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関節の動きと筋力の関係を知ろう!競技能力と筋力との関係において重要なこと!

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掲載日:2015.12.07


競技能力と筋力との関係において重要なことの一つに関節可動域(ROM)ということがあります。

筋力の発揮の特徴には、関節角度が小さい時と大きい時とでは発揮される筋力に変化があり、それゆえにこの関節可動域が大きく関連してくるのです。

また、実際のスポーツ動作では一つの関節だけでなく二つ以上の関節が運動に参加しています(これを「単関節運動」ではなく「多関節運動」といいます)。

例えば、サッカー競技で強くボールを蹴る動作は膝関節のみではなく、同時に股関節も関係しますし、足首の関節も関係していきます。

それにより膝関節、股関節、足首に関係する筋群全てを使用して運動する多関節筋群の収縮運動となるわけです。

ちなみに「サッカーのキックはどの位置において最大負荷なのだろう」という疑問がしばしば問われますが、この多関節運動の見地からも分かるように、それは、膝関節、股関節、 足首の関節などのそれぞれの関節に関係する筋肉によってまちまちであるといえます。

まして複雑な動きをしている選手の、ここがこの筋肉の最大負荷で、このとき別の筋肉は・・・、などとやっていては人生の時間の多くを費やす可能性があります。

このことは後述している「このスポーツはどこが初動筋力か?」とか、同じスポーツ種目であっても「このスポーツのどういう動きが初動筋力か?」と永遠に続きます。

それに、次の動きに連結してるどこが終動筋力部分か?・・・ということまで考えると収拾がつかなくなってしまいます。

以下に実際のスポーツ動作における関節可動域と関節にかかる負荷についての話題を挙げてみました。おのおのの話題について一緒に考えていただければと思います。

 

(1)大きな動きが強い動きを生む




人間が強い動作を行おうとする際には、小さな動作では行わず大きな動作によって行います。例えば歩く動作よりも、走る動作の方が脚は大きくダイナミックに動きます。

筋肉は平常時より120%伸長したときに最大筋力となるといわれており、そのため強い動作を行おうした時に大きくダイナミックな動作になるのです。

つまり逆に言うと、筋力が高ければ関節の可動範囲を大きく使うことができ、強い力を生み出すことができるということです。

さらに付け加えると、筋は能動的に伸長(自らその筋肉が伸びる)せず、主働筋(コンセントリック)と拮抗筋(エキセントリック)の作用で働いていきます。

つまり同一関節の相反する動きをする筋の一方がコンセントリックな収縮を起こし、それと同時に反対側の動きを司る筋肉がエキセントリック的に脱力的に引き伸ばされることで伸長されます。

また主働筋のコンセントリックな収縮が静止状態からトップスピードまで加速を行う場合、拮抗筋のエキセントリックな収縮はトップスピードから静止状態まで急激に減速を行うことで使用率を高くしていきます。

つまりスポーツにおける運動とは、常に関節の運動範囲が変化するだけでなく動作スピードも変化しながら、さらにエキセントリックな収縮により行われているのです。

スポーツの競技動作やトレーニングの議論を行う際に「初期動作(初動)」と「終末動作(終動)」という言葉がしばしば使われます。しかし運動において、「これが初動作で、これが終動作である」というような議論は決して有意義ではないと思われます。

なぜなら、動作の切り替わりとは、ある動作にとっては終動作であるかもしれませんが、次の動作にとっては初動作であるからです。

このようなことから、私たちトレーナーは単純に動作を判断すべきではないと考えて対応しています。

ただし、一つの動きで完結するような動作の場合には、このような区分けは成り立つ場合もあります。

いずれにせよこのような問題をクリアーにして決着させるには、関節の全可動域、あるいは全可動域に近い程度の十分な筋発揮ができるよう筋力トレーニングを行うということが大切であり、特に動きの初期の基本的筋力に関してはこのことが一層顕著になると思われます。

 

