フィジーク・オンライン

意外に知らないベンチプレスの基本的なトレーニング方法(1/2)

この記事をシェアする

0
掲載日:2015.11.25

 

ベンチプレスの持つ魅力


「ベンチプレスが強くなりたいですか?」
このように聞かれたとき。ベンチプレスを行っているほとんどの人が、口には出さないにしてもこう思うのではないでしょうか。

「もちろん強くなりたい」と。

ベンチプレスができるフィットネスクラブなどでは、多くの人たちがベンチプレスのトレーニングを熱心に行っています。

「他のトレーニングは嫌々やっているけど、ベンチプレスのトレーニングは楽しくて仕方がない」という人も多く、中には完全にベンチプレスしかしない人もいます。

当然そういった人たちも最初からベンチプレスがしたいがためにフィットネスクラブに入会し、トレーニングを始めたわけではありません。最近ちょっと太ってきたから、スポーツに生かす筋力をつけたいから、時間が余って暇だったからといったように、トレーニングを始めたきっかけは人それぞれでしょう。

しかし、「気がつけば当初の目的を忘れてベンチプレスにはまっていた」というわけです。

世界ベンチプレス選手権大会で5連覇を成し遂げた児玉大紀選手も、高校時代にスポーツに生かす筋力をつけるためにトレーニングを始め、すぐにベンチプレスにはまり、授業終了のチャイムが鳴ることもに部活そっちのけでジムに向かうようになりました。

高校卒業後もベンチプレスを続け、時には足を骨折した状態でも松葉杖をついて毎日ジムに通い、一日中トレーニングをしていたこともあります。

さすがに、ここまでいくとやりすぎな気もしますが、ベンチプレスにはそれだけ人をひきつける魅力があると言えるのではないでしょうか。


間違いだらけのベンチプレス


最近では、以前に比べてベンチプレスの大会や記録に関する情報を目にする機会が多くなってきています。そういった情報を目の当たりにしたとき、多くの人がこう思うのではないでしょうか。

「なぜそんなに挙がるの?」と。

一般のフィットネスクラブであれば100kgを挙げれば強い部類に入り、130kgも挙げればほとんどのジムで一番強い人になれるはずです。中には150kg近く挙げる人もいるでしょうが、そういった人たちのほとんどが、体重の重い、言ってみれば恵まれた体格の持ち主です。

しかし、ベンチプレスの試合に出るような人の中には、体重が60kgに満たない人でも100kg以上を挙げるのは当たり前で、体重の2倍である120kg、中には体重の3倍近い重量を挙げる人もいます。

実際に挙げているのを見るまで俄かに信じられないかもしれません。自分が通っているフィッ卜ネスクラブで誰もが認める一番強くて大きい人、そういった人が一生懸命挙げている重量より、はるかに重い重量を体重の軽い人たちが挙げるわけですから。

中にはそういった人たちの強さを認めたくないため、パワーリフターやベンチプレッサーは「技術で挙げている」、「ブリッジを組んでいるから挙がる」そう決めてかかる人もいるかもしれません。

確かにパワーリフターやベンチプレッサーは「パワーフォーム」と呼ばれる肩甲骨を寄せ、体を反らせてブリッジを組んだフォームでベンチプレスを行う人がほとんどですが、実際に自分自身がパワーフォームを組むようになれば分かることなのですが、パワーフォームを組んでもそれほど重い重量が挙がるわけではありません。

今までパワーフォームを組まずに100kgを挙げていた人が、パワーフォームを組めるようになったとしても+10kgの110kgが挙がるようなことはまずありません。

つまり、パワーリフターやベンチプレッサーは『ベンチプレスを挙げる技術に優れた人』というわけではないのです。

それを聞き「元々の才能が違う」と決めつけてしまう人もいるかもしれませんが、そう決めつけてしまうのは少々はやすぎます。その前に自分が今まで本当にしっかりとトレーニングを行ってきたかどうか?ということをを考えなくてはなりません。

「いや俺はいつも補助をつけて頑張っている」「毎回筋肉痛になるまで追い込んでいる」こう思う人も少なくないはずです。

しかし、自分たちが一生懸命やってきたそういったトレーニングが、実は間違った方法であったとしたらどうでしょうか?「まさか?」そう思うはずです。

残念なことに、フィットネスクラブなどで多くの人が正しいと信じて行っているトレーニングを、ほとんどのパワーリフターやベンチプレッサーなどのベンチプレスが強い人たちは行っていません。

つまり、自分たちが疑いも持たずに行ってきたトレーニングが、実はベンチプレスを強くするには間違ったトレーニングであったということになります。

先に述べたように、ベンチプレスが強い人たちは『ベンチプレスを挙げる技術に優れた人』ではありません。正しいトレーニングを知り、正しいトレーニングを行っている、『ベンチプレスを強くするための技術に優れた人』なのです。

 

意外に知らないベンチプレスの基本


「ベンチプレスが強い人たちはどんな卜レーニングをしているの?」

ベンチプレスが強い人たちが、自分たちと異なるトレーニングを行っているとすれば、当然こう聞きたくなるでしょう。

しかし、実はその質問に答えることは非常に難しいことなのです。トップクラスのパワーリフターやベンチプレッサーのトレーニング方法は千差万別で、簡潔に「このようなトレーニングを行っている」とは言いきれないのです。

しかし、そういった千差万別のトレーニング方法の中にも多くの共通する点があり、そういった共通点を集約させた基本となるトレーニングが存在します。ここでは、そういった基本となるトレーニング方法を項目ごとに分け、紹介していきたいと思います。
 
  • ベンチプレス 基礎から実践 ベンチプレスが誰よりも強くなる(VOL.1)
    平成23年9月1日初版1刷発行
    著者:東坂康司
    監修人:児玉大紀
    発行人:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ ベンチプレス 基礎から実践 ベンチプレスが誰よりも強くなる(VOL.1) ]

関連記事

K's式メイントレー二ング!トレーニング内容を変更する場合のやり直し方法

K's式メイントレー二ング!トレーニング内容を変更する場合のやり直し方法

桑崎寛の太りにくい身体を作る サーキットトレーニング

桑崎寛の太りにくい身体を作る サーキットトレーニング

パワーフォームを導入した「ベンチプレスを強くするためのトレーニング」(1/4)

パワーフォームを導入した「ベンチプレスを強くするためのトレーニング」(1/4)

高校時代におけるウエイトトレーニングの重要性

高校時代におけるウエイトトレーニングの重要性

「速筋線維(タイプⅡb)」を刺激する方法とその効果

「速筋線維(タイプⅡb)」を刺激する方法とその効果

インナーマッスル(コア)を鍛えるメリット/Flowing Exercise®でコアを鍛えよう (1/2)

インナーマッスル(コア)を鍛えるメリット/Flowing Exercise®でコアを鍛えよう (1/2)

桑崎寛の太りにくい身体を作る サーキットトレーニング −体幹と心拍数−

桑崎寛の太りにくい身体を作る サーキットトレーニング −体幹と心拍数−

ウエイトトレーニングとスポーツパフォーマンス向上の関係性

ウエイトトレーニングとスポーツパフォーマンス向上の関係性