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岡田隆 制限の中でのトレーニングとトレーニングの重要性 #6

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掲載日:2017.04.12

日本社会人ボディビル選手権に向けて

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自分が出場した日本社会人ボディビル選手権はリオオリンピックの柔道の競技日程が終了して約2週間半後だったので、オリンピックの柔道最終試合が終わった瞬間にもう全てオリンピック関連はシャットダウンですよね(笑

最終日が終わってから気持ちを完全に切り替えましたよね。いや、やらないと絶対に勝てないと思ったんですよね。体の調整もぜんぜん順調じゃ無かったですし、これはやんなきゃいけないと思って、もうオリンピックは他人の話だからと思って、他人事ですよね(笑

スケジュール的にはオリンピックの柔道の日程が終わって翌日の半日だけリオに残って、それで、そのまま日本に帰ってきたんですよ。みんなはいろんな試合をみたり応援に行ったりとか、特に選手たちはずっと試合でがんじがらめだったんで、せめてもの半日と動くんですけど、僕はその瞬間から選手村で日焼けしてましたね!!

自分の試合があるので、もう気持ちを完全に切り替えて、、、 もう社会人選手権が2週間半後なので、もうオリンピックは終わり、終わり!って感じで気持ちを切り替えましたよ。

最終日は2回トレーニングして飛行機に乗りましたね。早朝トレーニングして、日焼けして、出発前にもう一度トレーニングして飛行機に乗りました(笑

ボディビルディング社会人選手権に向けてトレーニングに関しては一応プランニングしていました。リオのオリンピックって2週間ブラジルに滞在しないといけないので、絶対に体脂肪がついてしまうんですよね。だから1回リオの前に絞っていって、リオで多少戻しても、最後また頑張るっていうように考えていたんです。

でもリオで選手が銅メダルで悔しい思いをしていると思うと、こっちも悔しくて、トレーニングもなんかこうブルーなんですよね(笑

それ以外にもチームマネジメントなど多くの仕事を抱えていますから、現地ではとても100%のトレーニングは出来ない日が多かったです。
でも、大野選手が金メダル取った日は凄く頑張れる。めちゃくちゃ良いトレーニングが出来る!!トレーニングも楽しい!!ベイカー選手が金メダルを獲った日は興奮のあまり、海外ではあまりやらない脚トレを敢行(あまりにダメージが大きいので遠征中はやらないんです)。過去最強の筋肉痛に到達しました(笑

そういう波もあって現地ではあまり充実したトレーニングが出来なかった。 やっぱりオリンピックに100%気持ちが行っていたので、どうしてもトレーニングが二の次になってしまう。自身のトレーニングは中途半端。だからもう大会が終わった瞬間、焦っていて社会人選手権まで必死でしたね。

日本に帰ってみたら、柔道の盛り上がりもすごかったですし、全階級メダルを取ったっていうことで、、、ですから余計に焦っていて、選手があれだけ頑張って俺が負けたら本当にヤバイでしょって。絶対に負けられないので、本気で出来ること全てやって、なんとか仕上げて優勝したって感じです(笑

その時効果的だったトレーニングは、とにかく回数を増やしたことですね。1日3回ぐらいトレーニングしてましたね。通常1日1回じゃないですか、3回やるんですよ。回数を増やすのが効果的だったですね。

帰国後、社会人選手権に向けて調整している2週間半の間もメディアからの仕事がたくさんありましたが、当然仕事しながらやらないといけないのがアマチュアの選手なので、同時並行でトレーニングしていました。その後、最近またメディアの仕事が増えてきましたね。
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日体大バーベルクラブ、ボディビルクラブ 設立

実は、僕が日体大に着任したと同時に日本社会人ボディビル選手権大会に社会人チームとして出たくて日体大ボディビルクラブを作ったんですよ。また、自分自身がやりたかったっていうのもあるんですが、学生ボディビルに出たいって子たちがいて、その子達と一緒に作ったのが日体大バーベルクラブです。2016年の12月に大学から正式に認可されました。

日体大にはボディビルを、ウェイトトレーニングをやりたいって子が結構多くいたのですが、今まで教えてくれる指導者がいなかったので、僕のもとに是非そういう部活をやりたいって言ってくれる子がいてくれて。ついてきてくれる子達ができたんですよね。

それで、僕としてはバーベルクラブがあれば、そこで、一杯トレーニングを研鑽する子たちが出てきて、またそこから良いトレーナーになる子が出てきて、良い循環が出来るって教育の現場の一つになると思ったんですよね。

日体大のバーベルクラブはボディビルダーを排出するっていうだけじゃなくて、トレーナーの社会に、スポーツ業界に、フィットネス業界に良い人材を送り出す人材プールなんじゃないかと思っています。

部員ももう30人ぐらいいますからね。もうヤバイと思いますよ(笑
しかも僕が授業を見ている2年生だけでなんですよ。その授業を受けた子たちが、そういう部活があるんだって知って、入ってきただけなんで、全学年にまだ知れ渡っているわけじゃないんですよね。でもこの4月からちゃんと部員を勧誘したらとんでもない数になると思うんですよね。

