強くなければ美しくなれない/CrossFitトレーナー兼モデル Aya
掲載日:2015.06.05
私は私のスタイルで
Ayaは20歳代の前半〜半ば、スカウトされてランウェイを歩くファッションモデルをしていた。物心がついたころからスポーツが好きで、運動会では常に一等賞。体育大学を卒業してフィットネスクラブへ就職・・・というように、それまでずっとスポーツに親しんできたAyaは筋肉質。でもモデルの世界に入ったら、「筋肉質の身体はダメ」と言われた。お米もパンも食べられず、朝と昼はサラダだけで夜は緑茶だけ(!)という食生活でお肌は悪くなるし、運動をやめて筋肉がなくなって不健康に細くなっているのに、それでも「もう少し痩せなさい」と言われ続ける日々。いろんなことを我慢しているのにオーディションに受からないと自暴自棄になって、ストレス発散のために食べたら太っちゃって、「あーあ、私、ダメだ」って・・・。なによりも、大好きなスポーツをやめろと言われたのは、自分そのものを全否定されているような感じだった。
このまま不健康に痩せた身体でランウェイを歩いていて本当に良いのかな、と悩んでいたある日、ヴィクトリアズ・シークレットのモデルたちの存在を知ることになる。彼女たちはかなりストイックにトレーニングをして、ほどよく食べるというライフスタイル。「海外には筋肉質なモデルがいるんだ! 私も私らしくいよう!」
運が動いたクロスフィットとの出会い
“運動しない私”をやめてみると、私に合った仕事がやってくるようになった。運動って、字のごとく運が動いてくるという意味もあるんだ。CrossFitとの出会い、それもまさに運が動いたきっかけ。昔から好奇心が旺盛だったAyaは、中学の陸上部時代には走ったりハイジャンプをしたり・・・いろんな種目に手を伸ばした。
高校に進学すると今度は団体競技がしたいとバレーボール部に。自分との戦いだった陸上部時代の思考からうまくスイッチできなくて、他の誰かのミスを怒って輪を乱したこともあったけれど、やがてみんなでひとつのことを達成するという団体競技の素晴らしさを知っていった。今から思うと、クロスフィットはいろんな種目がある点が陸上競技と同じだし、みんなでやれる点はバレーボールと同じだという。
だから「クロスフィットは出会った瞬間からハマったんです!!」
いちばんの美容の秘訣は運動すること
日本人って、美意識は高いけれど、健康に対する意識は足りていない。「ラクして痩せる」「コレを飲んだら痩せる」「部分痩せ」「〜ながら運動」というように、簡単に痩せられるものに飛びつきやすい風潮がある。実際には“部分痩せ”なんてありえないし、楽をしていたら何も変えられないはずなのに。Ayaは身体のラインが綺麗に見える洋服が好きなので、そういう洋服を着こなすことや、ボディメイクを意識することも、クロスフィットをする上でのモチベーションになっている。だからこそ洋服はAyaの心を奮い立たせてくれるという。
運動をして汗をかけばデトックスできるし、達成感を味わうとストレスフリーになれる。ハードなトレーニングをすればなおさら。それに運動している間は無心になれるし、運動を終えたときには、今まで悩んでいたことなんて小さく感じて、もうどうでもいいやと思えてしまうようになる。だから、Ayaのライフスタイルにとってスポーツは欠かすことのできないエッセンス。例えるならビタミン剤のようなもの。お肌にも身体にも、精神的にも効果がある。何の運動もしないで自分の殻に閉じこもっているなんてもったいない!自分にとっていちばんの美容の秘訣は運動なのだから。
クロスフィットのメニューは無限
本当に美しくなるための第一歩は、タフになること。強くなければ美しくなりえない。女性であっても強い身体と生きていく力を作って、自分の身体は自分で守れないと!CrossFitはカリフォルニア発祥のファンクショナルトレーニングで、バリエーション豊富なトレーニングでルールも正解もないし、組み合わせは無限に作れる。好奇心旺盛かつマンネリ嫌いなAyaは3日オン1日オフでトレーニングしているが、自分でやっていてもセッションをしていてもネタは尽きることがないという。ボックス(クロスフィットではトレーニング空間のことをこう呼ぶ)に通ってくるお客さんも同じように、飽きずに楽しく続けられているはず。
