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パワーフォームを導入した「ベンチプレスを強くするためのトレーニング」(1/4)

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掲載日:2016.02.09


ベンチプレスに慣れるためのSTEP1、より高重量を挙げるための体を作るSTEP2を経て、今回ご紹介するSTEP3に移行するわけですが、誰もがSTEP3に移行するわけではありません。これはSTEP3のトレーニングが、『ベンチプレスを強くするためのベンチプレスのトレーニング』だからです。

STEP3ではベンチプレスに比重を置いたうえでトレーニングを行うことになり、肩や背中などのトレーニングも、ベンチプレスのトレーニングに影響が出ないように、あくまでベンチプレスの補助としてしか行わなくなります。

スポーツの補強や、ボディビル的な胸のトレーニングとしてベンチプレスを行うのであれば、STEP2からSTEP3に移行する必要はありません。もしも、STEP3のトレニングを行なうとしても、STEP3のトレーニング内容をそっくりそのまま行うのではなく、自身が良いと思った部分だけを選び、行うようにしてください。

ただし、「何が何でもベンチプレスが強くなりたい」と思っている人、パワーリフターやベンチプレッサーといった競技でベンチプレスを行うような人は、STEP2からSTEP3に移行することになります。

パワーフォームの導入


【写真1】STEP3では、基本的にメインとなるトレー二ングではパワーフォームと呼ばれるフォームでトレー二ングを行うことになる。


STEP3に移ると、基本的にメインとなるトレーニングでは、肩甲骨を寄せ、腰にアーチを作った「パワーフォーム」と呼ばれるフォームでトレーニングを行うことになります。

このパワーフォームの利点として、以下の2つをあげることができます。
①『肩甲骨を寄せることで、拳上時の肩の関与を減らすことができ、肩の怪我を激減させることができる』
②『普段よりも高重量を扱うことができ、結果的に強度の高いトレーニングが行える』

特に「肩の怪我を激減させることができる」ということは、ベンチプレスのトレーニングを継続するうえで、非常に重要になってきます。パワーフォームを組まない人や組めない人の中には、パワーフォームのことを、「インチキくさい」、「パワーフォームだからあれだけの重量が挙がる」、「あんな可動域の狭いフォームで筋肉がつくわけがない」と考える人もいるでしょう。

しかし、実際にパワーフォームを組むようになればわかりますが、パワーフォームを組むことでそれほど使用重量が変わるわけではありません。

K'sジムではパワーリフティングやベンチプレスの試合に出るような人のほとんどが、メインのトレーニングをパワーフォームで行っていますが、ボディビルダーがよく行うような足を床から浮かした状態で行う足上げベンチと比べて使用重量が10kg以上変わるような人はほとんどおらず、完壁とも言えるパワーフォームを組む児玉選手の場合でさえ、パワーフォームで210kgがMAX重量のときに足上げベンチで200kgを挙げているため、ちょうど10kgしか変わらないのです。

また、使用重量の差を考えればわかると思いますが、フルスクワットがクォータースクワットになるように大幅に可動域に違いが出ているわけではなく、挙上時の角度が変わることで使用する筋肉、鍛える筋肉が変わったと考えるほうが正しいのかもしれません。

「パワーフォームというテクニックによって、より安全に、より強度の高いトレーニングを行える」

ベンチプレスが強くなりたいと思うのであれば、頭からパワーフォームを否定するのではなく、考え方を変えてパワーフォームを取り入れてトレーニングを行うべきです。

ただし、ここで気をつけなければならないのが、パワーフォームを導入する時期です。ベタ寝ベンチや肩甲骨を寄せただけのフォームに比べ、パワーフォームの方が重い重量が挙がるからといって、STEP1やSTEP2の段階の人がパワーフォームでトレーニングを行うべきではありません。

STEP1、STEP2でしっかりと下積み的なトレーニングを行い、下地を作ってからパワーフォームを導入すべきです。

「早い段階でテクニックを覚えてしまうと限界が早く来る」
これは児玉選手が常日頃言っている言葉です。


STEP3のトレーニングパターン


【表1】STEP3のトレーニングパターンとトレーニング内容


児玉選手の考えるSTEP3の基本的なトレーニングパターンは、【表1】のような5つのトレーニングパターンに分かれています。

どのパターンでトレーニングを行うのが一番良いということはありません。自身が最も行いやすい、最も記録の伸びが良いパターンでトレーニングを行うのが通常です。

なお、この5つのパターンの中で児玉選手が実際に行い、K'sジムで主に指導しているのはパターン1からパターン3になります。残りのパターンのうちパターン4は記録が伸び悩んだときに体を作り直すという意味で行うことはありますが、パターン5をベンチプレスで本格的に行っている人はほとんどいません。

以上のようなことから、ここではパターン1からパターン3のトレーニングを紹介していきたいと思います。

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  • ベンチプレス 基礎から実践 ベンチプレスが誰よりも強くなる(VOL.1)
    平成23年9月1日初版1刷発行
    著者:東坂康司
    監修人:児玉大紀
    発行人:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ ベンチプレス 基礎から実践 ベンチプレスが誰よりも強くなる(VOL.1) ]

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