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合戸孝二×岡田隆 合同セミナー 効率の良い体づくり#3

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掲載日:2018.08.31
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2018年7月 フィットネスショップららぽーと立川立飛店にて、”狂気の男”合戸孝二選手×各メディアで活躍中”バズーカ”岡田隆先生による「夏に向けての効率の良い体づくり」をテーマにしたトークイベントが開催され、会場周辺の気温が上がることとなった。

合戸孝二氏の妻でありサラリーマンと結婚したかったという”補助職人”真理子氏も同席し、トレーニングマガジン編集長の森永祐子氏の司会により進められた当日の様子をレポート!

食事に関して

岡田:食事に関しては皆さんも聞きたいと思います。朝は食べないんですよね?

合戸:一日二食。朝のトレーニング前は食べないで、プロテインとかクレアチン、ほとんど一式のサプリメントを摂って6時くらいからトレーニング。
トレーニング中はBCAA、トレーニング後はEAAとか。しばらくおいてプロテインを飲む。食事は結構後。自分の体の8~9割はKentaiのサプリで出来ているようなもの。

食事から摂るタンパク質は計算しないで、必要な分は全部サプリで摂る。自分は体重1kgあたり3~4gのタンパク質で計算しているので、食事から必要なタンパク質を摂ろうとするとすごい量になってしまう。毎日300g近くのタンパク質を摂る事は無理。

サプリは消化吸収が楽だけど、胃腸もそれほど強くないので常に胃薬を飲んでいる。これだけのトレーニングをやってると、回復がすごく重要な問題になってくる。
トレーニングをどれだけやっても、その後に回復させないと意味がないし次の日のトレーニングにも影響する。それに見合う食事をしてるとその消化吸収だけで疲れちゃうから、サプリを使って胃腸に負担をかけないようにする。

岡田:食事の摂り方も人それぞれだと思います。これを信じていれば安心だという一つのやり方を見つけたいですが、それができないときにすごく不安になります。そういう時に色々な話を聞いておいて、違う方法を知っておくといいと思います。合戸さんみたく毎日同じ食生活ができる人も少ないと思うので。修行ですよね。

合戸:365日、このルーティーンは絶対変えない。

岡田:生活をクリエイトするのもボディビルですが、どこまでできるかは人による。なるべく安定するようにコントロールしたいところですが、柔軟に対応できることも大事だと思います。

岡田:午前と午後の両方にトレーニングしていたときに一度お邪魔したことがあって、普通は午前と午後の間に休憩を入れたり寝たりするのですが、休むことも寝ることもなく屋外で日焼けをしながら食事をしてそのまま午後のトレーニングに入ります。夕方までの時間が全てボディビル。

皆さんも経験があるかと思いますが、日焼けをすると疲れるのですが、それは家に帰って時間が経ってから。
日焼けをしているときは疲れを感じないので、後で疲労が来る。なのでそれまでの間にトレーニングをしてしまう。

肌をきれいに焼きたい場合にはどうするか

合戸:タンニングマシンだけだと少し赤っぽくなっちゃう。天日だとチョコ色になるので、自分は天日を重視してる。

岡田:自分は色が入りにくくて、昼に外で焼く時間がとれないので日焼けマシンにしか入れない。勤務先の日体大の陸上部の選手は本当に深く色が入っていて黒い。
ステージに上る前に、今年は色が入ったなと思った時があったんですが、ステージのライトに当たると色がとぶんです。同じ色に思えても、深く入ってるものとそうでないものがある。なので深く入れるためには日光なのかなと思います。

合戸:確かにタンニングマシンはステージでとぶね。自分で見ても白いと思う。

質問:大会一週間前の食事に関して(総合格闘技の選手より)

合戸:自分の場合はタンパク質中心にして、最後の一週間はカーボ(炭水化物)は殆ど取らない。

岡田:ボディビルダー的な観点ではなくて柔道の選手達を例に出しますと、今まで練習した技術が試合で出せるように質の高い稽古をするための集中力が必要な時期なので、カーボをなくしてイライラしないか、集中できているかをまず見ます。
イライラしたり集中力が切れてしまうようであれば質の高い稽古はできないので意味がないかもしれないので、その場合は見直すことも考えます。選手たちはカーボのカットまではしませんが、稽古の質が保てる範囲で考えます。

質問:オンとオフでビッグ3の重量はどれくらい違う?

