フィジーク・オンライン

エネルギー代謝に役立つ栄養<コエンザイムQ10とガルシニア・カンボジア>

この記事をシェアする

0
掲載日:2016.07.11


コエンザイムQ10(CoQ 10: Coenzyme Q10)


心臓は、全身に血液を送り出すために絶えず活動しています。寝ている時も、起きている時も、意識していなくてもちゃんと動いてくれないと困りますよね。

その活動のエネルギー源となっているのが、コエンザイムQ10(CoQ10)という補酵素です。CoQ10は体内で作られますが、CoQ10の消耗が著しい現代の日常生活では、サプリメントの様な形で積極的に補給する事が望ましいです。

食物から摂れる量は1日10mg程度ですが、健康維持に必要な量は100mg以上と考えられています。イワシなら20匹以上食べなければなりませんから、やはりサプリメントを効果的に利用して下さい。




CoQ10は、エネルギーを作る場所である細胞のミトコンドリアに約50%、核に約30%、小胞体に約20%分布します。心臓、特に心筋の膜や腎臓、牌臓などミトコンドリアが沢山存在する場所に多く存在します。

心臓疾患の治療にCoQ10が使われるのはそういう訳です。

体内では20歳頃をピークに、加齢と共に減少します。不足すると、ミトコンドリアが最も多く存在する心臓のエネルギーが弱まり、心臓のポンプ機能が疲労します。

すると血液を送り出す力(心拍出量)が弱まり、1回の拍動で押し出される血液量が減る為、血液が末梢まで行き届かず、手足の先が冷えたり、脚がむくんだりなど、様々な症状が出現する事になります。

年を取ると、走ると息切れするという話を良く耳にしますが、それもCoQ10の体内含有量減少が原因かもしれません。


CoQ10は抗酸化物質
エネルギー産生に深く関与しているCoQ10ですが、細胞を活性酸素による酸化から守る働きもあります。老化を早めたり、様々な疾病を引き起こす原因と考えられているのが、細胞膜の酸化です。

その酸化の引き金となるのが、活性酸素(フリーラジカル)です。CoQ10はそれらを無害化したり、酸化された物質を分解して細胞のダメージを修復したりします。

抗酸化物質には、良く知られているものにビタミンE、ビタミンC、カロチノイド、ポリフェノール、グルタチオン等がありますが、CoQ10は最も重要な抗酸化物質の一つです。

細胞の中で特に酸化されやすいのが、細胞膜の主成分である脂質です。CoQ10は、脂質の酸化を防いでいる重要な物質であるビタミンEに作用し、抗酸化力を強化します。

しかもCoQ10がなくなると、ビタミンEが有っても脂質の酸化作用は抑制できないことが分かつています。つまり、CoQ10はビタミンEの酸化を抑制する作用と、脂質過酸化物の酸化反応を抑制する、二つの働きがあるのです。

ビタミンEやビタミンCが無くなるより先にCoQ10が無くなるわけですから、ビタミンEやビタミンCの欠乏が見られたら、既にCoQ10は体内にほとんど無い、と思って下さい。

CoQ10はアスリー卜に不可欠
ハードなトレーニングによって筋繊維から栄養が漏れたり、呼吸によって体内に活性酸素が大量に発生したりします。そこでCoQ10の補給による抗酸化は欠かせなくなります。

また、パフォーマンス向上や持久力の持続には、エネルギー代謝を促進するCoQ10を是非摂りたいですね。CoQ10は筋肉の膜を守りますので、怪我も予防してくれます。

その他、CoQ10が不足するとエネルギー産生に支障が起こりますから、以前消費出来ていたエネルギーを身体が消費出来なくなり、同じ量を食べていても太りやすくなったりします。運動+CoQ10で、エネルギー消費量を高めましょう。

減量期の疲労を取ったり脂肪消費を高めたりして、理想の身体を作りましょう。


ガルシニア・カンボジア(Garcinia Cambogia)




体脂肪対策の話が出ましたので、エネルギー産生とは直接関係しませんが、ここでHCA(ハイドロキシクエン酸)の話をします。ガルシニア・カンボジアはインド原産の植物で、果実部分から抽出した成分HCAが有効成分です。

HCAによるエネルギー代謝の促進
TCAサイクルというエネルギー代謝の過程で発生したクエン酸は、エネルギーとして利用されないと、脂肪酸合成経路を経て、脂肪として貯蔵されます(全くもって、どこにいっても貯金は脂肪、ですね)。

HCAは、この脂肪の生合成を阻害し、脂肪の蓄積を抑制します(①)。

更に、①によってミトコンドリア内のクエン酸濃度が増加し、糖質からのグリコーゲンへの変換が促進され、貯蔵グリコーゲンが増加し、血糖値の安定化、空腹感の抑制、過食防止に役立ちます。

また、脂肪酸の燃焼に抑制的に働くマロニルCoAの濃度が低下する事により、脂肪の燃焼が促進され、エネルギー源として使われます(②)。

競技会に向けて減量する方は、試してみて下さい。


  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)

    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901〜1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

  • アスリートのための分子栄養学
    2014年3月31日初版1刷発行
    著者:星 真理
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ アスリートのための分子栄養学 ]

関連記事

必要な摂取カロリーを計算しよう!基礎代謝以下に摂取カロリーを落とすな!

必要な摂取カロリーを計算しよう!基礎代謝以下に摂取カロリーを落とすな!

体型別トレーニングで理想のカラダを手に入れよう

体型別トレーニングで理想のカラダを手に入れよう

【警告】夏の疲れは秋に出る 疲れにくいカラダ作りの秘訣/分子栄養医学管理士 星真理 (1/2)

【警告】夏の疲れは秋に出る 疲れにくいカラダ作りの秘訣/分子栄養医学管理士 星真理 (1/2)

カロリー収支と体重変化 / ダイエットコーチに学ぶスポーツ栄養学

カロリー収支と体重変化 / ダイエットコーチに学ぶスポーツ栄養学

肩こりの原因と予防策 / 部位別コンディショニング&ケア

肩こりの原因と予防策 / 部位別コンディショニング&ケア

正しく食品の選択ができていますか?インスリンの良い面と悪い面

正しく食品の選択ができていますか?インスリンの良い面と悪い面

三大栄養素だけでなく、微量栄養素が重要な理由 / ダイエットコーチに学ぶスポーツ栄養学

三大栄養素だけでなく、微量栄養素が重要な理由 / ダイエットコーチに学ぶスポーツ栄養学

大切なのは日々の手入れ/益子 克彦

大切なのは日々の手入れ/益子 克彦