高重量を挙げるための体を作るベンチプレスのトレーニング方法(2/2)
掲載日:2016.01.27
← 前へ戻る
■実際のセットの組み方
それでは具体例をあげてセットの組み方を紹介します。
MAX重量=120kg
8RM=100kg
セットクリア条件=2セット以上8回挙げる
このような人がセットを組むと、表1のようになります。
ウォーミングアップは基本的なトレーニングと同様の形で行い、その後にメインセットに移ります。重量は8RMの100kg、この場合は2セット以上8回挙げるのがセットクリア条件になり、クリアできた場合に次回から重量を上げます。
ベンチプレス終了後、補助種目を行います。どの補助種目もストリクトなフォームで行いながらも、ただ単にこなすだけ、筋肉を張らすだけということがないようにします。
ベンチプレスでは当然のことながら、補助種目でもフォースト・レップスを行ったりはしません。また、MAX挑戦もSTEP1のように高頻度で行いません。1ヶ月に一度、2ヶ月に一度といったように、あらかじめMAX挑戦する日を決めておき、定期的に行うようにします。
■頻度:基本は週に2回、多くても3回
以上のようなトレーニングを、STEP1と同様に週に2回から3回行います。ただし、週に2回のトレーニングの場合はベンチプレスと補助種目の両方を行っても問題ないのですが、週に3回トレーニングをする場合、毎回のトレーニングで補助種目を行うと通常はオーバートレーニング、になってしまいます。
例えば、月・水・金曜日にトレーニングを行う場合、月曜日=ベンチプレスと補助種目、水曜日=ベンチプレスのみ、金曜日=ベンチプレスと補助種目といったように、トレーニングに変化をつける必要があります。
■STEP2のトレーニングを行う期間:体を作るため最低でも半年以上は行う
STEP2のトレーニングを行う期間はSTEP1と違い、明確に「○ヶ月行うべき」とは言えません。それはSTEP2のトレーニングの目的が、『より高重量を挙げるための体を作る』という、言ってみればどこまでいけば達成したことになるのかわからない目的だからです。
ベンチプレスの記録を伸ばすためにベンチプレスのトレーニングを行うのではなく、胸のトレーニングとしてベンチプレスを行うのであれば、STEP2のトレーニングを行い続けても問題ないかもしれません。
しかし、STEP2のトレーニングを行っているうちに完全に記録が停滞してしまった場合や、さらに記録の伸ばしたい場合、そして試合に出て好記録を出したい場合。このような場合は、胸のトレーニングとしてのベンチプレスではなく、ベンチプレスの記録を伸ばすためのベンチプレスのトレーニングとなる、STEP3に移ることになります。
ただし、STEP2のトレーニングを短期間行い、ちょっと記録が停滞したからといってすぐにSTEP3に移ることはないようにします。『より高重量を挙げる体を作る』ためには、最低でも半年以上はSTEP2のトレーニングを行う必要があります。
■STEP2での注意点:ただなんとなく行なわない
基本的にSTEP1とSTEP2のトレーニングを行ううえでの注意点は変わりません。ただし、STEP2では補助種目を行い、全体のトレーニング量が増えるため、ベンチプレスに対する集中力が減ってしまう可能性が高くなります。
毎回のトレーニングでベンチプレス、補助種目ともに高いモチベーションを保ちながらトレーニングを行うのは難しいかもしれません。しかし、最低でもベンチプレスだけはあらかじめ決めたセットクリア条件に挑戦するつもりで行う必要があります。
ベンチプレスのトレーニング中に「あ〜、これが終わったら補助種目だな〜」なんてことを考えているようでは、ベンチプレスは強くなりません。
■定期的にトレーニングに変化をつける
STEP1と違いSTEP2のトレーニングは、最低でも半年以上の長期にわたって行うことになります。その間ずっと同じメニューでトレーニングを行っていると、体が慣れてしまい記録が伸びなくなるため、トレーニングメニューに変化をつける必要があります。
