脂質の主な種類とその働きは6つに分類される!
掲載日:2015.12.11
さて、脂肪という言葉を聞くだけで「必要ない、余計な物」的に考えがちですね。脂肪と言ったら、体内の脂肪で一番最初に想像が付くのは皮下脂肪、内臓脂肪でしょう。
しかし、脂肪には色々種類があり、働きも様々あります。今回はそれも含めて見て行きましょう。
実は脂肪の勉強は、私達研究所のインストラクターでも「難しくて分からない」という方々が沢山います。なるべく皆さんにも分かりやすくお話ししますから、付いて来て下さいね。
脂質の種類と働き
脂質の主な種類と働きは、大きく分けて次の6つに分類されます。
① エネルギーの貯蔵、エネルギー源としての働き(中性脂肪)
脂質は1g当たり9kcalのエネルギーを発生します。
中性脂肪は単に脂肪と呼ばれる事もあり、皮下脂肪として主に脂肪組織に蓄えられたり、血漿中にリポタン白質として多量に存在したりしています。皮下脂肪は体温の拡散を防ぎ、体温を一定に保つ働きがあります。
また、代謝に必要なエネルギー源の貯蔵形態でもあります。その他、クッションとして臓器保護の役割も果たしています。
② 細胞膜や細胞内の微細な膜構造の構成成分(リン脂質、糖脂質、コレステロール等)
細胞の表面である細胞膜の40%は、脂肪で出来ています。また、脳神経組織の構成成分としても重要な働きをしています。
③ 貯蔵エネルギーの移動型物質(リポタン白、遊離脂肪酸)
脂肪は体内を移動する途中で様々な形に代謝され、姿を変えていきます。
④ ステロイドホルモン(コレステロール)の構成成分
コレステロールは②の働きの他に、胆汁酸やステロイドホルモン、ビタミンDの原料となります。
⑤ 脂溶性ビタミンやホルモンを構成している(VA、VD、VE、VKなど)
⑥プロスタグランディンなどの生理活性物質の前駆物質として、生合成の原料となる(特殊な脂肪酸)
細胞膜はリン脂質で出来ています(②参照)。そのリン脂質の原料となる脂の種類によって、プロスタグランディンやロイコトリエンという名前の物質が作られます。
プロスタグランディンには多数の同族体(親戚のような、似た様な物質)があり、多彩な生理活性物質としてホルモンに似た働きをします。
こちらの記事で“タンパク質”のお話をしましたが、どんな物を食べても、カロリーオーバーになれば脂肪として貯金されます。
それは、金利の高い銀行に預けるのと同じ。エネルギーに変える時は、1g当たりのエネルギー量は脂肪が一番高いからです。
人類の進化の歴史は飢餓との戦いでした。飽食の時代になったのは、まだ100年経つか経たないかでしょう。その為、人間は余剰カロリーを脂肪として蓄える様に進化して来ました。
明日食物が手に入るかどうか分からない環境だったから、生き延びる為には入ったカロリーを大事に大事に貯金するのです。進化のメカニズムは簡単には変わりません。
[ アスリートのための分子栄養学 ]