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ベンチプレス世界チャンピオン児玉大紀選手の「K's式メイントレー二ング」

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掲載日:2016.03.10


今回は、地力アップのトレーニングと、筋力アップ・神経系強化のトレーニングを一度のトレーニングで行うパターン3の変形。『K's式メイントレーニング』を紹介したいと思います。

このトレーニング方法は児玉選手がメイントレーニングで基本とするトレーニング方法で、児玉選手だけでなく、K'sジムの多くの選手が行い、記録を伸ばしているトレーニング方法になります。


児玉選手のK's式メイントレーニング




【表1】児玉選手のK's式メイントレーニング(2004年)


K's式メイントレーニングの具体例として、実際に児玉選手が2004年に行っていたトレーニングを紹介します。

ウォーミングアップ終了後にベンチプレスの試合を想定して、胸の上で止めて挙げる試合形式のセットを3セット行います。

インターバルは試合を想定して10分前後、ここでは1セット目に210kg、2セット目に215kg、そして3セット目にMAX重量となる220kg、そして220kgの挙がりからMAX重量更新が狙えそうであれば、4セット目に222.5kgを持つことになります。

試合形式で3セット(4セット)行った後にメインセットを行います。重量は190kg、セットクリア条件は「1セット8回挙げる」になります。インターバルは7分から15分で、ここでは1セット目から7回、7回、6回、6目、5回、そして3回しか挙がらなくなる10セット目でメインセットを終了しています。

メインセット終了後、サブセットとしてメインセット前と同様に試合形式で3セット行います。1セット目はメインセットの最終セットの挙がり具合から判断して200kg、2セット目は1セット目の挙がり具合から判断して205kg、そして3セット目に207.5kgを持ってトレーニング終了です。

アップを除いたセット数がトータルで16セット(17セット)、時聞にして3時間ほどのボリュームの多いトレーニングになっています。


セットの組み方とセットの目的


【表2】K's式メイントレーニングのセットの組み方とセットの目的


K'sメイントレーニングのセットの組み方とセットの目的を紹介します。
ウォーミングアップ終了後にセットAに入ります。セット内容は試合形式で3〜4セット。ベンチプレスの試合に出ない、出るつもりのない人は胸で止める必要はありません。

1セット目はMAX重量-7.5kg〜1Okgの調子が悪くても挙がる重量に設定。2セット目は1セット目の挙がり具合から判断しながら、MAX重量-2.5kg〜5kgの重量に設定します。この1セット目、2セット目は必ず挙げ、失敗しないようにします。

3セット目はMAX重量を持ちますが、この挙がり具合をみてMAX重量が更新できそうであれば、4セット目にMAX重量+2.5kgの重量を持つ、もしくは挙がらなかったり、更新できそうになければ、3セットでセットAを終了します。

セットAの目的は、高重量を持つことによる神経系強化、メインセットの1セット目から全力を出すための筋出力の調整、そしてMAX重量更新になりますが、メインセット前にMAX重量やそれに近い重量を持つと疲労によりメインセットが挙がらなくなる人や、メインセット前に高重量を持たなくてもメインセットの1セット目から全力を出せる人は、特にセットAを行う必要はありません。

セットAの1〜2セット目まで行ったり、完全にセットAを省略して、すぐにセットBを行ってもかまいません。ただし、メインセットの1セット目に全力が出し切れていない感じがする場合には、セットAを行うようにしてください。

セットA終了後、セットB=メインセットを行います。セット内容は目標回数=8回(原則8回)、セットクリア条件=「1セット8回挙げる」といった基本的なトレーニングと同じようなセットの組み方になりますが、セット数が「規定回数が挙がらなくなるまで」という、通常のセットの組み方とは大きく異なります。

例えば、セット数を「6回が挙がらなくなるまで」に設定した場合、1セット目から7回→6回→6回→6回→5回であれば、6回が挙がらなくなった5セット目でセットBは終了、7回→6回→5回であれば、3セット目でセットBは終了となるわけです。