基本的にはあらかじめ同一のメニューを行う期間を4週間から10週間の範囲で決めておき、その期間が終わればベンチプレスや補助種目の回数やセット数、補助種目の種類を変えることになります。
また、別の方法として同一のメニューを行い続け、記録が完全に停滞したり、調子が維持できなくなってきたときにメニューを変える方法があります。
児玉選手は後者の方法を取り入れており、同一のメニューを行う期間を明確に決めず、記録が完全に停滞したり、調子が維持できなくなってきたときにメニューに変化をつけています。これが別項で紹介する『やり直し』となります。
なお、メニューに変化をつける際には、ベンチプレスでは10回狙い×3セット→8回狙い×3セットに、といったようにSTEP2で行うセットの組み方の範囲内で変化をつけます。
「たったそれだけしかメニューを変更しなくてよいのか?」と思う人もいるかもしれませんが、体に対する刺激の面でみると、10回狙い→8回狙いという変化は、非常に大きな変化となってきます。
■ベンチプレッサー的には:ベンチプレスと補助種目を行う日を分けて高頻度・多セットで行う
児玉選手が実際に指導している、STEP2での「何が何でもベンチプレスが強くなりたい」場合のトレーニング方法を紹介します。
この方法もSTEP1と同様に頻度とセット数を増やす方法になるわけですが、STEP2では補助種目を行っているため、STEP1と同じように単純に頻度やセット数を増やしてしまうと疲労がたまり、回復が追いつかなくなってくるのが通常です。
そういったことがないよう、トレーニング日をベンチプレスだけを行う目、補助種目だけを行う自に分け、トレーニングを行います。例えば、1週間のうち月・火・木・金曜日の4日間トレーニングを行うとすると、
以上のように、中1日後、中2日後でのオフの後のトレーニング日はベンチプレスを、2日連続となるトレーニング日は補助種目を行うようにします。見て分かるようにベンチプレスではセット数が3〜10セット、ダンベルプレスでも5〜10セットとセット数に幅があります。これは個々人の回復力の差によって10セットでも回復できる人、3セットでしか回復できない人がいるためです。
「補助種目を行いながらそれだけ頻度を上げて本当に疲労が残らないのか?」と思う人も多いでしょう。確かに、今まで週に2回程度のトレーニングを基本としている人が、いきなりこのようなメニューでトレーニングを行えば、全く回復できずに記録がどんどん落ちてしまうのが通常です。
しかし、このようなメニューをうまく行うことでしだいに適応し、回復できるようになった場合に、通常では考えられないような大幅な記録の伸びがみられることもあります。
ステップごとのトレーニング方法ということで、前回は初心者の段階のSTEP1、今回は体を作る段階のSTEP2のトレーニング方法を紹介してきました。基本的なトレーニング方法と同様に、オーソドックスなセットの組み方ということがわかるはずです。
フォースト・レップスやネガティブ法、ドロップセットやディセンデイングセットといったような、より短時間で筋肉を追い込むトレーニングを普段から行っている人であれば「もっと効率良く筋肉を追い込んだほうがいいんじゃないのか?」と思うかもしれません。
また、最近ではトレーニング雑誌などで、より筋肉を追い込むための新しいトレーニング方法も数多く紹介されていますが、そういった目新しいトレーニング方法と比べると、退屈な内容だったと思います。
しかしそういった筋肉を追い込むトレーニング方法がベンチプレスを強くするために本当に有効かどうかとなると疑問符がつきます。
以下は児玉選手の言葉です。
実際に児玉選手は追い込むトレーニングも目新しいレーニングも行わず、非常にオーソドックスなトレーニングを行っています。
よくベンチプレスが強くなれない人に対して、「追い込めば絶対伸びる」、「追い込みが足りない」ということを言う人もいますが、はたして本当にそうなのでしょうか?