岡田:私は常に一緒です。そこまで重量信仰でもないですが、オンだから上がらない、オンだから上がるみたいな考えはないです。いつも頑張ってやってるし、減量で身体が小さくなってくるオンのときほど頑張ろうとはしています。

合戸:自分の場合は重量を求めて、胸でも肩でも一発の重さを必ずやる。体重が落ちていくと当然扱える重量は落ちてきます。ベンチで最初は180kg上がっていたとしても最終的に69kgに近づいてくると140~150kgくらいになる。30kg以上落ちてしまうけど仕方ないと思います。
69kgを切っても150kgとかを扱えるだけの体を作るために、オフのときは体重を増やして重量を常に増やしていくということを心がけています。

質問:肌が弱い人に対する日焼け

合戸:自分も若い頃、今もそうだけどすごく白かった。少し外に出ただけで赤くなって皮が剥けちゃう。一ヶ月頑張って焼いても、3~4日くらい焼いた人にすぐ追い抜かれてしまうくらい。それで、天気のいい日に外に出て30分くらいずつこまめに焼くようにした結果、日焼けの色が入るようになった。
タンニングマシンに入るにしても、自分は15分入るんだけど、いきなり15分入ると真っ赤になってしまう。最初は10分というように、いっぺんにやろうとするのではなく少しずつこまめに焼いていく。

岡田:過度にやると炎症してしまうので、保湿も大事かと思います。タンニングマシンでも種類によって赤くなりやすいものもあったりするので、体質によって合う合わないもあると思います。

質問:去年と体脂肪率が変わらないのにカットが去年ほど出ない。(ホームトレーニーからの質問)

合戸:ジムに通うのとホームトレーニングだと、重量や種目でどうしても限られてしまう。体重が増えたとしても筋肉量はそこまで増えていないと思う。増えてもほぼ脂肪。
自分が若い頃、一年間で5~6kg増えたとしても、一日8時間くらい重さも求めてトレーニングをしていた。それでも一年で1kg増えるかというくらい。絞りきったときにどうなるかはわからないけど、あまり変わらない気がします。ジムに行けば伸びしろを開拓して一気に変わると思う。

岡田:オフにすごくデカくなったというのは稀なケースなんです。ものすごい天才か、怪しいか。
体重ばかり気にしても仕方ない。体脂肪も誤差が大きいので、あまり数字に振り回されても仕方ないかと思う部分もあります。
あまりナーバスにならず、減っていく部分も年齢によって変わってくるので、希望的な部分を持ちつつ自分のポテンシャルを最大化するためにもジムに行くことを勧めたいです。

質問:睡眠、休養に関して

合戸:22時か23時くらいには寝て、朝4時くらいには起きる。自然とその時間帯から眠くなってくるので、無理に時間を決めて寝ようとするとだるくなっちゃう。

岡田:私も今回睡眠が課題で、質の高い睡眠が6時間できるとすごく元気なのですが、二度寝するとだるくなってしまう。
一つ参考になるのは次の日の運動時の心拍数で、同じ運動をしたときに心拍数が高くなってしまうと良くない。同じ有酸素運動をしていても、睡眠の質が悪いとすぐに疲れてしまう。
睡眠の質がいいときはずっと続けていられるように感じます。トレーニングのパフォーマンスにものすごく影響するので、合戸さんみたくハードなトレーニングをする人には顕著に出ると思います。

眠りに入るときに自律神経の交感神経を抑えなければいけないので、そのためにはまずカフェインとか興奮するような物質を摂らない。胃腸に対してものを入れない。
自分もでかくなりたくて寝る前にまで鶏肉を食べてましたが、胃腸も疲れるし睡眠の質が悪くなるので寝る2~3時間前には食べないようにして、飲むならば胃腸に負担のかからないサプリにする。この辺を徹底するだけでも違います。

お風呂に入る場合にも色々あるらしく、湯船に肩まで浸かるのは良くないようです。上半身をかなり温めてしまうと興奮してしまうらしく、電車の座席で足が温まると眠くなるように、下半身を温めることが大事。温度も熱すぎないこと。熱すぎると興奮してしまいます。あと寝る前のスマホをなるべくやめます。
全部やらなくてもいいと思いますがなるべく気にしてみてください。あとは合戸さん、枕は気にされますか?

合戸:一番気にします。枕で深い眠りに入れるか変わる。自分の場合は枕を2つ乗せて、その上にタオルも敷く。自分は仰向けで寝ずに横向きで寝る。仰向けだと胸が苦しい。

岡田:横向きで寝る場合は胃腸の流れの問題で、左はなるべく下にせず右を下にしたほうがいい。あとは肩にストレスがかかるので、真横ではなく斜めがいい。
トレーニングしてる人は骨格が普通の人とは違うので枕の設定はすごく大事です。そこは意外と盲点で、人間は寝ている間に意外と寝返りするんです。寝返りしない人は何か問題があるらしいですが。で、筋肉がある人は寝返りするときの肩と首の落差がすごいので寝具のちゃんとしたメーカーのものを使ったほうがいい。あとは睡眠時無呼吸。合戸さん、ないですか?

