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レジスタンストレーニングで期待できる「最大筋力を高める方法」とは?

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掲載日:2016.02.04


レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)とは、普段よりも少し「からだに抵抗負荷(レジスタンス)をあたえること」ができれば、「体を変える」ことになる・・・とした「トレーニング」の一分野になります。

ここでは、このトレーニングの進め方について述べていきますが、目的によってトレーニング方法が異なることはご紹介しました。レジスタンストレーニングで、期待できる効果(トレーニングの目的)は、大きく分けて、最大筋力を高めることと、筋持久力を高めることに別れます。

その他に、筋の収縮スピードを上げる、リハビリトレーニング、シェイプアップ、爆発的な筋力の獲得(プライオメトリクス)、等があげられますが、ここでは主に最大筋力を高めるトレーニングを主体として説明していきます。

最大筋力を高めるには、下記の【表1】にあるように、1回だけしか持ち上がらない重量を100%(最大挙上)とした場合、70%以上の重量(負荷)でトレーニングを行なった方が、効率が良いことがわかります。

ここで、誤解しないでいただきたいのは、60%以下の重量で実施した場合、筋持久力の向上のみで、最大筋力は、全く向上しないということではなくて、短期間で効果を得られるトレーニング効率を考えた選択です。現在の「筋力」を、効率よく短期間に高めるためには、自分にとって適切な「重量」や「負荷」を正しく理解し設定する必要があります。

それでは、各ジャンル別に、以下の【表1】にある、繰り返し回数、筋力割合、効果についてそれぞれ具体的に述べていきましょう。

【表1】最大筋力と繰り返し回数、効果の関係


(1)最大筋力(100%=1RM)とは?
ここでいう最大筋力とは、どの種目であっても1回しか持ち上がらない重量を言います。ベンチプレスを例にとると50kgがやっと1回持ち上げることができたという実力だと、50kg=100%(最大筋力)となって、1RMと表現します。

(2)最大筋力に対する割合(%)
1回しか持ち上がらない重量を100%として、それぞれ10%ごとに下がるように%が決められています。50kgが1回持ち上がる(最大筋力)場合、100%が50kgになり、それぞれの%重量は、90%=45kg、80%=40kg、70%=35kg、60%=30kgということになります。

また、100kgが1回持ち上がる選手の場合は、100%=100kgになり、それぞれの%重量は90%=90kg、80%=80kg・・・というようになります。

(3)限界回数=RM(レベティション・マキシマム)
重量や負荷を1回のみ持ち上げることができるとか、連続で5回だけしか持ち上がらないとかいう回数を、RMといいます。

たとえば、ベンチプレスで、90kgの重量を使用して連続5回、どうにか挙上できたがという場合、90kgが5RMということになり、90kg×5RMというふうに表現します。

そして、その重量が【表1】の関係から、90%割合の重量で、筋力の向上に効果があるということになります。

そして、【表1】に当てはめれば、どの重量(負荷)を使用したとしても、限界回数(RM)さえ求めれば、それが何%の重量か当てはめることができますから、1回持ち上げることができるかどうか、という危険を避けて、推定の1回しか持ち上がらない重量(最大筋力)を計算することも可能です。

そして、回数の少ないRMほど、計算で求めた数値が、実際の最大筋力(挙上重量)に近いという特徴があります。

(4)実施上の判断回数
また、人間は機械のようにいつも同じ筋力を発揮できるとは限りません。同じ人であっても、トレーニングを行なうたびに、同重量で同じ回数ということはありません。

体調の良いときは多少、繰り返し回数(RM)が、一時的に増えることもありますし、疲れ気味のときは、回数が減ることもありますから、トレーニングを実施するたびに多少のズレを計算するのは、かえって正確性を欠きます。

このようなことからトレーニングを行なう上の便宜上の回数として、実施上の判断回数を設けてあります。この場合、4-6RMの範囲であれば90%の重量割合として、8-12RMならば80%の重量割合として判断します。

(5)主な効果=目的
最大筋力の何%の重量を使用するか、目的に応じて使い分けなくては、効果(トレーニング成果)を得にくいことは前記しましたが、筋力の向上のためには70%以上を、筋持久力向上は60%以下を用いてトレーニングを、というように重量を選定する必要があります。

