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美しく痩せるダイエット / 分子栄養医学管理士の星真理さんに学ぶカラダ作りの栄養学 (2/2)

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掲載日:2015.06.05



エネルギーをコントロールしよう!


ダイエットを成功させるために、エネルギーをコントロールできるようにしましょう。「消費エネルギー > 摂取エネルギー」の状態を続けなければ減りません。

1週間で体重1kgの脂肪を燃焼させるためには、
9kcal / g × 1,000g(=1kg) × 0.8 = 7,200 kcal
7,200kcal / 7日 = 約1,000 kcal

1日に約1,000 kcalのマイナスを作れれば、1週間に1kg、1ヶ月に3〜4kgのダイエットが可能となります。成人1日のエネルギー所要量は、個人差はありますが約2,200kcalです。1日の摂取カロリーを1,200kcalくらいに抑え、不足分のエネルギーは体脂肪を燃焼することで補えれば、成功につなげられるでしょう。

ダイエットの為の運動のタイミングとしては、食後が一番エネルギー消費されやすいタイミングです。食後に歩くなどの運動をしましょう。また、空腹時の運動は、人によっては低血糖を起こしたり、エネルギーの消費効率が悪かったりする事があります。ただし、空腹時に軽い運動をすると食欲が一時的に抑えられますので、その方が良いという方は、低血糖に注意して運動してもいいでしょう。

エネルギーを一番活発に消費する組織は筋肉です。無理なダイエットで筋肉量が減ってしまうと基礎代謝も低くなり、痩せにくい身体になってしまいます。この状態で体重だけが理想的になったとしても、その後は太りやすい身体になってしまい、体重を維持する事が難しくなってしまいます。適度な運動で筋肉量を増やす、または維持しながら脂肪を燃焼していけば、ダイエット終了後には、太りにくく美しい健康的な体となっている事でしょう。


タンパク質の重要性




栄養素の中で、「第一の」という名前が付く栄養素がタン白質です。英語ではプロテインと言われますが、ギリシャ語の「第一番目」という意味の「プロスト」が名前の由来です。そのくらい、タン白質は人間の身体に最も必要不可欠な栄養だと言えるのです。

人間の身体は60兆個の細胞から作られています。この内の約60%はタン白質がないと作れません。もちろん、残りの約40%の細胞にもタン白質は深く関わっています。それほどタン白質は重要な栄養素なのです。

タン白質を多く含む食品と言えば、肉、卵、魚、豆、そして豆製品です。一日に必要なタン白質量は、体重1kg当たり1〜1.5gと言われていますが、これはあくまで「普通の」量です。スポーツをして体作りをしている方なら、もう少し増量し、1.5g〜3gを目安にして下さい。

牛を食べても牛になる人はいないように、食べた食品は一度細かく分解され、自分用に作り替えられます。自分用の設計図がDNAです。このDNAに沿ってタン白質を利用できる形に作り替えた時に、使える割合をプロテインスコア、又はアミノ酸スコアと言います。



表を見て頂くと、食べた食べ物が全て使えるのではない事がよく分かります。また、植物性食品の豆腐と大豆のプロテインスコアが低いのが分かると思います。これは、植物性のタン白質には人間のタン白質を作り直す時に必要な、必須アミノ酸のメチオニンが無いので、スコアが低くなるのです。このプロテインスコアは生の場合に限られます。加熱する場合は半分くらいが熱によって壊され、使えなくなってしまいます。

牛肉を例にとって見ると、100gの牛肉には約20gのタン白質が含まれています。
20g × スコア80(=0.8) × 50% = 8g

つまり、100gの牛肉を加熱して食べた場合、タン白質は約8gしか摂取できない事になります。体重55kgの人なら、牛肉だけで考えた場合、毎日最低でも約1kgも食べないといけない計算になります。

ただし、食事の中での食べ合わせでプロテインスコアが上がる事があります。例えば、豆や豆腐(植物性タン白質)を食べる時に肉や卵、魚(動物性タン白質)などを一緒に食べると豆腐のプロテインスコアも上がると言われています。具体的なメニューで言うと、マグロ納豆、すき焼き、ゴーヤチャンプルなどがそれに当たります。冷や奴に鰹節をたっぷり掛けるのもいいです。その意味でも、多くのおかずが組み合わされた食事のほうが効率よく栄養摂取ができると言えます。

タン白質の働きの中には、「酵素」を作るものがあります。脂肪を燃やすためにはリパーゼという酵素が必要なのですが、このリパーゼもタン白質から作られていますので、減量中は普段以上にタン白質の摂取量を増やす必要があります。しかし、十分なタン白質の摂取量を食品だけで補おうとするとカロリーオーバーになるかもしれません。そういった場合は、サプリメントを上手く活用し、効率よく賢く、ダイエットしましょう。


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  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための 分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)

    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901〜1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

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[ PHYSIQUE MAGAZINE 001 ]

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