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【警告】夏の疲れは秋に出る 疲れにくいカラダ作りの秘訣/分子栄養医学管理士 星真理 (2/2)

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掲載日:2015.06.05
>>【警告】夏の疲れは秋に出る 疲れにくいカラダ作りの秘訣(1/2)の続き


エネルギー代謝に欠かせない「ビタミンB群」


ビタミンB群は、別名代謝ビタミンと言われるほど、体でのエネルギー産生にはかかせません。それだけでなく、ビタミンB群は、体で作られるあらゆる種類の酵素の補酵素としてもお互いに作用しています。そのため、ビタミンB群は単体ではなく、複合(コンプレックス)での摂取が望ましいと言われています。

必ずしもビタミンB 群の不足だけが原因とは限りませんが、下記の項目のいくつかの症状が当てはまる方は、ビタミンB 群不足の可能性があるかもしれません。
<ビタミンB群の不足で起こりやすい症状>
・疲れやすい
・寝ても疲れが取れない
・日中眠くなる
・集中力が続かない
・いらいらする
・肩こりがなかなか治らない
・口内炎、口角炎ができやすい
・風邪を引きやすい
・脚がしびれる
食物から摂取したブドウ糖はビタミンB 群の力を借りて代謝をします。ビタミンB群や酵素が不足すると、ブドウ糖はうまく代謝されず、不完全燃焼を起こします。この時に作り出される物質が「乳酸」です。乳酸は別名、「疲労物質」と言われ、これが筋肉組織に蓄積すると疲労感、肩こり、腰痛などの原因となるのです。

ビタミンB 群が十分にあると、乳酸はピルビン酸という物質に代謝され、これがATP(アデノシン3リン酸)というエネルギーの元になります。筋肉や脳を含む全ての身体の組織はエネルギーを使いますから、その元となるATP がたくさんあるといつも元気でいられるのです。

鉄「貧血ではない貧血」って?




一般的に貧血とは、血液中(赤血球)に含まれるヘモグロビンが足りなくなった状態の事を言います。赤血球は骨髄で作られ、身体中に酸素や栄養を運ぶトラックの役目をします。このトラックの台数が足りなくなるのが「貧血」です。

一般的な血液検査で貧血の診断をする場合にはヘモグロビン数でみます。しかし、ヘモグロビン数は正常なのに貧血の症状だけが起こることがあります。これが「貧血ではない貧血」です。

鉄の貯蔵量が増えない理由
食べた鉄は赤血球などの生活費として使いますが、余った分はフェリチンとして貯蔵されます。男性には余りない事ですが、女性は毎月生理で血液を失いますので、鉄を蓄えられるほどは摂取できていない人も多いのです。

毎日の食事から、約1mgの鉄が摂取されています。同時に汗や尿、便などから毎日1mgの鉄が失われます。ですから、鉄を貯金まで回せる様に摂取するのはとても難しいと言われています。生理のある女性は1週間で約30mgの鉄を失います。1ヶ月に換算すると汗や尿、便で30mg、生理で30mg、合計60mgの鉄を失うのですから、男性の2倍の鉄を失う事になります。

しかし、鉄の摂取量が男性の2倍もある女性はまずいないでしょう。個人差で生理の量が多い(塊が出る)、日数が長い、周期が短い、などの方は、更に失われる鉄の量が増えています。ですから、生理のある女性のほとんどが、鉄の足りない貧血(鉄欠乏性貧血)の可能性が高いのですが、フェリチンを調べていなければ貧血と診断される事はほとんどなく、それでも貧血の症状がある「貧血ではない貧血」になっている可能性があります。
<フェリチン値の判定>
フェリチンとは、鉄を蓄えているタンパク質です。肝臓や脾臓などのほか、身体のあちこちの組織に貯金されています。血液検査でのフェリチン値は、貯蔵鉄の量を示します。貧血かも、と思って血液検査をするときは、フェリチンの検査項目も是非追加して検査してみて下さい。
<鉄欠乏性貧血が疑われる症状>
めまい、立ちくらみがある/頭痛、耳鳴りがする/むくみやすい/軽い運動で動悸や息切れがする/寒がり、冷え性/朝起きられない/食欲がない/顔色が悪い/毛穴が開いている、肌のきめが粗い/化粧ののりが悪い/抜け毛、切れ毛が多い、つやがなく、パサついている/爪先が割れる、もろい/風邪を引きやすい、長引く/下痢をし易い/イライラする/注意力が低下/喉に違和感がある、カプセルが飲みにくい/口内炎ができやすい、口の中が荒れやすい/歯茎から出血しやすい/知らないうちにあざができている/好き嫌いが多い、菜食主義者/痩せ過ぎている(BMIが18以下)/ダイエット中、ダイエット歴がある
鉄を蓄える理由
さまざまな理由で鉄が入ってこないとしても、体は赤血球を毎日作り続ける必要があります。ですから、鉄は常に貯蓄しておきたいのです。蓄えが減ってくると、そのサインとして貧血の症状(体調不良)があらわれます。

