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1日540トンの負担が足にかかる!? / ボディメイクにつなげる人体解剖学入門

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掲載日:2015.06.05


日々、高度なトレーニングを行っている皆さんは、心身ともに良好なコンディションを維持するために、正しいトレーニング方法、良い器具、予防医学的処置(適切な食事、休息、マッサージなど)を行って障害などが起きないように常日頃から心がけていらっしゃることでしょう。より強く、たくましく。ますますしなやかで、美しくと。。。

最近まで運動能力は、遺伝的形質で決まると言われてきましたが、今日では構造的安定性改善によって、運動能力の効率を高めることが出来ることがわかってきました。

その構造的安定性改善の1つとして足の安定性があります。あらゆるスポーツにおいて足の適切な働きは、重要なものです。今回はその足(FOOT)をフォーカスします。足・脚部の構造を知り、どんな働きをしているかを理解することで、障害のないコンディション作りにお役立て下さい。


脚とは
二本のアシの付け根から指先までのことで、専門的には【下肢】(下肢は骨盤も含みます)といわれる部分。

足とは
靴を履く部分。くるぶしから指先のことです。


足の解剖学・筋肉・骨格構造




足は趾骨(指の骨・基節骨・中節骨・末節骨)が14本、中足骨が5本、足根骨が7個、これに種子骨2個を加えて片足28個、両足で56個の骨で構成されています。

身体全体に約208個の骨があるといわれていますが、足だけで4分の1を占めています。これらの骨が靱帯や関節包でガッチリとつながれています。そして全身の筋肉の70%が脚の筋肉です。


脚の筋肉は血液を流すポンプの役割




足や足指を動かしている筋肉の多くは、膝の下あたりから繋がっています。みなさんがイメージしていたよりも、意外と遠くからではないでしょうか?立つ・歩くで、足や足指が動くということは、脚全体、特に膝から下の下腿(ふくらはぎ)は動かされるのです。

心臓の大きさは自分の握り拳と同じ大きさといわれていますが、こんな小さなポンプでは全身の隅々まで血液を行き渡らせるのは無理です。筋肉の運動がポンプの助けをしていますが、特に脚の筋肉は血液を心臓に向かって押し上げる働きがあります。第二の心臓ともいわれているのは、こんなことからです。

脚の筋肉や足指を十分に使わないとき、ポンプ運動が低下し、新陳代謝や血液の循環が鈍り、さまざまな疾病や障害を引き起すことが知られています。

特に、足の指から足の裏にかけては神経が集中していて、足に感じる刺激は、靱帯、神経、髄を経て大脳に至り、足指の自由な運動は全身の筋肉運動に効果的に働いているのです。


1日540トンの負担が足にかかる!?


歩行は、足底で常に床を押しながら行っています。ニュートンの第3法則(作用・反作用の法則)に基づいて、足底が床を押している力と同等に、床も足底を押しています。これが『床反力』です。

米国足病医協会の調べによると、ゆっくり歩くときでも足にかかる重さは、体重の1.2倍。60kgの人で一歩ごとに72kgの重さが足にかかります。人間は1日に平均約6.5キロメートル(歩数にして約7,500歩)歩いているといわれているので、単純計算すると1日540トンの重さが足にかかっていることになります。

ゆっくり歩いてこれだけの重さがかかるわけですから、急いで歩いたりすれば、もっと負担は大きくなります。走っているときは約3倍、ジャンプは約6倍と言われています。


衝撃力緩和構造【骨・筋肉・靱帯・脂肪・血管・アーチ構造】


足は様々な構造上の機能で、上と下からの負担を芸術的なまでに合理的に分散しながらバランスよく受け止める精緻構造をしています。

体重分散構造
足の骨の中で、踵骨は一番大きく、足の骨全体に対する踵骨の割合は50%。ゴリラは40%、チンパンジーは33%です。いかに人間の踵かかとが発達しているかがわかります。これは直立した人の体重負荷率にみると、踵に多くの体重がかかっており、体重の約8割を受け止めるような構造になっているから大きくなっていると言えます。

足底の圧力緩衝系
足の負担は骨・靱帯・筋肉だけで支えているわけではありません。厚さ2cmの皮下結合組織は蜂の巣状の脂肪組織からなっており、圧力をやわらげる役割を果たしています。

血管
足の血管は、毛細血管もいれると血管だけで足の形になるほど隅々にまで行き渡っています。血液も身体の支持組織の一つです。液体なのに?と思われる方もいるかと思いますが、血管というホースに血液が流れていることによって、組織がしっかりとしているのです。例えてみるならペラペラのホースに水を通すとしっかりするのと同じです。

足底アーチ構造
膨大な圧力をやわらげる仕組みはそのほかに、足のアーチ構造(足底弓蓋・土踏まず)があります。


3つのアーチ




内側のアーチ(土踏まず)
踵骨と第1中足骨の先端との間に前後のアーチが構成されている
役割:接地・着地時の足への衝撃を吸収する、歩行時の推進力に関与

外側のアーチ
踵骨と、第5中足骨の先端との間にあるアーチ
役割:体重を支え姿勢を安定させる、歩行時に姿勢の安定を保つ

前側アーチ
第5中足骨の先端と、第1中足骨の先端の間、内側と外側の間にある
役割:足裏の血管や神経などを圧迫から守る、重心が前へ行き過ぎる事を防ぐ、足の指で地面を掴む

※テントのようなアーチ構造で上からの重みと、下からの床反力を支えています。アーチが崩れた状態が開帳足・外反母趾になります。指の下に硬いタコが出来ている人は要注意です。


脚の筋肉は血液を流すポンプの役割。そして足は直立時には唯一の接地点で、全体重を支えるポイントになっています。こんなにも重要な役割をして、身体を支えてくれている足(脚)を、どうぞ大切にしてあげてください。

TEXT :
おおしま かえで
フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 004 ]

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