フィットネスクラブの社員インストラクター時代に、がむしゃらに学んでたくさんインプットした“ネタ”を、フリーインストラクターに転身後アウトプットしていたときは、時間が経つにつれネタが切れていくことが怖かったという。マンネリ化しないためにと、たくさん資格をとっていたのに…。その点、クロスフィットはそのものの奥が深いところも魅力的なのである。
時間がなくても運動はできる
CrossFitは短時間で高強度な負荷をかけるファンクショナルトレーニングである。一般的なレッスンは、ストレッチ〜ウォームアップ〜スキル(技術を学ぶ)〜ストレングス(重量を扱う)〜メインの運動であるWOD(Workout Of Day)という構成で、ストレッチをはじめてから最後のWODが終わるまでの所要時間は1時間程度。
WODにいたっては、短いものだと3分で終わるくらい・・・その3分が地獄のようにキツいものだけど、「どんなに忙しい人でも1日の中でせめてWODの3分ぐらいは時間が取れるでしょ?」これなら日本人にありがちな‘時間がないから運動ができない’という言い訳はできない。
ちなみにウォームアップとWODだけで構成した“クロスフィット・ブートキャンプ”というメニューもあり、これはクロスフィット人口を増やすために競技性を薄めてアレンジしたもので、クロスフィット初心者やシェイプアップ目的の女性に大人気だ。
明るく前向きなライフスタイルのために
西麻布と六本木のボックスには、名前を挙げれば誰もが知っているような第一線で活躍するモデルやシンガー、スポーツ選手、格闘家、またそれだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃん、子どもも通ってきている。膝や腰や肩に持病を持っている人には種目をアレンジすることで、それぞれの目的に合わせながら、いろんな人が一緒にやれるところがCrossFitの魅力。
通いはじめた頃と今とでは性格がガラリと変わった人もいる。昔はすごく暗かったのに、CrossFitの種目を達成できるようになっていくうちに、性格がどんどん明るくなって。「この種目ができた!じゃあ、次の種目もがんばろう」と考えていくうちに、どんどん前向きな性格に変わっていく。CrossFitに限らないが、スポーツの魅力ってそういうところにあるのだろう。
Dream×使命
CrossFitは何でもありなので、将来的にはプールやヨガ、ウェイトトレーニング、ピラティスといったいろんな施設のある大きなボックスを作るのが夢。Ayaにはスイミング、アクアビクス、エアロビクス、ボクササイズ、バランスボール、フラダンス、骨盤体操、ストレッチ、競技エアロビクス、ボディコンバット、アスレチック、乗馬・・・いろいろなスポーツのインストラクターとしての経験があるからこそ、それぞれの種目のデメリットをカバーしつつメリットを活かすことができる。
“なんちゃって”ではなく、本当にヘルシーなメニューを揃えたレストランやカフェも併設したいし、形から入る女子も多いから(笑)、フィットネス用のウェアのプロデュースもしてみたいとイメージは広がる。機能的だけど女の子が喜ぶような可愛いもの——「これを着るためにがんばってみよう!」と思えるようなものを。
モデルの経歴も含めて、これまでの経験を全部CrossFitにつなげていきたいと考えている。ただ、今の日本ではクロスフィットの存在があまりにも知られていないのが現状。アメリカを中心に全世界でボックスが1万箇所もあるというのに・・・。
だからこそ将来のことを考えると、今自分がどうすべきなのかに依る部分がすごく大きいというのをひしひしと感じているという。最近はヘルシーがブームになっているが、ブームではなく文化として根づかせるためにも、無限の可能性があるCrossFitの知名度を上げることを、Ayaは自分の使命だと考えている。
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- Photo:
- Akasaka Tomohiro
- Text:
- Akane
- ヘアメイク:
- 山邊裕之
- 衣装協力 :
- Reebok
- 取材協力:
- Reebok Cross Fit 六本木
フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 004 ]
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