身体の中では各細胞にある鉄が減って行き、代謝がうまくいかなくなったり、ガン細胞が増えやすくなったりします。赤血球は酸素を運んでいますが、鉄が足りない時は命に関わる脳や心臓に優先的に運びます。命に関わらない皮膚や粘膜へは後回しになりますので、不足したところでのトラブルが起こりやすくなります。皮膚や粘膜のトラブルは気付きにくいのですが、それでも慢性的に足りなくなっていくと、脳や心臓にもサインが起こります。脳で酸素不足が起こると頭痛が起こります。鉄不足はエネルギー不足ですから、身体をなるべく動かさないようにさせようと、だるくなったり眠くなったりさせます。

生理の前や生理中に頭痛のよく起こる方、だるくなる、眠くなる方は鉄欠乏性貧血の可能性大です。


鉄の貯蔵を増やすポイント
食物中の鉄は、動物性と植物性の2種類があります。動物性の鉄(ヘム鉄)はタンパク質と結合した形をしていて、吸収しやすい形をしています。一方、植物性の鉄(非ヘム鉄)は消化管で形を変えないと吸収できない形をしています。そのため、吸収しにくく、吸収しない鉄は活性酸素発生の元となり、その時に悪心(気持ち悪くなる)などの症状が起こることがあります。

一般的に、ヘム鉄の吸収率は10〜30%、非ヘム鉄の吸収率は5%以下と言われています。鉄の吸収を助ける栄養素はビタミンCです。ですから鉄の含まれている食品(肉など)を食べる時にはビタミンCの含まれる食品(野菜、果物)も一緒にたくさん食べると、吸収力が高まります。

鉄が身体の中で使われる殆どの場合、タンパク質を同時に使います。運ぶ時にはトランスフェリンという鉄専用のトラック(これがタンパク質で出来ている)で運び、赤血球は鉄とタンパク質で作られます。ヘモグロビンは、ヘム鉄+タンパク質(グロビン)の造語です。また、この両方をくっつけるのはビタミンB6の仕事です。コラーゲンも、タンパク質の糸に鉄が絡んで強化されます。ですから、タンパク質もしっかり摂りたいものですね。



今回は疲れについてお話ししました。他にもエネルギー代謝にはたくさんの栄養が使われますが、まずはビタミンB群、鉄、タンパク質、ビタミンCから摂取してみて下さい。

カルシウムは干しえび、チーズ、しらす干しなどに、またマグネシウムは青のりやナッツ類、鉄は卵や肉、レバーなどに含まれます。ビタミンB群はそれぞれ違う食品に含まれますが、豚肉、レバーなどの肉類、うなぎ鰹節、マグロ、たらこなど魚や魚卵などに多く含まれます。また、納豆や緑黄色野菜、小麦胚芽などにも一部のB群が含まれます。

動物性食品には同時にタンパク質も含まれますから、同時摂取になりますね。ビタミンCはいうまでもなく、果物や野菜に多く含まれます。加熱調理する場合には表面積の少ない野菜(例えばブロッコリよりはアスパラガス)の方が、ビタミン類が壊れにくく、含有する量より摂取効率がいい事もあります。


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  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための 分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)

    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901〜1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 003 ]

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