たぶん日本で一番大きな部活になりますよ。今の時点でもかなり多いですからね。それでいて、みんな凄い体してますよ。もともと日体大に入るぐらいなんで、素質はみんなかなりのものがあるんですよね。まあ、体の素質が無いと入れない大学なんですけどね(笑

日体大の若い子たちの情熱と、実践力、実力は半端じゃ無いので、しばらくはボディビル業界で一大旋風を巻き起こせると思っています!!
ただ、一つの団体が強すぎると業界全体としては停滞しますので、他の大学さんとみんなで切磋琢磨して頑張っていければ業界が盛り上がると思います。

でも一つ問題があってボディビルの指導者がいないんですよね。だから学生は頑張っているとは思うのですが、かわいそうだけど、なかなか強くなるのは難しいんですよね。

やっぱり、そこら辺が問題ですよね。でも、トレーニングの先生っていう方はいるんですよ。ただ、その人達がやっぱりボディビルやらないから、教えられないんですよね。「やったらいいのにっ」って思うんですけど、さっき言ったように自分の説得力を増やすためにも、大事ですし、、、 でも結局やらないんですよね。結構やりたい子多いので、そこら辺をなんとかしたいですよね。

先日もジムで他の大学の学生さんたちが僕に声を掛けてきましたし。ちょっと指導してくださいとか。聞きたいことがいっぱいあるんですよね。やっぱり聞きたいけど聞ける人がいないって。だからかわいそうだな〜〜って本当に思いますよ。何とかしてあげたいって。

JBBFとコラボしてなんか企画したいですよね。指導者を派遣するとか。
日体大バーベルクラブとすごい量のX-PLOSION、、、

日体大バーベルクラブとすごい量のX-PLOSION、、、

日本のスポーツレベルを上げる方法

本当は高校ぐらいからウェイトトレーニングをしっかりと教えられるトレーナーを配置できるようになれば一番いいんですけどね。そうすれば、日本中が強くなると思いますよ。日本全てのスポーツのレベルが1段階上がるというか。
だから、本当に東京オリンピックでもっと僕らが結果を出してトレーナーという職業の重要性を多くの人に分かってもらいたいですよね。

また、スポーツだけじゃなく、高校生ぐらいで教わったことが中高年になっても、トレーニングの重要性や知識がしっかりとあるので、この社会の医療費、社会保障費の抑制にも確実になりますよ。トレーナーみたいな先生をもっと配置するとか、あるいは体育の教員にもうちょっとトレーニングの知識を与えるとかしたいですよね。今は部活の外部指導者(外部指導員)を入れてもOKになったんで、それを活用してフィジカルトレーナーを置くとかしていきたいですよね。

ただ現状では、その競技自体初めてっていう先生が顧問として教えている場合も多いですからね。
私も高校に呼ばれて講義をしに行きますよ。みんな求めているんですよ。聞く人が分からないから、とりあえず岡田に聞いておこうってなっちゃってるんですよね。
身近にしっかりと教えてくれる人がいたら、もっと早くていいのになって思いますよ。
僕と日程調整して、順番待って、、、って。そんなんやってる場合じゃないですよね。学生たちの1度しか無い貴重な3年間なんて直ぐに終わっちゃいますからね。だから、そういうふうに社会が上手く機能するように、井上康生監督に偉くなってもらって、ちょっと上の人達に言ってくださいって言おうと思って(笑



井上監督といえば、この本紹介しちゃいましょうか(笑

これは、最近出た本で柔道日本代表でこの4年間かけて取り組んできたことを紹介しているんですけど、トレーニングの指導ってともするとトレーニングだけになっちゃうじゃないですか。でもこの本の良いところは、トレーニングのことももちろん書いてあるのですが、今回、組織全体を変えていくという中の一つとしてトレーニングがあったって感じなんですよね。

結局はトレーニングってやっぱりピースじゃないですか、フィジカルっていうのは全体の中の一つ。全体をマネージメントしていく中で、俺が、俺がじゃなくて、全体のなかの一部であるっていう発想をもって、仕事をするってことが学べるんですよね。

それがとても重要で、それを理解しているトレーナーがもっと増えてほしいので、これは勉強になるって思うんですよね。
ポプラ社から2016年の12月に発売された「改革」井上康生(著)

ポプラ社から2016年の12月に発売された「改革」井上康生(著)




■岡田隆スペシャルインタビュー
岡田隆 トレーニングとの出会い #1

岡田隆 追求そして、石井直方教授との出会い #2

岡田隆 柔道代表チーム合流と当たり前のトレーニングとの葛藤 #3

岡田隆 トレーナーを隔てる、フィジカル系とボディメイク系 #4

岡田隆 7階級メダル獲得もテンションが上がらないリオ オリンピック #5

岡田隆 制限の中でのトレーニングとトレーニングの重要性 #6

岡田隆 TVと栄養、そして東京オリンピックへ #7
■岡田 隆(オカダ タカシ)
日本体育大学 体育学部 准教授
第50回日本社会人ボディビル選手権大会 男子無差別級 優勝
第22回東京オープンボディビル選手権大会 男子70Kg以下級 優勝
日本オリンピック委員会 強化スタッフ
文部科学省 スポーツ功労者顕彰
JATI-AATI
NSCA CSCS
柔道四段

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