(2)怪我をしないための筋力トレー二ング。そしてよりダイナミックな動きを可能にするトレー二ング


先に述べましたように、強い筋力を発揮しようとする時、その運動は大きくなり、関節の運動範囲も大きくなります。

このことから、関節の運動範囲が大きいほど関節にかかる負荷も大きくなるということがいえます。さらに付け加えるとすれば運動とは常に関節の運動範囲、運動スピード、そして動作方向が変化していることです。

これらのことから以下のことがいえると思います。
 
①動作の初期段階で主働筋ならびに付着部位に最も強いストレスが掛かりやすい。
②動作の最終段階で措抗筋ならびに付着部位に最も強いストレスが掛かりやすい。
③運動強度が強いほど関節に加わるストレスも強くなる。
④動作が大きく強くなれば、より深い関節角度となるため強い負荷が掛かり、動作をコントロールする際の関節に加わるストレスが強くなる(筋力がさらに必要とされる)。
以上の点から考えても、より良い競技パフォーマンスを求めた場合には、身体にかかる負荷は大きく増加していくものと考えられます。

特に①と②では運動が常に連続して起こり、絶えず運動方向やスピードの変化をしている場合、関節やじん帯そして腱は常に運動による負荷がかかっていると考えられます。

さらに推測されることは、コンセントリックな収縮よりもエキセントリックな収縮の方が筋は力を発揮するので、ストッピング動作などの動きをコントロールする際に発揮する受動筋力は、スポーツの動きという形でとらえれば、より力強い動きや高い筋力を発揮する可能性があるということです(鉄棒の大車輸を行なう選手が、握力計ではかった握力はないのに、エキセントリックな受動的筋力が高いので、手が離れないのと同じ)。

そして、動作が切り替わる際の負荷は、当然のごとくスピードが増すにつれてさらに強くなっていくのです。

以上の事柄などを総合的に考えると、優秀なアスリート、つまり強くダイナミックな動きをする選手は、関節にかかる負担が大きくなるので、それに耐えうるだけの十分な筋力で大きな動きを起こしているのだといえます。

したがってトレーニングで身体を作るということは筋力を伸ばす、身体を大きくするという目的だけではなく、スポーツの現場で実際に経験する強い運動負荷に耐える身体を作ることためのものでもあるといえます。

もちろん優秀なアスリートのみがトレーニングで体を作ればよいというわけではありません。すべての運動を行う人にとって、身体をしっかりと作ることは大変必要なことなのです。

近年では競技としてのスポーツだけではなく、余暇を楽しむためにスポーツを行うという運動愛好者が増えています。そして、そのほとんどの愛好者たちが日頃は特にトレーニングを行わず、週末のみスポーツを行い、怪我や故障を起こしてしまうという現状があります。

その結果、多くの人が運動から遠ざかってしまうのです。
しかし、運動やスポーツは継続的に行うことで身体や精神のリフレッシュあるいは健康増進という大きなメリットをもたらせてくれるのです。このような意味から、怪我をせず、に生涯にわたってスポーツを楽しむためという目的においても筋力トレーニングというものが大切なのです。
ここで述べたいポイン卜
1.各スポーツにおける動作において、動きの初期で発揮される筋力は大きいが、その関節角度はスポーツ種目によっても場面によっても様々であり特定が難しい。
2.動きの減速で使われる筋力(主にエキセントリック的な収縮そして拮抗筋の調整などにおいて使用される筋力)や方向転換で使用される筋肉部位が付着するそれぞれの関節の角度を特定するととは難しい。
3.速い動き、ダイナミックな動きは関節可動範囲(ROM)が大きい。したがって筋力を必要とする。
 
  • スポーツトレーナーが指導しているこれが正しい筋力トレーニングだ!
    2008年5月20日第3版発行
    著者:21世紀筋力トレー二ングアカデミー
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ スポーツトレーナーが指導しているこれが正しい筋力トレーニングだ! ]

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