合戸:気道が押さえつけられて気がつく時がある。だからあんまり仰向けは寝ない。

岡田:これは生まれつきなってる人もいるらしいです。いびきをかいてしまっても深い眠りにつけなくて呼吸筋のトレーニングになってしまうので、そこの部分はすごく大事。それらの部分をやっただけで次の日がすごく爽快で、睡眠時間が短くても次の日には割と元気にトレーニングができることに最近気づきました。

質問:腕を太くするための工夫

合戸:自分も最初から腕が太いわけではなくて誰もが同じような太さから始まっていくんだけど、お分かりの通り自分は重さを重視する。一番重いときは100kgでカールする。
チーティングを使って上げるけど、下ろすときは負荷が乗るからゆっくり降ろして、また反動を使いながら上げる。上腕二頭筋は爆発的な重さを与えるとでかくなる。

そのあとにネガティブなトレーニングを重視する。今日も朝に上腕二頭筋のトレーニングをしてきたんだけど、ケーブルでプリーチャーカールをやって、100kgのカールに加えて上から体ごと乗ってもらってそれを耐える。

真理子:私はそれを脚立に乗ってやります。

合戸:高重量、ネガティブでやったほうがいいと思う。でも確実に怪我はするから、自分の場合はベルトを二本使う。反動を使うから腰への負担も強くて反ってしまう。ストレートバーでやるので手首も腱鞘炎になる可能性があるからガチガチに固めてやる。
EZバーは一切使わない、ストレートバーで勝負。ストレートバーが一番乗りやすい。でも怪我はすごいするから、たぶんできないと思う。
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真理子:補助をする中で見てきたのは、腕を太くしたいから腕を太くするというより、主人は背中が特に大きくなってきているので、背中をやる中で腕が太くなったようにも思います。胸とか背中のメインの種目を高重量でやっていくと必然的に腕も太くなる感じ。

合戸:実際にここ15年位は肘が痛くて上腕三頭筋のトレーニングはしてないし、そうかもしれない。胸のトレーニングで代用してる。

岡田:合戸さんは高重量のストレートバーのアームカールでも上腕二頭筋だけではなくて腕撓骨筋がすごく出るくらいで、腕だけでなく他の全ての筋肉に刺激が入っている。このときに前腕の回外可動域が出ていないと関節が壊れてしまう。一朝一夕ではできないのですが、可動域も確保しておいたほうがいい。

合戸:腕撓骨筋も出てくる。前腕のトレーニングはしたことない。

質問:胸郭出口症候群になったときのリハビリ

合戸:自分の場合は重たいものはもう上がらないし押せない状態だったので、地道に押せる軽い重さで押して行って、1.25kgずつ増やしていった。それがリハビリ。
トレーニングはずっと続けてた。やめてしまうともっと悪くなってしまうので、60kgのベンチプレスもくねりながらの状態で、テンションが下がりながらもずっとやり続けた。

パンプも全然しなかったけど、徐々に反応し始めて普通に押せるようになってきた。トレーニングをしながら戻していく感じ。今でも完全には治りきってないけど。

岡田:合戸さんのは完全に筋力がゼロまで落ちていて、普通の胸郭出口症候群ではそこまでにはならない。しびれたり力が入りにくいというのが一般的ですが、症状が行き過ぎると全く動かなくなる。
リハビリで言うと、小胸筋とか斜角筋とか、肋骨を広げることをするんですがあまり関係ない。だからその間も丁寧にトレーニングを継続していくことはすごく大事だと思います。

合戸:チューブは筋肉への乗り方や感じ方が全く違うのでオススメ。重さが扱えないときにはチューブを使っていた。そうするとパンプもするようになってくる。

質問:コンテスト前の体の仕上がりを見せてください

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その一言を皮切りにして会場から沸き起こる大歓声のリクエストに応えたポージング。
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合戸氏と並ぶことで盛大に盛り上がり、その雰囲気で参加者の何人かがコンテストと錯覚してポージングに加わった。比較審査のようである。

つい先程までの静かなセミナー会場が一転、大歓声のコンテスト会場のようになったところでイベントを終えた。

トレーニングに励む者達が果敢に挑戦する時、逆境に立ち向かう時、困難を克服する時、悲しみに暮れる時、成功を収めた時、またいつか両者は我々の前に相対するだろう。
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