世界一という結果を残した人の方法が、間違いなく正しいとは言いきれません。しかし、そういった方法を行っていた結果、世界一になれた事実は間違いないのです。
■実際のセットの組み方
それでは具体例をあげてセットの組み方を紹介します。
MAX重量=120kg
8RM=100kg
セットクリア条件=2セット以上8回挙げる
このような人がセットを組むと、表1のようになります。
【表1】実際のセットの組み方
ウォーミングアップは基本的なトレーニングと同様の形で行い、その後にメインセットに移ります。重量は8RMの100kg、この場合は2セット以上8回挙げるのがセットクリア条件になり、クリアできた場合に次回から重量を上げます。
ベンチプレス終了後、補助種目を行います。どの補助種目もストリクトなフォームで行いながらも、ただ単にこなすだけ、筋肉を張らすだけということがないようにします。
ベンチプレスでは当然のことながら、補助種目でもフォースト・レップスを行ったりはしません。また、MAX挑戦もSTEP1のように高頻度で行いません。1ヶ月に一度、2ヶ月に一度といったように、あらかじめMAX挑戦する日を決めておき、定期的に行うようにします。
■頻度:基本は週に2回、多くても3回
以上のようなトレーニングを、STEP1と同様に週に2回から3回行います。ただし、週に2回のトレーニングの場合はベンチプレスと補助種目の両方を行っても問題ないのですが、週に3回トレーニングをする場合、毎回のトレーニングで補助種目を行うと通常はオーバートレーニング、になってしまいます。
例えば、月・水・金曜日にトレーニングを行う場合、月曜日=ベンチプレスと補助種目、水曜日=ベンチプレスのみ、金曜日=ベンチプレスと補助種目といったように、トレーニングに変化をつける必要があります。
■STEP2のトレーニングを行う期間:体を作るため最低でも半年以上は行う
STEP2のトレーニングを行う期間はSTEP1と違い、明確に「○ヶ月行うべき」とは言えません。それはSTEP2のトレーニングの目的が、『より高重量を挙げるための体を作る』という、言ってみればどこまでいけば達成したことになるのかわからない目的だからです。
ベンチプレスの記録を伸ばすためにベンチプレスのトレーニングを行うのではなく、胸のトレーニングとしてベンチプレスを行うのであれば、STEP2のトレーニングを行い続けても問題ないかもしれません。
しかし、STEP2のトレーニングを行っているうちに完全に記録が停滞してしまった場合や、さらに記録の伸ばしたい場合、そして試合に出て好記録を出したい場合。このような場合は、胸のトレーニングとしてのベンチプレスではなく、ベンチプレスの記録を伸ばすためのベンチプレスのトレーニングとなる、STEP3に移ることになります。
ただし、STEP2のトレーニングを短期間行い、ちょっと記録が停滞したからといってすぐにSTEP3に移ることはないようにします。『より高重量を挙げる体を作る』ためには、最低でも半年以上はSTEP2のトレーニングを行う必要があります。
■STEP2での注意点:ただなんとなく行なわない
基本的にSTEP1とSTEP2のトレーニングを行ううえでの注意点は変わりません。ただし、STEP2では補助種目を行い、全体のトレーニング量が増えるため、ベンチプレスに対する集中力が減ってしまう可能性が高くなります。
毎回のトレーニングでベンチプレス、補助種目ともに高いモチベーションを保ちながらトレーニングを行うのは難しいかもしれません。しかし、最低でもベンチプレスだけはあらかじめ決めたセットクリア条件に挑戦するつもりで行う必要があります。
ベンチプレスのトレーニング中に「あ〜、これが終わったら補助種目だな〜」なんてことを考えているようでは、ベンチプレスは強くなりません。
■定期的にトレーニングに変化をつける
STEP1と違いSTEP2のトレーニングは、最低でも半年以上の長期にわたって行うことになります。その間ずっと同じメニューでトレーニングを行っていると、体が慣れてしまい記録が伸びなくなるため、トレーニングメニューに変化をつける必要があります。
基本的にはあらかじめ同一のメニューを行う期間を4週間から10週間の範囲で決めておき、その期間が終わればベンチプレスや補助種目の回数やセット数、補助種目の種類を変えることになります。
また、別の方法として同一のメニューを行い続け、記録が完全に停滞したり、調子が維持できなくなってきたときにメニューを変える方法があります。