そのためには、目的が何であるかという意識が大切となってきます。よく見られる場面として、何のトレーニングか意味もなく行っていたり、他の選手が扱う重量を真似て使用してみたり、最初は筋力向上の%重量を使用していても、強くなるにしたがって繰り返し回数(RM)が多くなって、いつのまにか筋持久力トレーニングになっていたりということがあります。いずれも【表1】の主な効果を理解していないことから起こる間違いです。

但し、導入初期段階やトレーニングの習慣から離れていた場合、又、ケガから復帰する「リコンデショニング」期聞においては、身体の生理的な「馴化」や「適応」への配慮が必要と思われるため、この限りではありません。

このように、トレーニングを進めるに当たって、目的に合った負荷%とRMを理解することで、【表1】は大変重要となってきます。特に、自分が現在使用している重量が、最大筋力の何%の重量なのかを常に知る必要があります。そこで、例題を見本として簡単な計算問題を実施してみてください。
<例題1>
A君はベンチプレス種目で70kgを10回(RM)持ち上げることができました。最大筋力を計算で求めなさい。

[計算方法]
70(kg)780(%)=0.875(kg) — 1%あたりの重量
0.875×100(%)=87.5(kg)
答え87.5kg


<例題2>
B君はスクワット種目で120kgを1回(RM)持ち上げることができました。50%、65%、80%のそれぞれの重量を計算しなさい。ただし、それぞれの重量が、2.5kgの倍数にならない場合、最も近い2.5kgの倍数を選定しなさい。(最軽量プレートが1.25kg×2枚)

[計算方法]
50%の重量 — 120(kg)×0.5=60
答え60kg

65%の重量 — 120(kg)×0.65=78 — 77.5
答え77.5kg

80%の重量 — 120(kg)×0.8=96 — 95
答え95kg


※フリーウエイト(バーベルやダンベル)でトレーニングを行う場合、重量調節にはプレートとよばれる円盤状の重り(鉄製または鋳物)を使用します。重量の種類としては、1枚が30kg、25kg、20kg、17、5kg、15kg、12.5kg、1Okg、7.5kg、5kg、2.5kg、1.25kgのものがポピュラーです。

したがって、重量調節の最小単位が1.25kg×2枚=2.5kgとなりますので、計算した重量が2.5kgで割れないときは2.5の倍数に最も近い重量を選定する必要があります。

<計算問題>
①C君はベンチプレス種目で100kgを15回(RM)持ち上げることができました。最大筋力を小数第2位まで計算で求めなさい。
②D君はスクワット種目で155kgを1回(RM)持ち上げることができました。50%、65%、80%のそれぞれの重量を計算しなさい。ただし、それぞれの重量が、2.5kgの倍数にならない場合、最も近い2.5kgの倍数を選定しなさい。

コラム 部活が終わったあとのコンビ二、何を買えばいい?
「みなさんは部活が終わってコンビニに行くとしたらどんなものを買いますか?最近の購入品目を思い出してください。コーラ、ポテトチップス、メロンパン、アイスクリーム・・・。練習後はとにかく空腹感、疲労感がピークに達しています。お腹にたまるもの、甘いものが欲しくなることでしょう。

そこで先に挙げたようなものに手が伸びがちですが、ちょっと待ってください。まずは激しい練習で、使ったエネルギーの補給としての炭水化物。ポテトチップスよりはおにぎり、メロンパンよりはサンドイッチなどの調理パン。そして壊れた筋肉を修復してくれるタンパク質。コーラよりは牛乳や豆乳を。ゆで卵やチーズもあります。

最後に疲労感など体の中のメンテナンスを行うビタミン・ミネラル。100%オレンジジュースや野菜ジュース。これらをきちんと補えるものを購入しましょう。ちょっとした工夫でトレーニング効果を引き出す栄養摂取ができるかもしれません。


  • スポーツトレーナーが指導しているこれが正しい筋力トレーニングだ!
    2008年5月20日第3版発行
    著者:21世紀筋力トレー二ングアカデミー
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ スポーツトレーナーが指導しているこれが正しい筋力トレーニングだ! ]

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