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日本とは違う?NYのパーソナルトレーナー事情/NYトレーナー桜庭 麻紀

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掲載日:2015.06.05


「もーマキさん、日本には "ジム"がないんですよー!」これは、Equinox時代の日本人クライアントが、日本転勤を命じられ、泣く泣くニューヨークというかEquinoxを去らなければならないハメに陥ったA子さんの、日本(東京)に戻った第一声でした。

海外在住歴が長く(主にヨーロッパ)、日頃からフィットネスの意識の高いA子さんがニューヨーク転勤になって、まず真っ先にしたのがジム探し。フィットネスクラブに関しては「こだわり」のある彼女のお眼鏡にかなったのが、やはりEquinoxだったわけです。

それが、2年も経たないうちに日本転勤になって、もちろんA子さんが真っ先にしたのはジム探しだったのですが「すごいカルチャーショックです!どこかいいジム知りませんか?」と聞かれたものの、私は当時まだEquinoxの社員でしたし、日本にはフィットネス業界の友人・知人もあまりいなかったので、正直、お手上げでした。

欧米のフィットネスクラブを経験した後では、ジムの設備、トレーナーの質、あらゆる点で「なんじゃこりゃーっつ!!」と絶叫したくなったという彼女。実は私も、日本でのジムの経験がなくて、ずーっとアメリカというかニューヨーク・スタイルのジムが「ジム」だと思っていて、一度、日本で大手といわれる某ジムを見学させて頂いた時に「しーん」となったのを覚えています。

もちろん、これは5年位前の話なので、当時から較べれば、かなり進化してきたように思いますし、もっと進化させるためにも「NY発:日本人をカッコ良くする★プロジェクト」を発信しているという次第です!

フィットネスクラブ(又はジム)といっても、ピンからキリまであって、どうせ日本に発信するのなら、やはりEquinoxのような、全米でもセレブ(会社社長、CEO、有名俳優、スーパーモデル etc.)が通う、トップクラスとされるジムの内容をお届けした方がいいですよね!実際、ごく "普通の" ジムのメンバーだった私が、Equinoxのドアを開けた時には(それもトレーナーとして)、ショックの連続でした。

イタリアの有名デザイナーがデザインしたロッカールーム、設備、マシン、メンバーの顔ぶれ(TVや雑誌で見かけた顔も)、プロフェッショナルなトレーナー、全てが今まで経験したものとは雲泥の差でした。特に上級トレーナーたちは後光がさしているというか、プロのトレーナーとはこういうものーというのを目の当たりにしました(特に私が配属された場所は本社ビルのジムだったので「先鋭」が集まっていたようです)。

見習い1日目で入って、いきなり見せつけられたプロの厳しさとレベルの高さに、帰りの電車を待つホームのベンチで、はからずも人知れず涙をぬぐってしまいました。『今までのキャリアを捨て、"これだ!"と信じて入った世界。何があろうと、ここで頑張るしかない!』と闇夜を照らす月に誓ったーあの日も、今となっては良い思い出です♪
 

パーソナルトレーナーのエリート集団


ティリタとのツーショット
入社当時(2006年)の私はまだ鍛え方が足りなくて、体脂肪が24%位でお恥ずかしいのですが(ちなみに現在は17%です)


Equinoxトレーナーが、"パーソナルトレーナーのエリート集団" と称される理由の1つに、入社後の教育システムがあげられます。 どんな有資格者・経験者であろうと、最初の3ヶ月は見習い期間としてフロア当番に加え、In-house School で厳しく教育されます。

内容は、解剖学や運動生理学などの理論と実技に基づいた、かなりレベルの高いもので、中間テストがあって、最終テストに3回落ちたらクビになります。変なプライドのある人は、この見習い期間に耐えられずに辞めてしまいます。

私は、臨床検査技師という医療のバックグランドもあったし、AFAAという結構難関とされるパーソナルトレーナー認証組織の試験もパスしていたので、理論の方はまあまあだった(でも大変勉強になりました)のですが、実技(実際にどうやって指導するかーそれも英語で)の方が、日本人ということもあり、喉から手がでるほど学びたかったことなので、この In-house School は私にとって神が与えてくれたような貴重な場所となりました。また、トレーナー同士で練習し合ったり、意見を交換したり、本当に宝物のような時間を過ごさせて頂いた事を、Equinoxと同僚トレーナーたちには今でも感謝しています。