児玉選手は後者の方法を取り入れており、同一のメニューを行う期間を明確に決めず、記録が完全に停滞したり、調子が維持できなくなってきたときにメニューに変化をつけています。これが別項で紹介する『やり直し』となります。
なお、メニューに変化をつける際には、ベンチプレスでは10回狙い×3セット→8回狙い×3セットに、といったようにSTEP2で行うセットの組み方の範囲内で変化をつけます。
「たったそれだけしかメニューを変更しなくてよいのか?」と思う人もいるかもしれませんが、体に対する刺激の面でみると、10回狙い→8回狙いという変化は、非常に大きな変化となってきます。
■ベンチプレッサー的には:ベンチプレスと補助種目を行う日を分けて高頻度・多セットで行う
児玉選手が実際に指導している、STEP2での「何が何でもベンチプレスが強くなりたい」場合のトレーニング方法を紹介します。
この方法もSTEP1と同様に頻度とセット数を増やす方法になるわけですが、STEP2では補助種目を行っているため、STEP1と同じように単純に頻度やセット数を増やしてしまうと疲労がたまり、回復が追いつかなくなってくるのが通常です。
そういったことがないよう、トレーニング日をベンチプレスだけを行う目、補助種目だけを行う自に分け、トレーニングを行います。例えば、1週間のうち月・火・木・金曜日の4日間トレーニングを行うとすると、
≪月曜日・木曜日≫
ベンチプレス=8回狙い×3〜10セット
≪火曜日・金曜日≫
ダンベルプレス=10回狙い×3〜10セット
マシンフライ=12回×2〜3セット
プレスダウン=12回×2〜3セット
以上のように、中1日後、中2日後でのオフの後のトレーニング日はベンチプレスを、2日連続となるトレーニング日は補助種目を行うようにします。見て分かるようにベンチプレスではセット数が3〜10セット、ダンベルプレスでも5〜10セットとセット数に幅があります。これは個々人の回復力の差によって10セットでも回復できる人、3セットでしか回復できない人がいるためです。
「補助種目を行いながらそれだけ頻度を上げて本当に疲労が残らないのか?」と思う人も多いでしょう。確かに、今まで週に2回程度のトレーニングを基本としている人が、いきなりこのようなメニューでトレーニングを行えば、全く回復できずに記録がどんどん落ちてしまうのが通常です。
しかし、このようなメニューをうまく行うことでしだいに適応し、回復できるようになった場合に、通常では考えられないような大幅な記録の伸びがみられることもあります。
ステップごとのトレーニング方法ということで、前回は初心者の段階のSTEP1、今回は体を作る段階のSTEP2のトレーニング方法を紹介してきました。基本的なトレーニング方法と同様に、オーソドックスなセットの組み方ということがわかるはずです。
フォースト・レップスやネガティブ法、ドロップセットやディセンデイングセットといったような、より短時間で筋肉を追い込むトレーニングを普段から行っている人であれば「もっと効率良く筋肉を追い込んだほうがいいんじゃないのか?」と思うかもしれません。
また、最近ではトレーニング雑誌などで、より筋肉を追い込むための新しいトレーニング方法も数多く紹介されていますが、そういった目新しいトレーニング方法と比べると、退屈な内容だったと思います。
しかしそういった筋肉を追い込むトレーニング方法がベンチプレスを強くするために本当に有効かどうかとなると疑問符がつきます。
以下は児玉選手の言葉です。
「自分が知っている国内の世界記録保持者や日本記録保持者の中で、追い込むようなトレーニング、目新しいトレーニングを行っている人は誰もいない。誰もがオーソドックスなトレーニングを行っている。その退屈とも言える積み重ねのトレーニングの中で楽しさを見いだし、それを高いモチベーションを保って継続できる人だけが強くなれる。」
実際に児玉選手は追い込むトレーニングも目新しいレーニングも行わず、非常にオーソドックスなトレーニングを行っています。
よくベンチプレスが強くなれない人に対して、「追い込めば絶対伸びる」、「追い込みが足りない」ということを言う人もいますが、はたして本当にそうなのでしょうか?
世界一という結果を残した人の方法が、間違いなく正しいとは言いきれません。しかし、そういった方法を行っていた結果、世界一になれた事実は間違いないのです。
[ ベンチプレス 基礎から実践 ベンチプレスが誰よりも強くなる(VOL.1) ]