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トレーニングの組み立て、順序を意識していますか?

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掲載日:2016.01.20


トレーニングの現場では、同じ日に複数のトレーニング種目を実施する場合が多いと思います。その際、「トレーニングプログラム」または「メニュー」という形でトレーニングの実施内容を組み立てるということを行います。

そしてその時に大切になるのが実施するトレーニング種目の順番を正しく決めていくということです。

例えば、ベンチプレス(大胸筋、上腕三頭筋)、スクワット(大腿四頭筋)、デッドリフト(脊柱起立筋、大智筋、背面筋群)、フロントプレス(三角筋、上腕三頭筋)、バーベルカール(上腕二頭筋、上腕筋、前腕屈筋群)、シットアップ(腹直筋)の6種目を一日でトレーニングする内容として選定したとします。

この場合もっとも効果を望んでいく上では、どのように種目の順番を決めていくべきでしょうか。

2種目以上のトレーニングにおいて、補助的に参加する筋肉が同一の筋肉の場合には、本来鍛えたい筋肉が大きい筋肉の順に行っていくことが大切です。そのような方法で行わないと、補助的な筋肉が疲れることで、本来において強化したい筋肉を鍛えるができなくなることがあります。

例えばベンチプレスとフロントプレスの場合です。ベンチプレスは大胸筋の強化を狙いとした種目として知られていますが、補助的に上腕三頭筋が動作中に使われます。フロントプレスの場合、三角筋を主に強化しますが、やはり補助的に上腕三頭筋が使われます。

バランス的な筋力を考慮して大胸筋の強化を優先的に行いたいパターンの時、フロントプレスを先に実施した場合、補助的に使用される上腕三頭筋を疲労させてしまい、その後にベンチプレス種目で効果をあげようとしても、補助筋である上腕三頭筋の疲労のため、十分に大胸筋ヘ刺激を与えるまで動作ができないことがあります。

これでは、目的とする筋力のバランスが取れないまま進むため理想的なメニューとはいえません。

一日の内に6種目すべてのトレーニング種目を実施する場合は、一番始めに行う種目と最後に行う種目において、それぞれの実施時の「疲労」について考えておく必要があります。

なぜなら一番始めに行う種目と、最後に行う種目とでは、その時の疲労によって発揮できる力にかなりの差が出るため、後の方で実施する種目ほど運動内容が下がってしまうからです。

このことから、一日の内にすべてのトレーニング種目を実施する場合、最も強化したい筋肉部位(または筋力を高めたい箇所)に関する種目を優先的に実施する必要があるといえます。

一方、筋力トレーニング、と各スポーツのスキルアップ(技術向上)練習を共に行う上での方法にも注意を払う必要があります。

しばしばスポーツの現場において、スキルアップ練習をしっかり行った後に筋力アップトレーニングを実施したり、あるいはその逆に、筋力トレーニングを実施した後にスキルアップの練習をするといったケースが見受けられますが、どちらを先に持ってきてもどちらの効果も最大限に得られるということはないと思われます。

筋力トレーニングを先に実施した場合、筋力を高めたり筋肉の成長をうながすという点においては十分な効果が期待できますが、それにより激しく疲労するためその後に実施するスキルアップの練習に影響がでることがあります。

具体的には、スキル向上の練習では動作の正確性が中心になりますが、疲労のために正確な動作の維持ができなくなったり、あるいは筋力の維持ができずに姿勢が乱れるなどの弊害が出てきます。

逆にスキルアップの練習後に筋力トレーニングを実施すると、練習による神経の疲労から集中力を欠く内容となり、筋力を高めるための刺激が得にくくなることなどがあります。

これらのようなことからも、筋力トレーニングと各スポーツのスキルアップの練習については時期によってどちらを優先的に実施するのかについて、よく考える必要があります。
ここで述べたいポイン卜
1.上半身で腕を使用する種目は、腕を伸ばす時に力がいるのか、腕を曲げる時に力がいるのか判断し、同じような筋力発揮が重ならないようにメニューを組む。
2.一番最初に実施する種目がもっとも効果的である。それは一日の内にということだけでなく、一週間の最初にも同じことがいえる。
3.どの種目を先に、後にということだけではなく、スポーツの場合はスキル練習や有酸素系のトレーニングなども入ってくるので、その絡みを考えていかなくてはならない。
 
  • スポーツトレーナーが指導しているこれが正しい筋力トレーニングだ!
    2008年5月20日第3版発行
    著者:21世紀筋力トレー二ングアカデミー
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ スポーツトレーナーが指導しているこれが正しい筋力トレーニングだ! ]

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