エネルギー代謝に役立つ栄養<核酸とヘム鉄>
掲載日:2016.06.23
核酸(NucleicAcid)
核酸は細胞の核内に存在するDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)があり、それぞれが生物にとって重要な遺伝子現象をつかさどっています。
核酸の主な働きは、①細胞活性作用、②抗酸化作用、③抗炎症作用、④心血流改善作用、⑤腸内フローラ(細菌嚢)の改善作用、⑥免疫増強作用などがあります。
細胞はどのようにして作られるのでしょう。一つは、遺伝子という設計図を元に、DNAが材料を揃えて肝臓で作ります。しかしこの場合は、材料が全て揃わないと作る事が出来ない、大変手間の掛かる方法です。これをドゥノボ合成と言います。
一方、DNAの二重らせん構造を半分に開いて、半分をコピーし、遊離核酸や核酸成分を材料として肝臓以外の組織で作るのが、サルベージ合成と言います。
こちらはコピーなので割と簡単に作れます。言ってみれば、新しい家を造るのに、さら地から作る方法と、中古住宅をリフォームする様な違いです。掛かる材料費も、日数も、かなりお得と言えますね。しかしお得な合成方法には、核酸が不可欠なのです。
核酸の基本単位であるヌクレオシドとヌクレオチドには、核酸成分以外の働きもあります。ヌクレオシドは5つの糖と塩基が結合して作られます。ヌクレオチドはアデニンを塩基に持つヌクレオシドに、リン酸が1個から3個結合したものです。
特に3個結合したものを、ATPと言い、エネルギーの元となります。ATPについてはこちらで詳しく説明しています。
ヘム鉄(Hemeiron)
人は酸素を身体内に取り込む事で様々な生命維持活動を営んでいます。その酵素は、ヘモグロビンと結合した状態で血液中を移動します。このヘモグロビンは、ヘム鉄化合物とタン白質が結合して出来ています。
鉄はとても吸収の難しいミネラルの一つです。鉄がないと即、貧血の原因となりますが、貧血の症状はめまいや立ちくらみだけではありません。
鉄は銅から作られるセルロプラスミンという専用トラックで運ばれます。体内で鉄は銅と連動して働く事が多いので、鉄と銅はブラザーミネラルとも言われます。
また、鉄は無機(鉄がむき出し)の状態では粘膜を荒らします。その為、タン白質と結びついて安全な形で運んだり、使ったりする必要があるので、鉄の代謝にはタン白質が欠かせません。
体内、特に筋肉組織に酸素を供給している赤血球の素ですから、鉄不足はエネルギー不足となります。
朝、起きられない、すぐ疲れる、だるい、昼間によく眠くなる、などの症状がありましたら、鉄欠乏性貧血、エネルギー不足を疑って下さい。
赤血球とコラーゲンが作られる時はどちらも、鉄、タン白質、それにビタミンCが関与します。コラーゲンは筋肉と腱、腱と骨などを繋いだり、血管の回りにコイル状に巻きつき、血管の弾力を保ったりします。
皆さんご存じの通り、コラーゲンはお肌にも沢山あります。鉄やタン白質が足りないと筋や腱の断裂など、怪我の元になったり、アザが出来やすくなったりします。
因みに、外からコラーゲンを飲んだり食べたりしても、このような仕組みでコラーゲンを作り直しますので、余り関係ありません。それよりはタン白質や鉄、ビタミンCをしっかり摂る方が、遥かにお肌は綺麗になりますよ。お試しあれ。
[ アスリートのための分子栄養学 ]