さらに、もう1つの理由には、メンターシステムがあげられます。新米トレーナーには、特に優秀で面倒見のよい先輩トレーナーが割り当てられ、一緒にトレーニングしたり、アドバイスやノウハウの伝授など、心身両面のサポートが与えられます(注:これは私が入社当時の話で、今はグループ・メンターだったり、多少システムが変わったようです)。

ちなみに私のメンターはティリタといって、弱冠25才(当時)の黒人女性でした。彼女は皮下脂肪率 9%台という、女性ではあり得ないような筋肉美の持ち主で、それもそのはず、彼女は米国女子陸上の選手で、当時 Equinoxでトレーナーをする傍ら、オリンピック出場をかけて国内予選を勝ち抜き中でした。

私も一度、彼女を応援しに国内予選大会の1つに行った事があるのですが、興奮とエネルギーが満ち溢れた「スゴい場所にきちゃったなー」と思いました。

思えば昔、難病(慢性関節リウマチ)で車椅子生活さえしたことのある私が、将来ニューヨークでトレーナーになって、オリンピック候補の米国女子陸上選手をメンターにもち、元プロボクサーやボディビルダー、雑誌の表紙を飾るようなモデルを同僚にもつなんて、一体どこの誰が想像したでしょう!

思えば昔、難病(慢性関節リウマチ)で車椅子生活さえしたことのある私が、将来ニューヨークでトレーナーになって、オリンピック候補の米国女子陸上選手をメンターにもち、元プロボクサーやボディビルダー、雑誌の表紙を飾るようなモデルを同僚にもつなんて、一体どこの誰が想像したでしょう!
 

裸一貫、素手で勝負の世界


同僚トレーナー女性チームと


最終テストにも合格し、アコガレの "Equinoxトレーナー" になったのはいいのですが、「いかに生き残るか」は全く別問題で、正直、非常に厳しいものがあります。理想と現実は違ったと、どんどん辞めていく者あり(Equinoxトレーナーだったというと、一応ハクが付きますし)、辞めさせられる者ありで、「100人雇って1年後に残るのは10人」という位に出入りが激しく、生き残りの厳しい世界です。

トレーナーたちの年齢層は比較的広く(私がいた頃は19才〜55才位、やめる頃には63才という方も!)、ただし、学歴も年齢も性別も全く関係ない世界です。例えば、大学も出ていないような若い女性トレーナーが、運動生理学の修士号をもつ30代の男性トレーナーよりも稼ぐことも珍しくありません。

例えば、若いピチピチの女性トレーナーが、ピッチリした超ミニパンツで太腿あらわに、もしくはムチムチの胸を押し付けながら、男性メンバーに手取り足取りエクササイズを教えてあげると、「よっしゃっ、ぜひ君のセッションを受けようっ!!」と言ってお客さんになってくれる事もよくありますし、彫刻のようなナイスバディを持つ黒光り(何が!?)した男性トレーナーは、大金持ちの有閑マダムに指名されたり、ゲイのオジサマのお気に入りだったり...『一体ここはどこなんだーっ!』と突っ込みたくなる事も度々ありました。

また、手八丁口八丁、トレーナーとしての腕よりもセールスが上手い人の方が「生き残りゲーム」で優位に立ちやすいのですが、結局、トレーナーとしての素養がなければ長く生き残ることができません。とにかく、自分の持つあらゆる "武器" を使い、それを磨かないと生き残れない。まさに、裸一貫、素手で勝負する世界ともいえます。

という訳で長くなってしまいましたが、少しはシビアな "NYのパーソナルトレーナー事情" を垣間見て頂けたなら幸いです。 では、今日はこの辺で!Love from New York
 
  • 桜庭 麻紀(さくらば まき)
    米エアロビクス&フィットネス協会(AFAA)認定のパーソナル・フィットネス・トレーナー。セレブが通うことで知られる「EQUINOX」に7年間在籍後に独立。自身が制作リリースした「リハビリ後のエクササイズ」DVDは全米のみならず英国、カナダ、オーストラリア、スウェーデンからも注文がくる。日本向けには、ナイスバディの作り方、アンチエイジング、難病の克服法などについて、アメブロで発信中!

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