規定回数は6回から4回の範囲で設定しますが、セット数が多くなると回復が追いつかない人は6回、トレーニングの時聞が多く取れる人や回復が早い人は4回に設定します。自身の回復の早さを見極め、いったん規定回数を決めた後は固定にしてしまい、トレーニングごとに変えたりしないようにします。

ここで注意しなければならないのが、間違っても短時間で規定回数が挙がらなくなるようにインターバルを短くしないことです。インターバルは基本的なトレーニングと同じで、全力を出せるように前のセットの疲れが抜けるまで取るようにします。(7分〜15分程度)

インターバルを短くして筋肉を張らせたり、ただなんとなくセットをこなすのではなく、規定回数以上挙がるセット数を増やしながら、「1セット8回挙げる」というセットクリア条件を目指すことになります。

ただし、「1セット目に8回挙がりそうだつた」、「2セット以上7回挙がった」というセットクリア目前の場合は、疲労を残さず、次回のトレーニング時にセットクリアするため、規定回数にかかわらず5セット以内でメインセットを終了するようにします。

セットBのトレーニングの目的は、基本的なトレーニングと同じ地力アップになりますが、セット数を多くこなすことにより、より挙げやすいフォームを身につけるというフォーム固めの目的もあります。

セットB終了後、セットC=サブセットを行います。セット内容は試合形式で2〜3セット。1セット目はメインセットの挙がり具合で判断し、絶対に挙がる重量に、2セット目は1セット目の挙がり具合で判断し、ぎりぎり挙がる重量に設定します。この2セット目が挙がり、まだ挙がりそうであれば重量を増やして3セット目を行い、これ以上挙がりそうな気配がない場合、また挙がらなかった場合は2セットでセットCを終了。トレーニング終了となります。

「メインセット後に試合形式のトレーニングを行う」ことが、セットBの「規定回数が挙がらなくなるまで」と並ぶ、K's式メイントレーニングの大きな特徴となり、これにより、【表2】のトレーニングの目的にあるように神経系強化、つまり力を引き出した状態でトレーニングが行えるようになります。

「メインセット後に1回しか挙がらないような重量を持つのか?」と気が引ける人もいるかもしれませんが、メインセットで体が温まっており、軌道も安定しているため、そういった点ではメインセット前よりも高重量を扱いやすい状態になっています。

メインセットで疲労しているため、当然ながらメインセット前のような重量は挙がりませんが、「これだけ疲れた状態でもこの重量が挙がる」という自信になり、それがMAX重量更新に挑戦する際に役立つこともあります。

以上が、K's式メイントレーニングのセットの組み方と目的になります。

疲労度を考えてトレーニングの頻度は週に2回が基本で、週に3回以上トレーニングを行っている人の場合も、K'sメイントレーニングは2回だけ行い、他の日は別のトレーニングを行うようにします。

『高頻度でMAX重量更新に挑戦する』
『メインセットは規定回数が挙がらなくなるまで行う』
『メインセット後に必ず1回しか挙がらない重量を持つ』
こういったトレーニング方法が、Ks'メイントレーニングになるわけですが、「こんな方法で強くなれるはずがない」、「回復が早い特別な人にしかできない」と、頭から否定する人もいるでしょう。

確かに、すべての人がK's式トレーニングで効率良く強くなれるわけではなく、根本的にこのトレーニング方法が合わない人もいるでしょう。しかし、ベンチプレスを強くしたいのであれば、一度は試してみる価値のあるトレーニング方法だと思っています。

  • ベンチプレス 基礎から実践 ベンチプレスが誰よりも強くなる(VOL.1)
    平成23年9月1日初版1刷発行
    著者:東坂康司
    監修人:児玉大紀
    発行人:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ ベンチプレス 基礎から実践 ベンチプレスが誰よりも強くなる(VOL.1) ]

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