら普通のことを普通におこなっただけなので、かえって面白くてメディアが注目してくれたんだと思いますよ。

でも、最初に選手を見たときには明らかに筋肉が弱いなって、すごく思いましたね。一瞬で分かりました。今までは、小さいころから身につけてきたテクニックや技術だけで、なんとか上位に食い込めていたのですが、もう勝てない状態にまでなっていましたよね。

ロンドンオリンピックでも結局金メダルを誰も取ることができず、、、どんどん勝てなくなってきていたんです。もう露呈していました。

一番効果的だった「普通」のトレーニング

よく、柔道を強くするトレーニングを聞かれるのですが、これも前にも言ったように、本当に普通なんですよ。たぶん、フィジーク・オンラインで書くような内容じゃないですよ。
あえて言うなら、「普通」ってだけ書けばこのメディアの読者だったら絶対わかる!!(笑

でも、真面目な話、その普通さえもできていない状態だったんですよ。基本に忠実にやっただけ、、、 
でも、柔道だけじゃなく、実は他の競技でも出来ていない団体がほとんどなんですよ!!
ほとんどの競技団体が出来ていない。本当だったらもっと勝てる競技がたくさんあったはずなんですよね。

普通のことを普通にやったらいけないと思っていたり、トップレベルの選手だから、普通じゃない特別なトレーニングが必要なんじゃないかとか。さっきの話しのようにスポーツによって鍛え方が違いますよねっていう固定観念が強すぎるんですよね。それで、いつも迷走していますよね。

スポーツによって違うのはそのスポーツだからって話で、スポーツそのものは違ってもいいけど、じゃあ、ストレッチの方法はスポーツによって変えますか??食事の方法は変えますか??って話ですよね。基本は同じなんですよね。そこら辺は。(もちろん全て微妙には異なりますが)

なのに、スポーツが違うから、筋トレも違いますよね。ってなってしまうんですよ、、、
だから変えちゃいけないんですよ。ちょっとした割合や配合だとか、そういったものは変えないといけないんですけど、オリンピックのトップ選手だからって基本的なものを疎かにして、特殊なことばかりやってはダメなんですよ。

当然、当時は柔道も出来ていなかったですし、その他の団体競技は現状でも出来ていないんですよね。昨日もちょうどレスリング協会の方に呼んでいただいて、そういったお話をさせていただきました。

このメディアの読者さんだったら、コアなトレーニーさんが多いので「本当に基本的なことを徹底した」って書いてもらえたら絶対分かってもらえると思いますよ。でも逆に実はそれがすごく大変なんです!!

重要なのは「実践力」

実は僕が言っているのはトレーナーの知識が足りていないということでは決してなくて、、、
いろいろな問題があるんですよ。トレーナーの知識はみんなもの凄いんですよ。でも現場に行った時に、当たり前のトレーニングをきっちり指導したら「これ当たり前じゃん」って言われる恐怖ってあるんですよ(笑

特にオリンピックやプロチーム、トップクラスの実業団から声がかかったりしたら、凄いことをしてくれるんじゃないかと、、、 とても期待されて呼ばれるんですよね。
呼んでくれたからには期待に答えたいって気持ちがあるじゃないですか、人って。

「普通かよっ」って言われるのが怖いとか、、、「やったこと無いトレーニングだから楽しそうだね。効きそうだね。」って思ってもらいたいとか、そういういわば欲なんですよね。エゴ、、、
 
そうじゃなくて、本当にその人が強くなるために何が必要かを考えたときには、普通のことを徹底的にやるんですよ。これしかないんですよね。筋トレだったらまずはBIG3を徹底的にやるとか。 だからそれをやって、やり続けるというのはとても強い心がいるんですよ。

こっちは、選手にあの先生のトレーニングは普通で、キツくて、つまらないなって思われるわけじゃないですか!! でもそれとずっと付き合っていくっていう心がいるんですよ。
それと、もう一つとても大切なことが、それを選手に納得させられるトレーナーじゃないとダメなんですよ。

ちょっと鍛え方が甘いトレーナーが出てきてそんなこと言ったら、「でもお前やってないやん。」ってなるんですよ。教える側が本気で筋トレをしないんですよ。選手だけでなく監督やコーチもそれこそ、元日本代表だったり、国際大会で勝ってきているかなりの場数を踏んできた人たちが現役を退いてその役についてるので、ぬるいトレーナーが来たら、そんな話本気で聞かないんですよね。ただ、教科書覚えて、そのまま言っているのと同じだから!!

