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ビタミンCを積極的に摂ろう! / 分子栄養医学管理士の星真理さんに学ぶカラダ作りの栄養学 (1/2)

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掲載日:2015.06.05


ビタミンCは、最近では健康食品や機能性食品、緑茶などの飲料の酸化防止剤などによく使われています。のど飴や化粧品などにも入っていて、とてもポピュラーな栄養素です。黄色くて酸っぱいイメージがありますが、無色で、酸味はわずかです。


ビタミンCの発見


16〜18世紀の大航海時代、原因不明の出血で死亡する船乗り達が続出し、海の悪魔に取り付かれたと言われ、長い間、海賊よりも恐れられていました。これが壊血病です。イギリスの医師、ジェームス・リンドは、柑橘類を食べさせると治る事を発見しましたが、その後、なぜか40年間も無視されてしまいました。
ア → 抵抗する
スコルビック → 壊血病
壊血病に抵抗する酸、という意味で アスコルビン酸 と名前がつけられました。
壊血病の初期症状は、やる気がなくなったり、だるい、疲れるなどの、「病気では無いけど」といった症状です。ひどくなるとうつ状態になり、毛穴や粘膜から出血をします。

ビタミンCが欠乏しやすい人
現代は、日常生活で意外にたくさん使われてしまい、欠乏している人も少なくありません。ちなみにタバコを1本吸うと、約100mgのビタミンCが消費されてしまいます。

・喫煙者
・高齢者
・アルコール常飲者
・強いストレスにさらされた場合
・外傷や外科手術後の患者さん
・ICU 入院患者
・寒冷や高温
・汚染物質の多い環境
・担ガン患者
・人工透析患者
・災害時の避難所生活



ビタミンCが不足すると
・シワができやすい
・傷が治りにくい
・毛細血管が壊れやすい
・感染症(風邪など)にかかりやすい
・ガンになりやすい
・ストレスに弱くなる
・貧血になりやすい
・肝臓の解毒作用が低下する
・色黒、シミ、ソバカスができやすい

※毛細血管が壊れやすいというのは、アザが出来やすいという意味です。普通、アザはぶつけるとか、なぐられるとか、かなり強い刺激が外から加えられないと出来ません。気がつかない内にアザが出来るような経験がよくある方は、ビタミンCが不足しているかも知れません。

ビタミンCは食べて摂る
ビタミンCを体内で作れるイヌやネコは、必要に応じて体重60kgあたり一日2,400mgものビタミンCを作っています。人間は自分の体で作れませんので、少なくとも一日に1,500mgから2,500mgくらいは積極的に食べなければいけません。

たくさん摂っても無駄はない
食べたビタミンCは副腎、脳下垂体、眼の水晶体、血液中の白血球など、体のあちこちにたくさんにストックされます。その理由は、"たくさん必要だけど作れないから"だと言えます。副腎はストレスを感じると肥大しますが、ビタミンCをたくさん与えると、元に戻ります。たくさん摂ると無駄になると思っている方もいる様ですが、小腸で吸収されなかったビタミンCは大腸まで行き、大腸の殺菌や、善玉菌である乳酸菌を増やしたり、便を柔らかくして排泄しやすくしたりという仕事をしています。

ビタミンCを多く含む食品
ビタミンCは殆どの新鮮な野菜や果物、緑茶などに含まれます。ポイントは、「新鮮な」です。含有量の多い野菜は、赤ピーマン、黄ピーマン、パセリ、レモンなどです。また、沖縄野菜のゴーヤーに含まれるビタミンCは熱に強いといわれています。表面積の少ない野菜の方が加熱での欠損率は低いと言われ、含有量ではアスパラよりブロッコリーの方が高いですが、加熱調理後は逆転すると言われています。また、レモンよりイチゴやキウィの方が含有量は高いです。

食べる時の注意点
①新鮮なうちに
採れたての野菜や果物には豊富なビタミンCが含まれますが、空気中の酸素によって酸化され、時間と共にだんだん含有量が減ってしまいます。新鮮な内に食べたいですね。

②水に溶けるので手早く
水に溶けますので、洗ったり水につけておく時間はなるべく短く、手早く調理したいですね。

③熱に弱い
熱に弱いので、加熱調理すると壊れます。ただし、その中でもジャガイモやサツマイモに含まれるビタミンCは、一緒に含まれるデンプンがビタミンCの分解を防いでくれますので、熱に強い特徴があります。

④ジュースにすると壊れる
ショックにも弱いので、ジューサーやミキサーでスムージーやジュースなどにすると壊れます。ビタミンCは、とてもデリケートな栄養素です。食品にはどれだけの栄養素が含まれています、と書かれていると、それを全部摂取できたと思うかもしれませんが、保存方法や調理方法などで栄養価は変わります。

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  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための 分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)

    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901〜1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 004 ]

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