筋力測定でわかる「最大筋力」と「スピード」の関係
掲載日:2015.10.19
現在、筋力を測る方法は、大きく分けて2種類のやり方がポピュラーとなっています。
その一つは、フリーウエイト(バーベル、ダンベル、アレイ)やウエイトスタック(トレーニングマシーンなどブロック状の重り)などの重量物を用いて最大挙上重量を最大筋力として計測する方法。もう一つは動的筋力測定装置を用いる特殊な方法です。
このうち動的筋力測定装置を用いる方法では等速度の動きになるよう、押せば動き続けるバー(またはロールクッション)に最大努力で力を発揮し、そこに加えられた力(圧力)を関節角度毎の複数ポイントで計測し最大筋力としていきます。
ちなみに私たちの測定部門ではどちらの計測方法も実施していますが、そのうち動的筋力測定装置「エリエールCESJ(現地に移動できる測定装置を有している)による測定の場合、速度の変化が角速度(deg/s)で設定できるため、秒速37.5cm(15deg/s)の比較的ゆっくりした動きの速度モード(最大筋力的評価)と、その4倍の速度である秒速150cm(60deg/s)の比較的速い動きの速度モード(スピード筋力的評価)で、同一エクササイズ(たとえばスクワットやベンチプレスなど)の測定が行えるという特徴があります。
これにより、最大筋力の増大と身体動作のスピードとの関係を知ることができます。この方法によって集められた計測データから分かった事実をご紹介しましょう。
あるチーム約20人の15deg/s(最大筋力的評価)のスクワット測定データでは、約3ヶ月間の筋力トレーニング実施で、実施前後において約30%の伸び率があり、その測定数値を体重で割った時、体重1kgあたりの筋力(選手の動きに関連する筋力)も同様に27%伸びていました。
一方、同様にスクワット60deg/sの筋力も79kgから98kgへ伸びを示しており、60deg/sの筋力を体重1kgあたりで割った数値も1.18kgから1.56kgへ増加していました。
そこで初期に測定した最大筋力的評価で、ある15deg/sの数値(筋力)と、そのときのスピード筋力的評価である60deg/sの割合は0.61で、最大筋力的評価の約61%の割合でスピード的筋力が発揮されていることになりますが、トレーニングを行なった後の割合は0.58で58%という具合に、そこだけとらえて言うと最大筋力に対するスピード筋力が下がったように感じます。というより割合は下がる傾向にあります。
しかし、前述のように60deg/sの体重1kg当りの筋力が上がっていることと、休重1kg当りの筋力も上がっているので、体重が負荷となるスポーツや、ある程度重量のある何かの道具(バット、ラケットなど)を用いたスポーツの場合、スピードも出てくるというととになり、動きも良くなっているわけです。
私たちは他にも統計的なデータは数多く(10万人以上)保有しているので、機会があれば発表したいと思いますが、とりあえずどのような結果から前述の条件(自己体重が負荷となることや用具使用)はありますが、筋力トレーニングで動きのスピードは上がるということがいえます。
ここで述べたいポイン卜
1.自己の体重に負ける筋力では、動きを速くするスキル的な練習よりも筋力トレーニングが必要。
2.一言で「筋力測定」といっても何種類もの測定方法がある。つまり筋発揮のパターンがいくつかある中で、どのパターンを測定するかでデータの意味するものが違ってくる。
1.自己の体重に負ける筋力では、動きを速くするスキル的な練習よりも筋力トレーニングが必要。
2.一言で「筋力測定」といっても何種類もの測定方法がある。つまり筋発揮のパターンがいくつかある中で、どのパターンを測定するかでデータの意味するものが違ってくる。
[ スポーツトレーナーが指導しているこれが正しい筋力トレーニングだ! ]