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だから、トレーナー側の問題は、知識が無いわけじゃ決してなくて、それを相手に伝えるだけの説得力が無いんですよ。だから、目新しいものに逃げるんですよ。ガリッガリでもわけわかんないトリッキーなものをやったら、「あっ見たことないわ。なんか凄そうだわ。」って現場の先生達は思うんですよ。なんか新しいものを持ってきてくれたなって。それで許されるんですよ。
いや〜〜〜〜〜違うでしょって話ですよね(笑

そのような所を徹底できるトレーナーが少ないのが今一番僕が危惧していて、、、
本当に最近はそういうことが出来る心の強いトレーナーが減っていると思うんですよ。知識はあるのに出せないというか、「実践力」が無いんですよ。実践力が無いから、選手みたいなガチの実践者に伝わらないんですよ。監督やコーチ人もガチの実践経験を積み終えた人たちじゃないですか。本当にハードな練習と大舞台で、凄いプレッシャーのもと戦い抜いてきた人達に、知識だけの今の人達だと絶対に対応出来ないんですよね。やっぱり。

やりこんで、やりこんで、ってトレーナーが出てこないと、また現状と同じことになるのかなって思うんです。僕自身が選手との信頼関係が成り立っているのは、本当にこの体だけだと思っているんですよ。選手が僕に対して、あの先生は東大に行ったからだとか、この資格を持っているからとか「まったく知らないっすよ」選手たちは(笑

もっとシンプルに、あいつ体すげーなーみたいな。この人に言われたら、「この人が実際にやってきているので、もうこれするしかないや」って。そういうところだと僕は思っているんですよ。
本当に僕はそれだけで、飯食っているようなもんですよ。

とても当たり前のこととして、英語喋れない先生に英語習おうとは思わないじゃないですか??英語ペラペラな日本人がいたら、どうやってやったんですか?って聞き始めるじゃないですか?そこだと思うんですよね。

そこが崩れてしまっているのが今のフィジカルトレーナーの現状だと思うんですよ。
意識として例えばBIG3とか基本が必要だと分かってはいるのに、実践力が無いから逃げて、細かい変なトレーニングばかりする。だからTOEICだったら、人に教えるなら自分でも990点目指せって話でね。自分自身もやってくれって、、、

そういう人が少ないからとても危惧してますよ。だから新しく、こういう業界で一緒にやる仲間を探していても、本当に少ないんですよね。限りなく少ない。若者も育っていないですよね。

だから、僕の教え子が僕のようになりたいと言ってボディビルやったり、資格を取りまくったりしていて、そういう子達が経験を積んで成長していくのを待ってますけど、、、本当に骨のあるトレーナーが少ないですよね。今後のこと考えるとヤバイと思いますよ。



■岡田隆スペシャルインタビュー
岡田隆 トレーニングとの出会い #1

岡田隆 追求そして、石井直方教授との出会い #2

岡田隆 柔道代表チーム合流と当たり前のトレーニングとの葛藤 #3

岡田隆 トレーナーを隔てる、フィジカル系とボディメイク系 #4

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岡田隆 制限の中でのトレーニングとトレーニングの重要性 #6

岡田隆 TVと栄養、そして東京オリンピックへ #7
■岡田 隆(オカダ タカシ)
日本体育大学 体育学部 准教授
第50回日本社会人ボディビル選手権大会 男子無差別級 優勝
第22回東京オープンボディビル選手権大会 男子70Kg以下級 優勝
日本オリンピック委員会 強化スタッフ
文部科学省 スポーツ功労者顕彰
JATI-AATI
NSCA CSCS
柔道四段

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